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いつまで寝ているの?ニッポンー発想の転換の最終段階(上)

日本の偏差値が下がっている
世界の様々な分野・指標で、日本の位置づけがさがっている、日本の世界ランキングが落ちているとの情報に接することが増えた。その情報に接して、ホンマか・そうなんやと嘆き・落ち込む人、ウソや・そんなことは無いわと反発する人・発憤する人、いろいろな反応がある

そんな報道に接するたびに、「ジョハリの窓」を思い出す。企業の人事研修などでよく紹介される有名なマトリックス

「私が知っている、私が知らない、あなたが知っている、あなたが知らない」の4象限で、自分と他者との認識の違いをつかみ、他者とのコミュニケーションのあり方を考える心理学モデル

【開放の窓】私も、相手もよく知っている私
【秘密の窓】私は知っているが、相手には隠している私
【盲点の窓】相手は知っているが、私は気づいていない私
【未知の窓】私も、相手も知らない私

自分はこの4章限のどこにいるかを認識して、自らを変える

ラグビーのワールドカップが終わった
アルゼンチンや南アフリカやアイルランドやニュージーランドが強いのは分かる

ただヨーロッパのチームで
フランスやイングランドのような常連国でない国がラグビー強豪国と互角に戦ったりすると
なんとなく違和感を覚える
しかしその国は日本と世界ランキングほぼ同じ

日本はどういう観点で
見ているのだろう?

世界のことがよく分かっていない

では、質問
メキシコ・ブラジルは
先進国か開発途上国か?
と訊ねると

日本人はどう答えるだろうか?
答えは、両国とも、先進国
技術力も経済力も、先進国である

日本人は
メキシコやブラジルというと
メキシコは、砂漠にサボテン
ブラジルは、コーヒー、サッカー、サンバ
そんな昔のイメージで連想する

20年・30年前の頃の先入観で
思考が止まっているのではないか

日本にあてはめると
フジヤマ・サムライ・ゲイシャ
歌舞伎町の風俗をみて
日本はレベルが低いんじゃないかと
言われているようなもの

中国はどうか?
国際特許件数は世界一
デジタル技術の社会実装は突出している
中国の半導体技術、AI技術に、アメリカは驚く

では、インドはどうか?
無人探査機を月の南極に着陸させる技術力がある
IT、DXの技術力は世界トップ級

日本の世界を見る目が曇っている
日本人の世界観は20年前・30年前で
停まっているのではないか

うさぎと亀の童話
山の頂上をめざして
うさぎと亀が競争して
足の速いうさぎは、大きく先行していたが
居眠りしている間に
亀に追い抜かれ、あわてて追いかけたが
間に合わなかったという物語

日本は、かつて亀だった
一所懸命、うさぎを追いかけた
そして居眠りしているうさぎを抜いた

先頭になって、まわりから
亀さん、やったね、すごいねと持て囃され
慢心して、ちょっといいかなと
横になっていたら

うさぎは目覚めて、また走り出していた
亀はあっという間に追い抜かれていた

それだけではない
自分よりも遅いと思っていた別の亀が、前にいる
えっ、どうなっているんやろ?
おかしいな、どうしてこうなったんや?

と、に進もうとするも
カラダが動かなくなっている
亀はずっと寝ている間に
前への進み方を忘れてしまっていた

なぜそうなったのか?

日本のスローガンが間違っていた。たとえば

ジャパン アズ ナンバーワン

国民を鼓舞するようなプロパガンダで
日本は国民を鼓舞してきた
プロジェクトXや下町ロケットや半沢直樹など
ドキュメントやドラマで、その気にさせてきた

その気にさせても
日本の力が、昔のように
世界で通用しなくなった
おかしいな、変やなと思うが
そんなことない、まだいける、頑張ろう
…しかし空回り

空々しくなった言葉がある

日本には、世界に冠たる技術力がある

日本に本当の技術力があったら
日本の産業がもっと伸びていたはず

伸びていないのはなぜ?
日本が寝ている間に
世界は歩きつづけていた
目を覚ましたら、風景が変わっていた
ビジネスのゲームのルールが変わっていた
まるで浦島太郎のように

