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新しい働き方は定着するのか その論点を考える

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

リモートワークを始めて2年弱の時間が経とうとしています。いまでは毎日会社に出勤したり、2ヶ月に1回は海外出張をしていたことが嘘のように思えます。この週末は毎年審査員をしている「SPAJAM」というハッカソンのために箱根に行っていたのですが、ハイシーズンということもあり高速は大渋滞。箱根湯本の駅前も以前のような賑わいが戻ってきていました。

依然として今後の見通しは不透明なままではあります。しかし、SPAJAM参加者に最近の働き方を聞いてみると、特にIT業界については完全に働き方が変わったなという印象を受けます。

一方で法整備などの制度面においてはまだまだ現実に追いついていない部分が目立ちます。

新型コロナウイルスの感染防止策として、テレワークなど新しい働き方が広がった。仕事の時間配分を働き手が決める裁量労働制の対象を広げる議論もある。働いた時間や場所でなく、成果で評価する動きが進めば生産性も改善する。新たな流れを後押しする環境づくりについて聞いた。

代表的な論点は、

・労働時間の管理
・自宅を仕事場とすることによる弊害
・関係性の維持や孤独感によるメンタルヘルスの問題

などが挙げられるでしょう。記事中のサイボウズ社長の青野さんによると、働き方のキーワードは「自立」だそうです。

「働き方改革の基本は多様性だ。幸せの形は人それぞれ。一律だとうまくいかない。自分と異なる同僚の働き方が刺激になり、それがさらに個々の働き手の自立につながる。」

一般的に日本企業は1つのルールを決め、それを守ることを良しとする文化があると思います。新しい働き方の肝はいかに「一律で決めないか」にあり、企業が努力すべきなのは「選択肢」を用意することでしょう。自分で決めたことだからこそ責任感が生まれ、やりがいを持って業務に集中することができる。そのような好循環を仕組みとして企業文化へと昇華させることが経営者の大きな仕事の1つになります。

副業についても同じことが言えるでしょう。政府は副業推進に舵を切りましたが、労働時間管理の負担増を理由に認めていない企業も多いです。制度面では、みなし労働時間を予め定める裁量労働制や高度プロフェッショナル制度などが整備されてきました。しかし、導入のハードルの高さや制度の使いにくさがあり導入は低調です。より企業が活用しやすいシンプルな制度体系を議論すべきときにきていると考えています。

もう1つの論点として、リモートワークは個人の居住スペースに企業がフリーライドしているのではないかという点です。光熱費や通信費、仕事をするための機器などについては必要経費として手当を支給するなど、企業が一定の負担をすべきでしょう。

そうなってくると既存のオフィスとはなにか?という議論が出てきます。それが先ほどの最後の論点です。より関係性を深めるのに対面は引き続き有効な手段です。誰ともリアルに合わない、自宅でずっと一人であることによる孤独感の解消といった点で、オフィスの利活用を考えるべきでしょう。

大企業でも変化の兆しが見られます。NECは社員食堂を社外の人も含めたコラボレーション・スペースとして開放するとのことです。

最近ではカフェなどで仕事をする姿を見かけることが増えましたが、近くにいる私の方まで会議の内容が聞こえてしまって他人事ながらヒヤヒヤすることもあります。そういう意味ではオフィスは安全に商談や社員間で会話をすることができます。これも1つの選択肢として用意しておくと良いのではないでしょうか。

コロナ感染の拡大が一服し、一部企業ではオフィスへの出勤を主体とするなどコロナ前に回帰する動きも始まっています。未曾有の危機であるコロナ禍がもたらした変化を機会と捉え、新しい働き方として定着させるための改革を推進していきたいものです。

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タイトル画像提供:jessie / PIXTA(ピクスタ)

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