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週休3日制で増えた”1日”は働き方の選択肢をどう広げていくのか

先日、MXテレビの新しい朝の情報番組、「堀潤モーニングFLAG」で週刊News Picksというコーナーで「選択的週休3日制」についてコメントする機会をいただきました。様々ニュースを見てはいても、改めて調べるいいきっかけになりました。

「週休3日制」について政府が言及を始めたのは今年の2月。

記事にはSOMPOひまわり生命保険への聞き取りについて言及されていますが、同社は2017年9月から育児・介護者を対象に週休3日制の導入を実施しています。リリースによると

仕事と介護、育児との両立を支援する環境を整えることを目的として、週休3日制を導入する。対象者は介護、育児により週4日勤務を希望する社員で、1週間のうち希望する曜日を特定介護休日または特定育児休日と定め、週4日の勤務とする。希望者は、制度を利用する期間の制限はなく、1ヶ月単位で申請が可能。

勤務する4日間の労働時間は変ずに、給与は週1日分がカットされるというタイプです。現在すでに「週休3日制」を導入している企業が何社かありますが主に3つのタイプに仕組みが分かれます。

1) 給与水準を変えず、1日の労働時間を増やす(1日分を他の日に割り振る)
2) 1日の労働時間は変えず、その分1日分給与が減る
3) 給与水準も変えず、1日の労働時間も変えない

番組内では、[ 1 ] については2015年から導入しているファーストリテイリングの事例を、[ 2 ]については2020年12月から開始したみずほフィナンシャルグループの事例について取り上げました。そして [ 3 ] の事例としてはまだ日本では見当たらず(もしご存知だったら教えてください!)、CNNが取り上げていた、遺書作成や遺産管理のサービスを提供しているパーペチュアル・ガーディアン(Perpetual Guardian)というニュージーランドの企業の事例を取り上げました。

これは、1日あたりの勤務時間も増やさず、給与も5日間分という今まで変わらない制度で週休3日制のテストを実施した、という事例です。
この企業の取り組みを分析した研究チームによると、休日の増加による幸福度の向上が生産性を押し上げた、とのこと。ストレスレベルの低下や人生全般への満足度の増加、仕事と家庭が両立できると回答した人がテスト前の54%に対して78%と飛躍的に上がっています。

研究チームの詳細なレポートも!(英語)あるのですが・・実はat Will Work でもお世話になっているライターのやつづかさんが、ものすごく詳しく書いてくださっていた記事を発見したので、このトライアルについての詳細に興味がある方はこちらをぜひ。

ちなみに・・・このパーペチュアル・ガーディアン社、テストとして週休3日制を導入するということだけではなく、もう一つ面白い点が「トライアル開始の1ヶ月前に突然CEOからのアナウンスがあり、どうやって実現するかは各自検討することを求める」という仕組みを取ったということ。

制度を作る場合、多くは「こう決まったのでこうしてください」と降りてくることが殆ど。全ての企業が同社と同じやり方を実施できるわけではないですが、”働き方”を主体的に考えていく機会を作るという点では選択肢の一つとして持てるのではないかと思います。

さて。2月に政府が聞き取りをスタートして2ヶ月、昨日は自民党から提言が提出されたという記事も出ていました。

育児や介護と仕事の両立や家族との時間の増加、副業の選択肢が増えたり、新しいことを学ぶ時間が増え、多様な働き方ができる環境を整うことが期待されるこの「週休3日制」。

そもそも週休2日制になったのは、1965年に松下幸之助の号令のもと、松下電器産業(現パナソニック)が始めたものを言うのをご存知ですか?2018年に「週休二日制の生みの親 松下幸之助の「教養」哲学」というコラムを書いたのですが、増えた休みは”休養”ではなく”教養”、と言うもの。

当時の日本企業はすべて、日曜日だけが休みの週休1日制。休みが1日増えるというのに、「いままで6日でやっていたことを5日にすることはできない」と、松下電器の労働組合からは、大きな反対があったそうです。
松下幸之助は、何を言ってそれを押し切ったのか。それは「1日休養、1日教養」という指針でした。

今回精度が導入されて1日増えた”休み”、あなたは何に使いますか?

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