たとえば大騒ぎをしていた「環境」
気がついたら
電気自動車も、太陽光発電も、風力発電も
世界の風景が変わりかけている


にもかかわらず
日本では、まだ、みんな、SDGsのパッチをつけている
排出権取引ビジネスや
環境のセミナーやシンポジウムを
継続して、積極的でおこなわれている

たしかに
誰かがそれを真面目にやっていないと
万が一の時に世界に出し抜かれる
たとえ本命ではなく
地味なことや、不確実なことも
誰かが一所懸命やっていないといけない

大事なことは全体をみること
バランスをとること

にもかかわらず
日本は、環境といったら
みんな、環境に走る
DXといったら
みんな、DXに走る

あっちだ、うわー
こっちだ、うわー
みんな、揃って、同じ方向に突っ走る

それを、もういい加減
見直さないといけない

自動車産業を例にみる

トヨタの佐藤社長は「EVでは走行中の二酸化炭素(CO2)排出量はゼロになるが、製造や運搬時にもCO2は出ている」と指摘した。国交省の久保田次長は「ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)が悪者にされる風潮があるが、製造から廃棄までのライフサイクル全体でみれば、EVと遜色ないとの見方もある」と応じた

(日本経済新聞 2023年10月27日)

トヨタの戦略は
電気自動車一本で行くわけではなく
電気自動車も、ガソリン車も、ハイブリッド車も、燃料電池自動車もする
そのトヨタの全方位戦略は揺るがない

はっきりと見えてきたことがある
日産とホンダと
トヨタとマツダとスズキとは
戦略が違っているということ

トヨタとマツダとスズキは
脱炭素に向き合うも
電気自動車一本に流れることなく
ハイブリッド、エンジンを大事にしているのが
トヨタとマツダとスズキ

それに対して、日産とホンダは電気自動車
日産は欧州で新車を2030年にすべて電気自動車する。ホンダは40年に全世界で新車を電気自動車か燃料電池自動車にする

トヨタ・マツダ・スズキは
電気自動車を視野に入れるも、基幹はエンジン
トヨタは、30年の西欧での新車の電気自動車比率は50%

二分している

トヨタ・マツダ・スズキと日産とホンダの違いはなに?

各社の本社が
関連メーカー・下請け会社が
集積した地域にあるのかどうか

日産とホンダは、国内・世界のどこからでも調達する。本社と自動車部品・関連会社が集積した地域がない。明確な企業城下町がなくなった

トヨタは名古屋、マツダは広島、スズキは遠州地域に、それぞれ本社と自動車産業を集積した地域を持っている

ものづくりの発展には
中核会社と関連会社が集積した地域
一気通貫性、高密度による
知・ナレッジの凝縮・飛躍が重要

それは歴史・産業的に明らか 

日産は昔
神奈川にそれがあった
ホンダもなくなった
日産もホンダも中国市場を見据えて
九州に工場を移した

トヨタもマツダもスズキも
本社の近傍で協力しあう会社がある
ダイムラーもそう、BMWもほんとうはそうだった

自分たちの強みを支える
地域的なものづくり工場集積を大事にしてきた
このものづくり工場集積を切れないと言ってきた

トヨタは愛知や三河の自動車部品・関連会社を切れないから、その場所にいる、そこから出ないといわれたりするが

そうではないのでは

切らないといけないのか?
切らないで、活路を切り開くことができないか?
…そう、考えるか?考えないのか?

守るものがあり
単純に守るだけの発想ならば
ともに沈んでしまう

受け身で守るのではなく
能動的に守ろうとする
生き延びるために
どうしたらいいのか
と発想する

この発想の違いが未来を大きく分ける

右か左、白か黒か、イエスかノーかの
発想からの転換が求められているのでは

次回につづく

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