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日本がベスト10から脱落した理由がよくわかる、とある大企業でのピッチイベント

先日、とある大企業のピッチイベントに参加をさせてもらいました。

いろいろ思うところ、感じことの多いイベントだったのですが、ちょうど今日の新聞記事に、「日本がスタートアップ企業のエコシステムが整備されている都市の世界ランキングベスト10から脱落した」という記事が載っていていました。

「そらそうだよな」と思うと同時に、「そんなことはない。反転できるはず」とも。


大企業の社内ピッチの審査員

「事業化前提のピッチコンテストです。気に入った事業案があったら、ぜひ、守屋さんも事業立ち上げに加わってくださいね!」ってな話しだったので、「それなら面白そうだ!」と期待をして、お受けすることにしたのです。

そして本番が近づき、本番の半月ほど前に、事務局の方から当日の説明がありました。

「当日は、各案件毎に、事業アイデア発表7分+質疑応答3分+評価記入3分+予備時間2分、でお願いします。当日のスケジュール表と評価シートはコチラです。なお、質疑では、ポジティブなフィードバックのみでお願いします。問題点の指摘はお控えください。また、数値については今回の発表の対象項目に入っていないので、論点から外していただくよう、お願いいたします」

あれっ、もしかしたら、事業化しない前提?

数字が含まれてないから、売上も利益もナシ。審査員、複数いるのに質疑時間合計3分でポジティブなフィードバック縛りだと、ひとこと、「いいねっ!」「がんばれっ!」くらいですよね?(笑)。プレゼンする人も、数値ナシで発表する事業計画だから、カネの匂いはゼロの段階で臨んでるんだろうなぁ。げっげっ・・・、って嫌な予感がしつつ、当日。(笑)

当日のプレゼン事例

そのままのプレゼン内容は共有できないので、対象となる市場などをアレンジしてみた「加工した事例」ですが、でも、当日の状況は、以下な感じでした。

・日本の学校教育に課題アリ。決められたことを、決められた人が、画一的に教えている。

・在るべきは、学びたいことを、学びたい人から、学びたい方法で学べ、真の人間力が育つ環境。

・だから、学びたい個人と、教えたい個人のマッチングプラットフォームを構築する。

・日本発、世界へ。

・参入までのスケジュール。

うん、粗筋としては分かります。イイ感じ。テーマもムチャクチャ意味意義があると思いますっ!

でも、資料のほとんど、ピッチの説明のほとんどが「日本の学校教育の問題点」で、しかも、公開されているデータや、有名人のコメントの切り貼りだったのです。粗方の時間を使って力説しなくても、普通に日常を暮らしていたら、一定程度、認識している話なのではないかと。それよりも「どうやって解決するのか?」ですよね。解決が難しいから、みんなが認識している問題が温存されているわけで。なのに「プラットフォームを構築する」としか書いてなくて、具体的な内容は記載も説明はナシ、数値は対象外なので売上や利益、必要な投資金額の記載&説明はナシ。やり切るための必要な体制もナシ。でも、世界展開をイメージした地球儀と、参入までのスケジュールはあるんですよね。(笑)

当日の守屋のコメント

そんな感じのプレゼンの連続で、「事業計画のピッチ」というよりも、「私が問題だと思っていることの共有会」だったのです。プレゼンターに対してというよりも、もはや事務局に対して突っ込みどころ満載だったのですが、審査員として与えられた3分間で中途半端に事務局に突っ込むよりも、プレゼンしてくれた人たちが、今回の事業案に限らず、この先、事業の立上げを考えていく上で役に立ちそうな「具体的な手順」を伝える方がイイんだろうなぁと思い、いろいろ考えた挙句、審査員総括のコメントの時間を使わせてもらって、以下をみなさんにお伝えしました。

・日々の仕事のなか、日常の生活のなか、何かで見た記事、何でもいいので、「困ったな」「問題だな」「こうなったらイイのに」「こんなの欲しいな」と思うことがあったら、忘れないように、それを書き留めておいてください。

・後日、時間の取れたときでもイイので、書き留めたアイデアに近しい事業がないか、探してみてください。周りの人に聞いてみてもイイし、ググったり、Q&Aサイトのようなナレッジコミュニティに助けを求めてもイイと思います。

・たくさん出てきた事業の中で、イケてるなぁ、と思える事業を3つ選んでください。アイデアにピッタリでなくてもOK、難しく考えるよりも「いい事業だなっ!」「すごいなっ!」って感じればそれでOKというような基準で、ぜひ。

・その3つの事業の「気に入ったところ、イマイチなところ」を書き出してみてください。そして、気に入ったところをさらに磨いてより良くしたり、イマイチなところを修正する方法を考えてみてください。

・その結果を俯瞰して、くっつけたり、分割したり、取捨したりして、オリジナルの事業案に整理整頓してみてください。元の事業案に似ていてもまったく構いません。そもそも「元の事業案を参考にした発展形」なのですし。1つにまとまらなかったら、2案でも、3案でも、掛け合せて4案になってしまってもイイと思います。

・そのオリジナル案を、想定顧客や対象業界の関係者、新規事業の専門家や投資家などに、ぶつけてみてください。10人くらいに訊いたら全体を磨き直し、それを3回転くらいしてみてください。きっと、力作の原型になっていること間違いなしですっ!

あとは、やるだけ。前に進む人の前に道は拓ける

ちゃんと伝え切れたのか分からないし、伝わってもやってくれるか分からないし、事務局が望んだコメントではなかったのかもなのですが、とにかく「アイデアのメモを事業計画に磨き上げる具体的な手順」を意識して、最後にまとめて語り掛けてみました。ピッチした誰よりも、熱く熱量MAXで。(笑)

伝えられたかなぁ。

ひとりだけでもイイので、「具体的な行動に繋がり、血の通った事業計画になり、肚の座った挑戦が始まる」とイイのですが。

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