日本が超高齢国家になったの、意外と最近の話なの知ってます?
平均寿命という言葉があります。厚生労働省が2019年7月30日に公表した簡易生命表によると、2018年の日本人の平均寿命は男性81.25歳、女性は87.32歳で過去最高を更新したそうです。
平均寿命の長波推移グラフはこちらです。
驚くのは、太平洋戦争まで、男女とも平均寿命は50歳にも達していなかったということです。
織田信長で有名な敦盛の歌「人間五十年~♪」がありますが、戦国時代どころか昭和まで「人間五十年」だったわけです。
但し、これ、勘違いしている人多いのですが、平均寿命とは現在の死亡者の平均年齢を指しているわけではありません。今、現役の人たちが何歳まで生きられるかという指標でもありません。平均寿命とは、正確には、0歳時の平均余命のことを指します。要するに、今生まれた赤ちゃんが何歳まで生きられるかというものです。
そして、昔の平均寿命が短いのは、みんな50歳くらいまでしか生きられなかったという意味でもありません。昔は、乳児死亡率が高かったために全体合算すると平均寿命が短くなっただけです。
平均ですから、100歳で死ぬ人が50人、0歳で死ぬ人が50人いると、平均寿命は50歳になります。太平洋戦争前は、この0~10歳未満での死亡率が異常に高かったために、平均すると50歳に達しなかったのです。
江戸時代の平均寿命は30歳台と言われていますが、あの葛飾北斎は享年90歳です。徳川家康だって73歳くらいまで生きたし、なんならその前の戦国時代でさえ北条幻庵は97歳、その父の北条早雲も88歳、関ヶ原の合戦で名をはせた島津義弘も85歳、毛利元就も75歳まで生きています。今とそう変わらりません。
縄文時代の平均寿命は15歳でした。でも、それで8人くらい子どもを産んでいたわけです。おかしいですよね。毎年生んでも7歳くらいから生んでいる計算になります。これも乳児死亡率が高かったために、平均15歳になっただけで、実際縄文時代の人たちも30年以上は生きていたそうです。
乳児死亡率を抜いて、実質昔の人が何歳まで生きていたかを知るには、20歳児の平均余命で比較すればいいことになります。
それで見るとこうなります。
江戸時代から明治大正昭和前期にかけては、男性は大体60歳くらいまでは平均して生きたことになります。
だとしても、戦後の急激な長寿化はすさまじいものがあります。それを実現したのは、乳児死亡率を激減させた医療技術の進歩が、高齢者を救う方向へシフトしていったからでしょう(ちなみに現在の乳児死亡率は0.9です。インドの25.0やパキスタンの45.6と比しても圧倒的に低いですし、アメリカの2.3と比べても半分以下です)。
これ自体は、喜ばしいことではありますが、それによって日本の高齢国家化が進行したとも言えます。
日本が世界に冠たる超高齢国家であることはご存じのことと思います。最新の2019年9月実績では、全人口に占める65歳以上の高齢者人口は3588万人、総人口比28.4%と過去最高を記録し、当然世界一の高齢者率です。
ですが、日本が超高齢国家なのは昔からではなく、1995年以降のことだっていうのご存じでしたか?
意外に最近の話なんです。
それまでは、欧米諸国の方が高齢者率は高かった。
ディープインパクトのように、最後尾から一気に各国をごぼう抜きにしていった様子がわかります。そして、将来推計2060年には、約4割が高齢者の国になるとかならないとか…。
でも、逆に考えれば、60歳で死ぬ時代と比べて20年は寿命が延びたわけで、かつての40歳と今の40歳とでは随分若さも違います。
この写真をご覧ください。
1976年頃の「太陽にほえろ」の1シーンですが、この一番右の松田優作は別として、長さん44歳、ボス38歳、山さん41歳ですからね、これで。貫禄ありました。昔は40歳なんて全員こんなもんでしたよ。
むしろ65歳以上をいつまで高齢者扱いするのか?という話です。
高齢者は支えられる立場ではなく、現役として支える立場としてがんばっていただかないと。
「増えすぎた高齢者が国を圧迫する」という考え方ではなく、「豊富な高齢者をうまく活用して経済を回す」という方向に、そろそろシフトしていかないといけないのではないでしょうか?
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