見出し画像

不老不死とか、ならんほうがいいですよ。 〜父のインタビューより

父の日なんで。
父について初めて書きたいと思います。

2年前に亡くなった父の書きかけの原稿を仲間の方々に引き継いでいただいて、本が完成しました。まるで父が生きていたらこうするだろうな、って感じで、本当に温もりのある本にしていただきました。

父は植物学者でした。僕が子供の頃は、土日よく山に連れて行かれ、夏休みの自由研究は当然植物採集でした。県の理科作品展で「創意工夫賞」を獲る!と子供より燃えてましたね。それを一緒に取り組んだのはいい思い出です。

仕事は専門的なものも多かったので、家族には何してるのかよくわかりませんでした。新種を見つけたということくらいしか。この新しい本を読むと、5種の新種を発見したことを初めて知りました。写真はそのうちの1つ「クラナリイヌワラビ」の標本。亡くなった後に、これまた仲間の方が持って来ていただいたものです。

父は、一時期、徐福長寿館という植物園の長をしていました。徐福というのは、秦の始皇帝(いま流行りのキングダムに出てきますね)が、不老不死の薬を求めて、子供たちを日本に送った、そのうちの1人。徐福にはいろんな伝説がありますが、佐賀県佐賀市の金立町でその薬を見つけたと言われています。

ある時、フジテレビが徐福の特集を組んで、取材にこられました。山の中へ、その植物まで父がガイドした時に、レポーターの一人だった東貴博さんが不老不死について質問、その時、父はこう言いました。

「不老不死とか、ならん方がいいですよ。
 命には限りがあって、リレーするのがいいんですよ。」

いいセリフだなと。ずっと思ってたんですね。
そのことを、この本のまえがきに書きました。

命には限りがあって、リレーする。
だから、毎日がかけがえがなく、素晴らしい。

この本を仕上げていただいた方々、本当にありがとうございました。
そして、亡くなってからわかる父のありがたみ。
お父さん、ありがとう!

下にまえがきをコピペしました。
よろしければ、ご覧ください。
——————————————————————————

植物の知識のバトン ~まえがきに代えて~

この本は、2017年2月16日に亡くなった父が生前に執筆していた未完の原稿を、佐賀県植物友の会でお世話になっていた山口様、井手様を中心に、父のパソコンからデータを継承、完成していただいたものです。

まだ、なんとか自分の足で歩けていた頃、「完成したら出版パーティーを」と元気づけのために、父にことあるごとに家族で言っていましたが、なかなか完成には向かいませんでした。それが、こうやって皆様のお力添えで完成したことに、家族一同、感謝申し上げます。ありがとうございます。

15年ほど前、父が徐福長寿館の館長だった頃、フジテレビの番組が、徐福の取材に訪れたことがありました。レポーターの一人だった東貴博さんが不老不死について質問され、その時、父はこう言いました。

「不老不死とか、ならん方がいいですよ。
 命には限りがあって、リレーするのがいいんですよ。」

この本は、みなさんとのリレーで出来上がったものです。そう考えると、もしかして、わざと未完にしていた?みなさんと一緒に作るために?研究は一途にしつつ、意外と茶目っ気がある父でしたから、あり得るかもしれません。

父の人生は本当に植物三昧の人生でした。研究の道を、一緒に歩んでいただいたみなさま。知識を、リレーしていただいている皆さま。そして新たに、この本を手にとっていただいた皆さま。

父が残したものから、1つでもお役に立つものがあれば、そして、次へとまたバトンを渡していただければ、幸いです。

                      倉成英俊(倉成靖任 長男)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?