働き方改革は「これからの日本」の政策。30年後のために今、変われるか
「この5年で変化した働き方」というテーマで募集がありますので書いていきます。
「柔軟な働き方」の環境整備が進んだかが重要
いわゆる働き方改革関連法による法改正のほか、①副業・兼業ガイドライン、②テレワークガイドライン、③自営型テレワークガイドライン(≒フリーランス)といったガイドラインが策定されました。
これらのガイドラインは、働き方改革実行計画において、「柔軟な働き方」として進められてきた政策です。
働き方改革関連法による法改正は、いわば強行的に行動変容を強いるものであるので「変化して当たり前」ということになりますが、これら「柔軟な働き方」のガイドラインは強行的なものではないので、まさに「働き方がどう変わったか」が見えてくるものだと思います。
「柔軟な働き方」は進んだか?
さて、では、強行的ではない方法で進められてきた兼業・副業、テレワーク、フリーランスといった「柔軟な働き方」はどの程度進んだのでしょうか。特に企業の行動変容と関係のある兼業・副業、テレワークについて見てみます。
まず、兼業・副業の許可状況について見てみましょう。
(出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」パンフレットより)
この数字をどうとらえるかは難しいところです。一方では、「進んでいるのでは」と思うかもしれませんが、他方で、法的には原則として禁止・制限できないことを前提とすると「許可する予定はない」という企業が大半であるのは問題であるとも捉えられそうです。
次に テレワークについて見てみましょう。
(出典:厚生労働省「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」第4回資料より)
テレワークについては、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が大きく、これを機に導入した企業も多いようです。
(出典:厚生労働省「これからのテレワークでの働き方に関する検討会」第4回資料より)
政府主導での環境整備
さて、「柔軟な働き方」については、上記のとおり諸々のガイドラインが策定されているものの、様々な課題が挙げられていました。
そこで、より柔軟な働き方を推進するために、政府主導で、
① 副業・兼業ガイドライン改定
② テレワークガイドライン改定(予定)
③ フリーランスガイドライン策定(現在「案」が公表中)
といった、いわば各ガイドラインのバージョンⅡが(予定も併せて)策定、改定されるに至っています。
働き方改革は「これからの」日本をみている
さて、ここで今更ですが、改めて働き方改革が何を目指しているかを見てみましょう。
まずは、第4次産業革命下における付加価値創造による労働生産性の向上(ひいては日本の経済成長)という点です。すなわち、第4次産業革命により付加価値の獲得が重要となるなか、多様な人材が活躍することで、イノベーションを創出し、新しい価値を生み出していくということです。
次に、労働生産年齢が減少への対応です。日本の人口は、既に減少局面に入り、今後労働生産年齢人口はますます減少していきます。
(出典:厚生労働省:「働き方改革の背景に関する参考資料」より)
そのため、ここでも様々なバックグラウンドを持つ多様な人材の労働参加を図ることが重要となります。
未来のために今動くことができるか
第4次産業革命による変化は、敏感な人は大きな危機感を抱いているでしょうが、多くの人は「まだ」大丈夫と思っているかもしれません。人口減少についても「まだ」大丈夫という人が多いでしょう。
しかし、こうしてみてみると、働き方改革は、「今」起きている問題だけでなく、「これから」深刻化していく問題に対応するためのものであるということができます。
しかもそれは、2年、3年というスパンではなく、20年、30年先の日本の姿を予測したものです。
そのため、「今」の経営者や人事部門長にとっては危機感は薄く、ある意味「逃げ切れる」かもしれません。しかし、未来のためには、「今」、働き方を変化させていく必要があると思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?