「推し活」とは、しあわせ物質を得る「擬似子育て」行動
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「推し活」とは、しあわせ物質を得る「擬似子育て」行動

荒川和久/「結婚滅亡」著者

「推し活」という言葉が流行っているらしい。

日経MJがZ世代の中の16~26歳約5000人に「推し活」をしているかどうかを聞いたところ、35.6%が推し活を楽しんでいると回答した。同様の質問をした27~38歳のミレニアル世代の回答(計19.6%)を16.0ポイント上回った。

…ということだが、いつものようにZ世代というのが他と違うものであることを強調する意図が見え見えでちょっと承服できない。アラサー世代が「推し活」割合が低く出るのは、「何をもって推し活と定義するのか」が曖昧なため〇をつけていない場合が多いからである。

「推し活」とは以前の言葉でいえば「ファン活動」のようなもので、その対象はアイドルやアーティスト、タレント、声優、Youtuber、Vtuber、お笑い芸人など多岐に渡る。場合によっては、スポーツ選手も含む。が、そもそもアラサー世代におけるファン活動では、基本的にその人の曲やグッズやチケットを購入することでの応援に限られていた。

しかし、今の「推し活」は、ネット上で投げ銭もできるし、クラファンでの支援もできるというふうに応援の仕方が広がったと言える。

言葉の定義は別にすれば、実際にここでいう「推し活」に近い行動を取るのに別に世代は関係ない。

僕は、20-50代未既婚男女15000人を対象とした調査を実施(推し活調査ではないが、オタク的に金をかける趣味というカタチ)したが、全年代通じてもっとも割合が多かったのが音楽アーティストである。

アイドルの場合は未婚の方が多くなるのだが、音楽アーティストの場合は、未既婚も年代も関係なくまんべんなく高い。

よくよく考えれば、 昔「冬のソナタ」でヨン様人気が爆発した時、わーわーきゃーきゃー騒いでいたのは既婚のおばさん軍団。アイドルオタ活も当然未婚男女の方が多いと思うかもしれないが、実際は既婚男女の割合の方が高い。

実際、アーティストやアイドル側に立って、若いファンと中年既婚ファンのどっちが「上客」かと言えば圧倒的に後者である。中年既婚のアイドルオタクは特に金を使ってくれるからだ。

Z世代特有の行動としたがる一部の魂胆者には悪いが、そういう意味で「推し活」のメイン顧客層は中年男女なのである。マーケティング的には、ここを見誤ると失敗しますよ。

但し、中年向けの体裁を演出する必要はない。むしろ、してはいけない。あくまで同年代のカリスマ的存在として君臨してもらう演出をしながらも、カゲでは中年層に金を払ってもらい、彼らに満足感を与える仕組みを作らないと失敗する。そして、大事なのは中年層は敵に回すと面倒くさいという点だ。

なぜ、中年層がアイドルやアーティストにハマるのかといえば、これこそが僕が提唱している「エモ消費」そのものだからだ。

エモ消費とは、自分の精神的充足のために金や時間をかけること。言い換えれば、自己の社会的役割を金と時間を活用して実感する行為

わかりやすくいえば、中年のおっさんやおばちゃんが若いアイドルやタレントを応援するのは、ある種の「擬似子育て」なのだ。実際に自分の子育てをしている時期はそんな暇はないかもしれないが、いざ子どもが手のかからない状態になると親は少し寂しくなる。それまで育てているということで自己の役割というもの実感していたからだ。

そこでアイドルやアーティストを応援する。駆け出しの子たちが人気が出て、売れていく様を見るのは、自分の子がそう育ったような嬉しさを感じるだろう。

この「擬似子育て」欲求は、未婚者にも通じる。未婚者がアイドルを応援しているのは恋心というより親心に近い。リアルな世界では自分の子はいないが、そういった「擬似子育て」で精神的満足を得る。「金がかかるな~」なんて言いながら、彼らは本当に幸せそうである。

ネットが出てくる前まで、そういった擬似的なつながりによって心的欲求を満足させることはできなかったかもしれない。しかし、今やそれがすごく身近にできる。未婚であっても親でしか体験できないような自己の「子育て」欲求を満足させられるのだ。

ちなみに、脳科学的には「恋愛感情」というものは存在せず、あれは「子育て感情」のバグなのだそうだ。子育てによって得られる幸せ物質(セロトニン)のために、その前段階として恋愛感情があるかのように錯覚しているだけ。

というわけで、アイドルやアーティストなどの推し活をするということは、すでに「擬似子育て」としてなんかセロトニンらしきものを得ており、それが高じるとリアルな恋愛をする必要性を失うということにもなる。未婚化や非婚化の道である。つまり、未婚者にとっては「推し活」は「擬似子育て」でもあり「擬似恋愛」でもある。

そんな「推し活」と恋愛にまつわる話を、こちらの特番でお話しました。

『石井亮次のゲキ論!「恋愛」緊急事態宣言』という番組に出演させていただいています。MCの石井亮次さんはじめ、大久保佳代子さん、ハライチ岩井勇気さん、ゆうちゃみさんといったそうそうたるメンバーに交じってパネラーやっています。

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リリースも出ています。

いよいよ、明日の深夜放送です。

とはいえ、放送エリアが、近畿と名古屋エリアなので東京ではリアルタイムではご覧いただけませんが、TVer/GYAO!/動画イズム(MBS)などの配信でも御覧いただけるようです。

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ニュースにもなっています。


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荒川和久/「結婚滅亡」著者

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。

これからも更新しますね!
荒川和久/「結婚滅亡」著者
11/13に新刊「結婚滅亡」が発売です!他著書「ソロエコノミーの襲来」 「超ソロ社会」「結婚しない男たち」等。東洋経済等でコラム執筆したり、テレビ・新聞によく出ます。独身研究家として活動させていただいてます。メディア出演・執筆・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージから。