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「場の心地の良さ」を生み出す - これからのオフラインの場づくりに必要なこと

最近世の中が少しずつ落ち着きを取り戻しつつあります。オフラインでの集まりに参加する機会も増えてきました。

その中で「場」に参加する際の心地の良さに触れる機会があり、場づくりにおける心地良さはどのようにつくられるのかを改めて考えました。

今回は「場」における心地の良さとは何かについて考えたいと思います。

コロナ禍における「オフラインの場」の価値の変化

オンラインが主流となり2年強時が経ちました。その中で世の中におけるオフラインの価値はどのように変化したのでしょうか。

1998年創業のヨガウエアブランド「ルルレモン」。

その強さは、ウエアを単純に売るだけでなくヨガやフィットネスなどの「すること」を提案していることにある。「エデュケーター」と呼ばれる店員は、自身もフィットネス愛好家で、商品だけでなくヨガやフィットネスに関する情報も教えてくれる。ルルレモンは草の根のヨガイベントなどを通じて、コミュニティーをつくって成長してきた歴史を持つ。ヨガのインストラクターとして登録した人に割り引きするなどし、口コミで広げていった。「体験型ブランド」とも呼ばれるゆえんだ。

スニーカーを中心にアパレルも販売する店舗を展開する「atmos(アトモス)」も「モノを売る」だけにとどまらない価値を提供しようとしていると言います。

「ストーリーを売っている」。アトモスを運営するフットロッカーアトモスジャパンの本明秀文最高経営責任者(CEO)兼チーフクリエイティブオフィサーは話す。「物を売る以外の付加価値がないと消費者は来ない」。月に3~4回、こうしたクリエーターと組んだイベントなどを実施し、「時代性にあったものをちょっと早く提供する」。

このように商業の世界では価値提供に変化が生まれています。世の中の多様性が進んだことに加え、コロナ禍における価値観の変化も伴い今までのように「モノを売る」という考えだだけでは消費者を惹きつけることは難しくなったのでしょう。

コミュニティ・イベントにおける「オフラインの場」の変化

それでは、コミュニティ・イベントにおいてオフラインの場はどのように変化しているのでしょうか。この2年間コミュニティ活動の多くはオンラインの場で行われてきました。その間、場所に関係なく参加可能なオンラインの良さを享受し、コミュニティの活動が広がる流れも生まれました。しかし、オフラインならではのセレンディピティ (偶然の出会い)は起こりにくくなり、熱量が高まりやすい場に参加する機会は減りました。人々のオフラインへの渇望感は増していったのです。

最近ようやくオフラインでの活動、イベント開催が可能となり、オフラインの場が少しずつ戻ってきています。
コロナ禍を経てオフラインの場は以前と同じようになるのでしょうか。それとも変化が求められるようになるのでしょうか。

私はオフラインの場では参加者・主催者同士のつながりがより大切になっているのではないかと考えています。オフラインの場の価値は高まっており、参加者の期待も高まっています。そうした中、オフラインの場を提供することの意味をしっかりと示す必要があるのです。

オフラインの場において大切な3つのこと

これからのオフラインの場においては今まで以上に求められることがあるように感じます。

主催者の顔が見える場づくり

これからのオフラインの場では今まで以上に主催者と参加者のつながりが大切なのではないかと考えています。

参加者は今まで以上に「つながり」を求めています。イベントやコミュニティの場に参加した時、特に知り合いがいないと、その場にいることに一定の不安を感じます。関係の質が高くない状態のため、心理的安全性が高まりづらい状態になっているのです。そうした時に、その場をつくっている主催者の顔が参加者に見えているかが大切なのです。

先日参加した数百人が集まるオフラインのイベントがありました。その際に主催者の運営チームが早いタイミングで声がけしてくれました。そしてそれ以降すれ違う度に挨拶をしてくれました。何度か質問やお願い事があった時も、主催者の顔が見えていることで安心してコミュニケーションを取ることができ、心地よくイベントを楽しむことが出来ました。

イベントやコミュニティの場において、主催者と参加者のつながりがあることは心理的安全性を高め、心地よい時間を過ごす上でもとても大事なのです。

早いタイミングで参加者同士がつながる工夫

また参加者同士のつながりが生まれることも同様にとても大事です。イベントやコミュニティに参加したタイミングでは、まだどのような人が参加しているのか、どのような思いを持って参加しているのかは分かりません。そのような状態だと、他の参加者に声がけをするのは容易ではありません。

開催したつながりをつくるセッション

私が先日参加した宿泊するキャンプ型のラーニングイベントでは、初日に参加者同士がつながるセッションを開きました。そのセッションでは、参加者が自分が最近楽しかったこと、自分の偏愛などをお互いにシェアし、それぞれの参加者のキーワードを他の人が考える時間をつくりました。その結果、セッションの参加者同士がお互いの価値観や参加目的を知ることが出来、その後数日間イベントで安心して話しかけられる"仲間"になるのです。

フラットな関係づくり

イベントにおいては、登壇者と参加者、アーティストと参加者、主催者と参加者というように様々な関係が存在します。今までのイベントやコミュニティの場では、参加する側・話す側、表現する側・楽しむ側といったように立ち位置が異なっていることが多かったように思います。ただしその場合、その場では常に提供する側とそれを受ける側に分かれてしまっています。

これからの場づくりにおいて大事なのは、参加者と主催者、登壇者と参加者がフラットな関係であることではないかと考えています。そのような関係をつくることで、参加者自身もその場をつくっていくことを自分ごととして捉え、その場にいる人が皆その時間、空間をより良くするために能動的に動く仲間になっていきます。

お互いに良い関係をつくり、学び合う関係、良い時間を共につくるというフラットな関係こそが、より心理的安全性が高く良い時間を生み出すのです。

まとめ

徐々にオフラインの場も増えてきており、コロナ禍を経て場づくりは新しいフェーズに入っています。オフラインの場で会えることの価値はこの2年間で飛躍的に高まりました。これからの場づくりにおいては、オフラインでの関係づくりをしっかりと意識した動きをすることで、より良いつながりをつくっていくことが出来る。そう考えています。



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