コンプレックスを「力の源泉」にする、ということ
「自分に◯◯さえあれば」 ……もっと良い人生のはずなのに。
こういう思いって、かなり強烈ですよね。そして、自分の悩みが一番深いと思ってしまいがちです。しかし、しかし。これまで多くのリーダーのサポートをしてきましたが、誰しも、悩んでます。みんな。そして「自分が一番悩んでるのでは？」と、多くがそう思ってます。
この現象は本当に興味深くて、誰もがうらやむ経歴、文句の言いようのない実績を持っているような人でも、やっぱりそうなんですよね。何かしらの強いコンプレックスを持っている。
しかも、ちょっと深く聞いてみると、「え、本当にそんなどうでもいいこと（失礼）で悩んでるんですか...？」と言いたくなるようなものも多いです。
他にすばらしい実績や能力を持っているのだから、そんな悩みはあなたほどの人にとってはものすごく些末でしょう、と思いたくなるのですが。
しかし、当の本人はまったくの大真面目なんですよね。そのたった一つや二つのコンプレックスのために、自分の人生は大きく欠けてしまっている、などと思ってしまっている。
客観的に見て、面白いとも思えるレベルです。（ご本人には失礼ですが）
しかしながら一方で、現実には、そういう思いを持っていることこそ、とても大切なのだろうなあとも思います。
その人にとっては、そういう悩みやコンプレックスがあるからこそ、なにくそという精神で人生をがんばってきた。そして、これからもさらに努力していきたいと考えているのですよね。
そうすれば、コンプレックスそのものがなくなるほどの成長ができるかもしれない。
そのような思考から生まれるパワーは、ものすごく大きいと思います。そしてその強烈な思いが、人生の原動力になっているような人はとても多いと感じるのです。
逆に言うと、「オレって最高」などと思ったりまわりに自慢しているような人は、それ以上の成長は見込めないかもしれません。
別に、そういう生き方を否定するものではありません。それを、「満足することを知る」姿勢だとプラスに捉えた場合は、そのような認識や考え方も大切だと思うからです。
しかしながらよくよく聞いてみると、「オレ最高」と言ってる人ほど、「もっと大きく見られたい」という、自身の無さからくるコンプレックスをこじらせているようにも思えます。
少なくとも、僕が会った「オレ最高」人材はみなそうでした。自分で自分の経歴や実績を自慢する人ほど、客観的にはあまり魅力的には見えないという。残念ながら。
そういう人は、実際には自分のコンプレックスから「逃げ」ているだけなのかもしれません。だから、それ以上の成長も目指さない。自分を騙し、無理に納得させた結果の「オレ最高」なのかも、と思ったりもします。
▶ 自分のコンプレックスをポジティブに捉える
自分だけが密かに抱える悩みに苛まれ続けることは、つらいものです。しかし、だからこそ、それに対する考え方、向き合い方がとても重要だと思います。単に「つらい」と思っているだけでは、何も解決しないのですから。
そのような負の思いを、正のエネルギーに転換すること。むしろ、そのパワーを自分の武器にしてしまうこと。それくらいの姿勢が大事なのだと思うのです。
かつて、僕がメンターとしてサポートしていたある経営者は、ご自身の経歴に強いコンプレックスを持っていました。
その業界は、かなり華々しい経歴の人が集まっており、そのために自分がまわりからバカにされているのでは、などと感じてしまうと。
ただ実際には別にそんなことはないでしょうし、実際に面と向かって何かを言われた訳ではありません。本人も、それは頭では分かっていても、それでもどうしても気にしてしまうとのことでした。（自分が勝手に持ってしまっている）負い目から、なかなか逃れられないということです。
だからこそ、そういう「悩んでもムダ」で、今さら解決しようもないコンプレックスを心から消してしまおうと、その社長は仕事をものすごくがんばったのですよね。
その結果、業界でも圧倒的な存在を示す会社に成長しました。
そして彼いわく、「もし自分に、人に自慢できるような経歴があったら、ここまではがんばれなかったと思います」と。そして、「負け惜しみに聞こえるかもしれないですが、本当にそう思ってるんです」と。
メンターとして、僕は、これが単なる負け惜しみの言葉だとはまったく感じられませんでした。別に、何も負けてないのですから。あたり前です。
彼の、「もっとがんばりたい」という極めて強いエネルギーがあったからこそ、誰もが認める成長と実績を達成したのだと思います。
自分には、悩みやコンプレックスがある。しかしそれがあったからこそ、がんばることができた。
そのように振り返られる人生は、本当にすばらしいものだと思います。
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Voicyで、この内容についてさらに掘り下げました。よろしければぜひお聞きください
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