見出し画像

仕事のやりがいと収入を最大化する「風車の理論」

先日、キャリア相談のイベントに参加させていただいたのですが、そこでお話した「風車の理論」というのが好評だったのでここでも紹介させてください。

風は吹いているか。風車は回っているか。発電できているか。この3つの問いを自問自答し続けることが、やりがいと収入を最大化することに繋がる、というキャリア理論です。

風は吹いているか

風車で電気を作るには、当然ですが風が必要です。どんなに高性能の風車でも、全く風のないエリアに置かれていては、回転して電気を生み出すことはできません。

これと同じことが個人のキャリアにも当てはまります。

どんなに優れたスキルを持っていても、それが評価される環境にいなければ価値を生み出すことはできません。ひいてはやりがいや収入に結びつきません。

例えば、ものすごく力持ちの人は、重いものを運ぶ仕事では評価されるでしょうが、難解な文書を読んで内容を整理する仕事では必ずしも評価されるとは限りません。

自分の適性や能力、スキルをやりがいや収入に結びつけるには、まず何より自分が置かれ(てい)る環境をしっかりと調べ、評価する、という視点が欠かせないのです。

また、そもそも業界や産業、その会社自体が致命的に傾いていれば、個人の適性やスキルに関係なく、誰が何をやっても焼石に水で価値を生み出せません。環境を評価する際は、勝ち馬を見極める、というチェックも最初に必要なのです。

風車は回っているか

いくら良い風が吹く沿岸部にあっても、海に対して垂直に設置されていたりすると、昼の海風も夜の陸風もうまく捉えることができず、風車はよく回りません。

同じことがキャリアにも当てはまります。業界や産業、その会社自体が勝ち馬であることがわかり、その環境で自分の適性や能力が活かせるとわかっても、評価者がその適性や能力を理解していなければ評価はされません

また、その適性や能力の活かし方が間違っていて、価値を生み出せていないと言うケースもよくあります。例えば、広告が勝負を分ける業界にいて、広告の最新理論を熟知しているものの、何かと上から目線だったり言い回しが難解すぎて周りの理解を得られない、などです。

こうした事態を避けるためには、自分の適性や能力をうまくアピールし、それらが価値を生み出すことを周りによく理解してもらうための努力が必要不可欠です。風車の位置や向きを調整し、うまく風を捉える必要があるのです。

発電できているか

いかに風の強い沿岸部にあって、しっかりと風を捉えられるよう設置されている風車でも、その回転をモーターに伝え電力を生み出すための「つなぎ」が壊れていては、結局は電気を生み出せません。

これもキャリアで考えてみましょう。勝ち馬の業界・会社に入ることができ、そこで必要とされるスキルを持っていて、かつそれが評価者にもよく知られていたとします。しかし、結局結果を出していなければ、価値を生み出すことはできず、そうなると当然評価にもつながりません

適性や能力をうまく活かすことと、売上などの結果を出すことは、基本的には連動しています。しかし、ビジネスでは運や巡り合わせがものをいう、ということもよくありますし、粘り強さがないと乗り切れない難局も少なくないでしょう。

結果にこだわる。徹底的にこだわる。それもこだわり「続ける」。このスタンスを持っていないと、せっかくいい場所に置かれていて、うまく風を捉えている風車でも、その回転を動力に結びつけることができず、結局はうまく電気を生み出せないのです。

環境に合わせて適性にあった能力を磨く

風は吹いているか。風車は回っているか。発電できているか。この3つの質問のうち、出発点となる最初の質問は「環境」に関するものです。環境はある程度自分で選び取ることもできる反面、100%コントロールすることはできません

自分が望む会社に就職できない、ということもあるでしょうし、できても希望の通りの配属になるとは限りません。

それゆえ、環境に合わせて自分の適性を活かした能力やスキルを磨く、という視点も、現実的には欠かせないのです。

例えば、マーケティングがやりたいと新卒で入ったビール会社の配属先が、意に沿わず地方の飲食店への営業だったとします。これでは自分の風車は回らない。そう思ったとしても、すぐに転職していい結果になるとは限りません。

すぐに転職する、という考え方も否定はしませんが、ここではもう一つの選択肢を考えてみましょう。自分の適性を活かせる、かつその環境で活かすことができるスキルを磨く、という選択肢です。例えば、営業先の飲食店のマーケティング環境を分析して、コンサル的な提案をする営業スキルを身につける、などです。

環境を変えるのではなく、その環境ですでに吹いている風を、自分自身を調整することで活かす状況を作ることもできるということです。そうして今の環境で評価されれば、会社への交渉力も上がるので、本来の希望であったマーケティングの仕事への異動が叶う可能性も高くなるでしょう。

環境に合わせて適性にあった能力を磨く

「ご縁があった」「ご縁がなかった」という言葉が就職・転職の文脈でよく使われるように、キャリアは偶然と巡り合わせの賜物です。

環境については、自ら選び取る努力を最大限にしつつ、一度巡り合った環境=業界・会社・ポジションにはフルコミットして、そこで生み出せる電力を最大化するのが良いと個人的には考えます。

一方で、環境は常に移ろいゆくものですし、自分自身が成長・変化することで、適切な環境が変わってくることもあるでしょう。

風は吹いているか。風車は回っているか。発電できているか。この問いを自問自答し続けることは、そうした環境や自分自身の変化に、常に敏感であることも保障してくれるでしょう。

おわり

<記事が気に入ったらぜひ書籍も手に取ってみてください!>

新著「幸せな仕事はどこにある」では、基本的なマーケティングのフレームワークと、さらにはそれを自分自身のキャリアに活かす方法を、物語の形式で楽しく、わかりやすく学ぶことができます!

幸せな仕事はどこにある: 本当の「やりたいこと」が見つかるハカセのマーケティング講義

<この本のコンセプト(本書より)>
幸せに働きたい。
月曜日の朝に目が覚めたら、これから始まる1週間にワクワクしているような仕事がしたい。
出世なんてしなくても、有名にならなくてもいいから、本当の「やりたいこと」を見つけ、それを誰にも壊されないような働きかたを見つけたい。

この本はそう思っている人に向けて書きました。

そんな「幸せな仕事」が見つからないのは、「見つけるための方法」を知らないから、かもしれません。
私は、その方法を、自分の個性を磨くことと、誰かの役に立つことを両立させるマーケティングの考え方から学びました。
たとえば個性を磨くことは「差別化」、誰かの役に立つことは「ニーズ」という考え方が、それを教えてくれました。

この本は、ちょっと変わった先生の講義を通じてそんな考え方を学ぶことで、3人の男女がそれぞれの幸せな仕事を見つけるまでの物語を描いた「小説」です。
さあ、ページをめくって物語の世界に飛び込んでみてください。
それが「幸せな仕事」を見つけるはじめの一歩です。

幸せな仕事はどこにある: 本当の「やりたいこと」が見つかるハカセのマーケティング講義

#COMEMO
#NIKKEI

<参考にした記事>
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD221DG0S4A720C2000000/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?