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LGBTの6割強が誰にも明かさず。いま考える、必要な理解とは

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。最近、ダイバーシティ&インクルージョンやLGBTという言葉を以前よりよく耳にするようになりました。数年前なら「なにそれ?」という反応が多かったことを考えると、急速に認知度は広がってきたようです。

■ LGBTの認知度の広がりと残る課題

電通ダイバーシティ・ラボによる「LGBT調査」によると、2015年では37.6%だった認知度は、2018年には68.5%とほぼ倍増しています。

認知度の広がりは喜ばしいことですが、依然6割強の当事者が周囲にカミングアウトしていないということもわかりました(同調査による)。

性的少数者(LGBT)の6割強が周囲にカミングアウトしていないことが、電通ダイバーシティー・ラボの調査で分かった。伝える必要がないと考えるLGBTが多かった一方、「偏見を持たれたくない」といった理由も目立った。LGBTへの理解も進むなか、企業にとってはLGBTが働きやすい環境の整備などが急務となっている。

実際の当事者に聞くと「どうせ理解してもらえないだろうし、ヘンに気を使われるだけ」とか「そもそも言うメリットを感じない」という反応が返ってきました。

LGBTに限らず、マイノリティにやさしい企業は、多くの人にとって働きやすく魅力的な職場と言えるでしょう。パートナーがいる・いない、結婚してる・していない、子供がいる・いない、車椅子が必要・不要など、社会には多様なひとがおり、それぞれが楽しく健やかな人生を送る世の中であってほしいと思います。

■ 東京オリンピック・パラリンピックに向けて

ご存知の方も多いかと思いますが、多様性に配慮した社会というのはオリンピック・パラリンピックの開催国としては守るべき義務でもあります。


6.  このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、 財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。
(オリンピズムの根本原則より抜粋。太字は筆者による)

「日本式のおもてなし」は、ぜひこれらの多様性にも配慮したものにしていきたいですね。

■ カミングアウトとアウティング(本人の意図しない暴露)

LGBT当事者がカミングアウトを避ける理由の一つに、アウティングが怖いというのもあります。2015年にはこのことをきっかけとした投身自殺という、痛ましい事件が起こりました。

この事件は大きくニュースとしても取り上げられ、一橋大学の校舎のある東京都国立市では、全国として初めて「アウティング禁止」を盛り込んだ条例を施行しました。

東京都国立市は4月、アウティングを禁じる全国初の条例を施行。故意や悪意に基づく公表をハラスメント(嫌がらせ)に当たると定めた大学もある。有識者は「暴露は当事者の心を傷付けかねない」と取り組みへの理解を求めている。

この事件において遺族側が大学を提訴した民事訴訟の判決が、今日27日に言い渡されます。

■ もしカミングアウトを受けたら

では、もし当事者の方からカミングアウトを受けたらどうすればいいのでしょうか? まず、あなたはその方から絶大な信頼を受けていることを素直に喜び、打ち明けてくれたことに感謝の気持ちを伝えましょう。

その後で、意図しないアウティングを防止するためにも、これは「2人だけの秘密にした方がいいか」「他に誰が知っているのか」「伝えてもいいのは誰か」などの取扱いについて確認しておきましょう。

■ まとめ

いかがだったでしょうか? 今回の話をまとめると、以下の5点です。

・LGBTの認知度はここ3年で倍増
・6割強の当事者は、周囲には打ち明けていない
・性的指向による差別は五輪開催国としてもあってはならないこと
・アウティングはハラスメントである
・もしカミングアウトを受けたら、取扱いについて確認

誰もが自分らしく楽しく過ごせる社会の実現に向けて、まだまだできることは多いですね。みなさんにも、自分にはなにができるかを考えるきっかけにしていただければ幸いです。

(筆者注)
いわゆる性的マイノリティには、LGBTだけでなくクエスチョニングやインターセックス、アセクシュアルなどもあります。よって、その総称としてはLGBTQIA+だったり、LGBT+とする場合等もあります。本記事では日本の新聞社での表記に合わせ「LGBT」としています。

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タイトル画像提供: じょーじ / PIXTA(ピクスタ)

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