【2020年】ドイツで人気のアニメとは?流通から人気作を探る
ドイツのアニメ販売会社nipponartは2020年にTVアニメ『ラーゼフォン』の全話入りBlu-rayボックスを発売しました。
今回は2020年に発売されたDVDとBlu-rayのディスク版タイトルからドイツの人気作品を探ってみます。
導入:定着した人気作品と勢いのある新作の間とは?
日本のTVアニメ作品が海外に輸出され、年々拡大していることは皆さんもご存知だと思います。先日もソニーがアニメ配信大手の米クランチロールを買収し、この傾向はさらに続きそうです。
一方で、海外でディスク版が販売されたりオンラインで配信されるアニメのタイトルはご存知でしょうか?『鬼滅の刃』や『僕のヒーローアカデミア』といった最近の大ヒット作や、『ドラゴンボール』や『ワンピース』といった超がつくほどの定番アニメは「世界でも大人気」な作品として認識されている方も多いでしょう。では、それ以外はどうでしょう?
流通からヒット作を探る
ルールは簡単です。
ドイツの日本アニメ市場では、
・割と安価に提供されるオンライン配信(クランチロール、Wakanimなど)
と
・コアなコレクターに向けられたディスク版(とくに全話入Box)
が併存しています。
このうち、ドイツのアニメ市場で流通する2020年に発売されたTVアニメ作品のうち、全話が収録されたディスク(DVD/Blu-ray)Boxに注目します。全話を購入して手元に置いておきたいと思う心理に作品の人気度をみてみようというものです。
集計にはドイツのアニメニュースサイト「anime2you」の毎月のリリース情報のまとめを参照しました。ではみてみましょう。
2020年にドイツで発売された日本のTVアニメのディスクはおよそ400点でした。これには同タイトルの続巻が含まれます。タイトル数では約100点のTVアニメがリリースを開始しました。さらに全話を収録したBoxに絞った結果が以下のリストになります。
「旧作の掘り起こし」と「急ピッチで進む新作の発売」に注目
タイトルリストを見ると、意外と古い作品やさらに古い作品が混じっているのがわかると思います。日本での放送開始年別に分布を見てみましょう。
ドイツで2020年に発売されたBox55点のうち、日本での放送開始年が2015年だった作品は14本でもっと多いことが分かります。前後の放送年にも集中していることから、
ドイツでアニメのBoxが発売されるのはおよそ5年後と言っていいでしょう。
5年前後で発売されるのが一般的なリリース計画だとすると、両極に位置する作品は特に期待、注目されている作品と言えるのではないでしょうか?
両極に位置する作品を抜き出してみましょう。
上から3作品は、日本での放送から20年近くが経過した作品です。『セーラームーン』が不動の人気を誇っているのは理解できるとして、世界名作劇場の『若草物語 ナンとジョー先生』がドイツで発売されるのは少し驚かれた方もいるのではないでしょうか?前作の『若草物語』同様に『小公女セーラ』など世界名作劇場はドイツでは90年代にTVで放送されています。こうした旧作のリリースをみると、今もファンとして手元に置いておきたいという人が多いようです。
また、『ラーゼフォン』はドイツでは2004年にすでにDVD版が発売されていますが、2020年に改めてBlu-ray版がリリースされました。(ドイツ語の参考ニュース)作品の人気が継続していることを知る手がかりになると筆者は考えます。
また、平均よりもリリース計画が早まった作品だと思われるのが、リスト後段の4作品です。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』や『ゴブリンスレイヤー』はドイツでも関連劇場作品が映画館で上映されるなど、人気の高さをうかがえます。一方で、『オーバーロード(第3期)』や『荒野のコトブキ飛行隊』はある意味、隠れたヒット作なのかもしれません。
これら4作品は売り手側の期待度の高さがうかがえる作品と言ってもいいかもしれません。
ローカル情報を丁寧に読み解く意味
さて、いかがでしたか?
ドイツで人気の作品は?とよく聞かれますか、このようにリリース情報を整理すると、見えてくるドイツのアニメユーザー像が少しくっきりと浮かび上がったのではないでしょうか?
ドイツに限らず、世界各国の情報をつぶさに見ていけば、その国独自の人気作品やその傾向が見えてくるかもしれません。みなさんはどう思われますか?
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タイトル画像:『ラーゼフォン』のBlu-ray版Boxの発売に関連したレビュー記事からのスクリーンショット。(URL)
参考情報:過去にも2017年のリリース情報を分析しています。よかったら併せて読んでみてください。