見出し画像

首都高速道路株式会社 営業管理室から、なんとも怪しい未払い請求が来た話


筆者も御多分に洩れず、仕事でもプライベートのコミュニケーションでもメールを利用している。

と、多い日は一日10通くらいのペースで、怪しげなテキストが届く。
いわく、
・Amazonのアカウント止める
・クレジットカードの口座にXXな請求があった
・ETCのカードを止める
・駅ねっと(JRのオンラインサービス)を止める
・2段階認証のお願い
などなど。
思わずうっかり文面に貼ってあるリンクを踏んでしまいそうになるような本物っぽい「作品」もあるにはあるが、大抵は何かしらツッコミどころがある代物。おかげでメール経由で色々なサービスプロバイダーから連絡がきた時は、まずは粗探しモードで読み、身に覚えがなかったり、直感的におかしいと思ったりした場合は、詐欺認定してスルーする、という態度・処世術が身についた。

一方で、メールではなく、リアルな封書などで届く通知や連絡には、一定の信頼性があるような感覚がある。

この記事にもあるような感じで、筆者もメッセージがデリバリーされる手段によって、接触態度を調整し、紙に対しては、それほど神経質に疑いの目を向けない傾向があった。

と、そんなある日。首都高速道路株式会社 営業管理室からA4サイズの封書が届いた。

宛名のところには、保有する車のナンバー・名義人の名前が書かれており、なにやら未精算の首都高速の料金がこの8月9月で一回ずつあったので、至急払ってほしい由。8月9月とも「霞ヶ関料金所」と書いてある。

レター



その旨が記してあるメインのレターの他に

・「こんな時は首都高お客様センターへ」というカラー印刷でイラストを多用したチラシ

カラーチラシ


・「料金所からご持参いただいたチラシではなく、下記からの登録をお願いいたします」と題して、「ETCカードで支払う場合」「コンビニ払いの場合」「利用確認受付Webフォーム」にリンクされると思しき3つのQRコードが印刷してあるチラシ

リンク先

が同封されている。

筆者はETCを使って霞ヶ関料金所をよく通過するので、あるいは通信不良で料金が未払いになっているケースがあるかもしれない。
また、料金所にはカメラくらいついているだろうから、撮影されたナンバーを陸運局のデータと照会すれば、筆者にアクセスできることも想像に難くない。

なのであるが、このレター、色々なんとも不自然な感じする。

ので、筆者はまずカラー印刷のチラシに書かれている電話番号を検索し、それが実在のものであると確認した上で、電話してみることにした。

電話した結果、首都高速道路株式会社が封書で未払い料金の請求をすることがある、ということはわかった。しかしその先は、封書に同封されているレターに記載してある担当部署に電話して確認してほしいという。

その「同封されているレター」がそこはかとなく怪しく、そこに書いてある電話番号も信頼できない(事実検索してもどこの番号か特定できなかった)からそちらに電話したのだ。ここで真性・詐欺判定は振り出しに戻った。

次に、このレターのうち、筆者に怪しさを感じさせるポイントを整理してみた。ざっとこんな感じである。

・上記に記した様に、同封されているレターに記載されている電話番号が検索で身元確認できなかった

・首都高速道路株式会社のサイトには、同社のおおまかな組織図(部・室レベル)が載っているが、そこに営業管理室という部署名はなかった

・封筒に印刷してある住所が、港芝浦郵便局留になっている。首都高速道路株式会社がこんな記載の封筒作るだろうか?

・「連絡がない場合は、警察など関係機関へ連絡させていただく場合がある」と記してある。首都高速道路株式会社がこんなこと言うだろうか?

・振込先の銀行口座が記してあるのだが、これがあるメガバンクの「ベイサイド支店」である。首都高速道路株式会社(所在地は霞ヶ関)の口座がベイサイド支店、と言うのは、どこか奇妙な感じがする

・カラーのチラシは、記載してある電話番号も本物だし問題なさそうなのだが、メインのメッセージ(=未払いの料金請求)と関連性がなく、同封してある必然性が感じられない。封書全体に本物らしさを纏わせるための工作、と言う感じがする

・筆者はここ5−6年同じETCカードを使い、霞ヶ関インターもかなり使ってきているが、この2ヶ月に限って二回も不払いになっているのはなんとも不自然

・首都高速道路株式会社、という公的な組織からの請求にしては、レターの日付が9月12日、支払い期限が9月26日と、かなり短い

一方で、もしかしたら本物かも、と思わせる要素としては、

・封書は、送り主の住所以外は本物っぽい。宛名部分に透明なフィルムを貼って、中のレターの宛名が透けて表示される様になっているのも本物風。

封筒表
封筒裏

・料金後納郵便である、というのも本物風。

・3つのQRコードのうちの一つが、ETCカードで支払う場合、と言うのもそれっぽい。(しかしこのリンクを追った場合「一時的に使えないのでコンビニ払いを」などと誘導される可能性もあり、もしそうなら巧妙なダミーということになる)

などのポイントがある。

以上の整理を経て、筆者はこの封書は詐欺である、と認定することにした。

ちなみに、もし真性のものであった場合は申し訳ないので、首都高速道路株式会社のフォームから真偽を問い合わせている。ので、筆者の予想に反してこの請求が真性だった場合は、追ってその旨この記事に追加しようと思う。

読者の皆さんは、このレターの真偽、どう思われますか?

<追記>

フォームへの問い合わせに対して、首都高速道路株式会社から返信をいただきました。
結果、これは正しい請求でした。(私の車のETCが首都高入口で反応しなかった模様)

意図的に支払いを拒否したわけではないので、首都高の出路記録を確認してもらい、ETCで通行したものとしての料金を計算いただいた上で、精算することに相成りました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?