見出し画像

投資家の注目がどんどん高まる中国のドリンク産業。Z世代の影響力恐るべし

今日は最近上場でも話題の中国のドリンク事情についてをアップデートしたいと思います。

上場については日経電子版にもいくつか関連する記事が書かれてました。note読者で中国をチェックしてる方々はご存知だったかと思います。中国ドリンク企業がスーパーユニコーンとして注目されていたり、上場を果たすなど、今では立派な産業となっています。

中国のタピオカ屋さんについてや、ドリンク屋さんの発展については、以前にもノートで何回か書いてました。今回はビジネス寄りな内容なので、商品やサービスを具体的に知りたい方は後でこちらを御覧ください↓

先日中国のミルクティー屋「奈雪の茶」が香港市場での上場を実現。ドリンク店としての上場第一号は株価総額が約300億元(約5000億円)です。

そしてほぼ同時に、最強のライバル社である「喜茶」(HEYTEA)が4回目の資金調達を行い、評価価格は600億元になっています。新規の投資者がなかなか入れず、全て持ち株の投資者から投資枠が奪い取られたほど人気だそうです。

「奈雪の茶」が積極的に上場したのに対して、「喜茶」はしばらく上場する予定はないと公言してます。でもさすがに600億元の評価価値があまりにも高くて、中国では「奈雪の茶」の上場よりも話題になりました。

このスーパーユニコーンミルクティー屋さん「喜茶」に出資しているのは高い影響力を持った投資会社ばかりです。公開されている情報によると、IDGキャピタル、美団、セコイア・キャピタル、BAキャピタル、テンセント、ヒルハウス・キャピタル、Coatueなど、そうそうたる企業が出資してます。600億元という評価価値も、いわゆる「新式茶飲業界」では最も大きな資金調達額です。

なぜ「喜茶」、そして中国のドリンク業界がここまで資本に愛されているのか。まずは中国の「新式茶飲」の市場競争から解説しましょう。

画像1

↑業界で最もハイエンド(≒高いです)の3社は「喜茶」、「奈雪の茶」、「楽々茶」です。客単価は24元(これは低単価の商品が含まれてます、看板メニューのミルクティーを注文すればだいたい30元前後がかかります)。

これより1ランク下、真ん中にある数々のブランドは客単価が18元(約300円)前後、みなさんが知ってるブランドもあるかと思います。そして一番安いのは客単価が8元(約135円)前後。この中には日本にも出店している「CoCo」、「Happy Lemon」が入ってますね。(ところで日本のドリンク屋さんはなぜあんなに高いんですか?単純計算すると、日本で喜茶を飲むにはCoCoの3倍の価格もかかるなんてあり得ない!!中国でいっぱい飲みましょうよ)

価格帯の違いに加えて、それぞれの企業は経営方針によって直営オンリー(左)と加盟店型(右)の2種類に分けられます↓

画像2

直営オンリーの場合、店を出すには相当なお金が必要でそれなりの資金調達がなければかなかな難しいです。ちなみに直営3番目の「茶顔悦色」は湖南省だけでの展開しており、噂では相当おいしいらしく、SNSでもよく話題になります。4番目の「楽々茶」は北京では結構見かけますが全国60店舗とはちょっと意外です。

それに比べ、加盟店の方は店舗数が桁違いに多いです。

他にも面白いデータがいくつかありましたので紹介します。

画像3

↑Weiboでのフォロワー数(オレンジ色)と話題数(黄色い)。No1の「喜茶」はどっちもダントツ一位。「茶顔悦色」は店舗数が少なく、フォロワー数も少ないのに相当話題になっていることがわかります。マーケティングセンスがかなり高い。

画像4

↑2020年第2四半期の中国新式茶飲ブランドへの認識についての調査。左から「喜茶」「CoCo」「Luckin Tea」「奈雪の茶」「茶顔悦色」「一点点」「楽々茶」「沪上阿姨」(上海のおばちゃんってちょっと面白い店名です)「古茗」となります。

画像5

↑iiMediaによると、今年中に中国の新式茶飲市場規模が2800億元程度に達すると予測しました。

新式茶飲市場の発展は利用者の行動に大きく左右されます。とあるユーザー調査によると、2020年に中国の新式茶飲消費者が3.4億人に達したとのことです。もやは国民的ドリンク。中でも90年代生まれとZ世代が新式茶飲のメイン消費者で、全体の7割を占めます。この世代の3割弱の消費者は月400元以上(6500円くらい?)新式茶飲を購入しているとのことで恐れ入ります。

日本の若者がお金を使わないこととは対照的に、中国のZ世代は消費意欲がとても高い。2019年前後から投資家たちはZ世代に関わるビジネスを高く評価する傾向が顕著になりました。ドリンクビジネスもこの波に乗っていて、これからも新式茶飲業界では資金調達や上場が次々に来ることが予想されます。

日本からもZ世代をターゲットにした新たなビジネスがどんどん生まれてほしいです!

最後におまけの情報を2つほど。

画像7

↑人気の新式茶飲店舗でよく見かける風景です。三里屯(北京の六本木のうような場所)などでは転売屋さんも多かったです。でも最近はみんなミニプログラムでの注文ができるようになって、待ち時間を計算しながら事前に注文すればスムーズに買えますので行列の風景を見かけることは減りました(結局オンラインで待つことになりますが)。

このあたりの事情は上記に貼ったリンクから見てください。

画像6

↑ちなみに先週、喜茶の季節のアイス「ヤマモモ」味を試してみました。かなり美味しかったので、日本でも流行って欲しいし、中国にいるフォロワーの皆さん是非試してみてください。

これもWechatの喜茶のミニプログラムで注文することができます。アイス系は店に到着してから注文を店員さんに見せてからその場で作ってもらうことになりますので、そんなに時間読めずに注文しても全然大丈夫です。

(参考資料)


いいなと思ったら応援しよう!

中国情報局@北京オフィス
よろしければサポートをお願いします。Twitterも良かったらどうぞ! https://twitter.com/bijingbball