クレジットイベントを見極める眼

最近の新聞では毎日のように“改ざん”、“不正”という文字が踊りに踊っている。日本の製造業の中でも大企業と言える企業から次々、データ改ざんや検査不正など、監督当局による立ち入り調査等を経て発表になる始末。少し前に、一連のデータ不正事件は収束したかに見えていたが、ここへ来て再び、地検・警視庁の捜索が入るなど別のステージ入りしたものや新たな不正が出てきたものなどが報道されるに及んでいる。

クレジットイベントとは、支払不履行や倒産など債務履行に関して支障を来す恐れのある問題などを指す。かつて問題があった例で言えば、粉飾決算の“エンロン”やデフォルト懸念が大きかった“ギリシャ”、メキシコ湾岸において原油流出事故を起こしたBPなど。

さて、こうしたクレジットイベントを起こした場合でも、すべての企業がデフォルトしていくわけではない。そのため、クレジットイベントを起こした後も生き残れる企業かどうかを見極めることが一つの関心事となる。大事なポイントは四つ。

第一にクレジットイベントに対する対応、である。まず、初動が正しかったか、プロセスの透明性はどうか、信任を得られたか、客観的なものとなったか。第二に財務の強さ。クレジットイベントが起きた以上は支払や罰金が課される可能性が大きい。場合によっては訴訟リスクが広がるものもある。課される額が確定したか、財務上の耐性は十分か。第三に存在意義。提供する製品や技術、商品、サービスに存在意義があるか。その企業以外の代替が難しいもの、かどうか。第四にサポートの有無。信用劣化に対する耐性があるかどうか。具体的には、系列やメインバンクとの関係の強さ、流動性の確保、明示的/暗黙裡のサポートが国などから得られるかどうか。

クレジットイベントを起こした企業などについて、これら四つのポイントを確認してもらいたい。その苦境を乗り越えて生き残り得る企業かどうか。かなりの部分は見極めが可能になるはずである。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31397440V00C18A6EA1000/

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