「肩書きなんかクソだ!」という肩書きに支配されたクソみたいな話。
僕が連載する日経COMEMOの紹介文には、こんなことが書いてある。
様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。
僕はそんな日経COMEMOのキーオピニオンリーダーという偉そうな立場でブログを書かせてもらっている。
この立場に就くきっかけは、それまでnoteでポリアモリーに関する発信を続けてきたことだった。
ポリアモリーとは、合意を得た上で複数の人と同時に、恋人的な関係を持つ恋愛スタイル。僕がこれまでポリアモリーについて書いたnoteはこちら。
ただ実際、僕が自らを「ポリアモリーです」と名乗っていた期間は短く、途中からはリレーションシップ・アナーキーという肩書きを使い出した。
リレーションシップ・アナーキー(関係性無政府状態)とは、自分と誰かの関係性を「友達」や「恋人」などの一般名称で定義することを拒否するスタンス。関連noteはこちら
この考え方は僕が目指していたゴールに限りなく近く、先日までは小島雄一郎(リレーションシップ・アナーキー)としてブログを書いていた。
でも今はその肩書も外し、ただの「小島雄一郎」として書いている。
今日はその情けない背景や経緯を、少しだけ。
■バリアフリーの邪魔をしたくない
きっかけは、この日経COMEMOでの投稿が日経新聞の本誌に載ることだった。
掲載が決まった際、日経新聞さんから「小島さん、肩書どうしましょう?」と相談があった。
その記事はバリアフリーに関する内容で「リレーションシップ・アナーキー」と直接の関連はない(本質的にはあると思っているが)内容だった。
また、何よりリレーションシップ・アナーキーなんてポリアモリー以上に知名度が低く、それが日経の本誌に登場しても、その意味がわかる読者などいない。
だからこそ知名度を上げるチャンスだ!
と思う道もあったが、その肩書きで掲載されると、記事にとってはノイズになる気がした。中身の邪魔をしてしまう気がした。
「適当に大手広告会社、とかにしておいてください」
僕はそう回答して、そのまま掲載された。
(日経新聞さんに「肩書きを変えてください」と言われたわけではない)
■酒屋の邪魔をしたくない
ちょうど同じ時期に、僕の書いた別の投稿が話題になった。
自宅の1階に著名な酒屋さんを誘致した裏側を書いたブログで、お酒好きの方や、企画書好きの方に刺さり、結構な話題になった。(今もこのブログを読んで来店してくれる人が多い)
このブログが話題になりはじめた時、僕は肩書きからリレーションシップ・アナーキーを外した。
理由は同じ。
それがこの記事にとってノイズになってしまう気がしたから。邪魔をしてしまう気がしたから。
(酒屋さんに「肩書きを消してください」と言われたわけではない)
■そして名前だけが残った
ノイズになるから。
邪魔をしたくないから。
と、つらつら書いたが、そんなのは言い訳だった気もする。
僕にはリレーションシップ・アナーキーという肩書きを乗りこなす勇気がなかっただけだ。
関係性に名前をつけたくない。
誰かの決めた関係性になんて支配されたくない。
そんな意味が込められた肩書きの名前に、僕はいつしか支配されていた。
「肩書きなんていらない!」「肩書きなんてクソだ!」と言いながら、それを必要として、それに縛られた自分が最もクソだった。
それこそ日経新聞のこんな記事でも、もう1度読んだほうがいい。
そんな自分が日経COMEMOでは、まだ「様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたち」なのだから、日経新聞さんもなかなか心が広い。
僕が持っていたものなんて所詮、自分の名前くらいだったのかもしれない。
そんな未熟者ですが、今後ともよろしくお願いします。(TOPの写真はリレーションシップ・アナーキーのシンボルマークです)