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「好きなことをやる」の、好きって何?

自分の好きなことをやればいい。「好き」を仕事にすればいい。「そうは言うけれど、好きが見つからない」という声を聞くことがあります。好きってなんなんでしょう?

好きを具体に求める罠

先日、SPORTS Xカンファレンスにて、オリンピック競技のスポーツアナリティクスの専門家の方や、日本代表チームやプロスポーツチームにデータマネジメントシステムを提供されている会社の代表の方などとディスカッションをする中で、スポーツ選手の中に、怪我や年齢などの理由により現役を退くにあたり、セカンドキャリアを探す中でとてもとても苦労する人がいる、というお話を聞きました。

一方で、ある大学教授と図書館の在り方を模索するプロジェクトを推進する中で、卒業研究のテーマが見出せないと悩む大学生が相当数いる、というお話を聞きました。

この二つの話は同じ根を持つものだと感じました。

好きを具体(What)に求めると、この罠にはまるのだと思うのです。

ゴールデンサークルと好き

ゴールデンサークルは、Why、How、Whatの順番で伝えることが大切であることを教えてくれます。自分の仕事の展開を考える上でも、このWhyの一貫性が大切だという記事を以前書いたことがあります。カンブリアナイトでも、WhyとHowの話をしましょう、と伝えています。

では、好きをWhaatではなく、Whyとして掴むにはどうすればよいのか。自分なりのWhyをどう掴むか。最近、あるプロジェクトで、下記のようなことを試しています。ゴールデンサークルを外側から埋めていくという方法です。

Whatから考えてみる

下記を、頭の中で思い浮かべてみてください。描き出せる人は、書き出してみてくださ合い。

1:あなたは、どんな仕事や活動をしていますか?(What)
2:その仕事や活動は、どんな未来をつくりますか?(How)
3:あなたは、なぜ、その未来をつくりたいのですか?(Why)

2と3が直結すると、自分の生活と価値観が結びつき、腹落ちして、とても心地よいのではないでしょうか。

もし、2と3がねじれていたとしたら、いろいろと考えるよい機会かもしれません。たとえば、1と2で書き出した内容を、もう少し視野を広げて書き直してみるとよいかもしれません。1で書き出した仕事以外に、何か他にしていることはありませんか? やりたいと思っていることはありませんか? 1に加筆修正を加えることで、必然的に2で描く未来の領域がかわってくるのではないでしょうか?

ちなみに、僕自身で書いてみると、下記のような感じでした。

What:あなたは、どんな仕事や活動をしていますか?

カンブリアナイトというイベントを主宰し、未来を思い描くコミュニティづくり。医療VRベンチャーで新しい医療現場および医療教育の事業展開。歩行による健康寿命延伸のしくみとコミュニティづくりの全国展開に関する世界観構築。Mistletoeのいくつかのプロジェクトでの世界観構築など。

How:その仕事や活動は、どんな未来をつくりますか?

こういう未来ってよくない? という価値観や未来像を共有しながら、その実現のために何をすればよいかを共に考え、実施する動きに関わっています。誰もが、望まざる現在を変えようとし、望ましい未来をつくろうと活動できるような世界をつくりたいです。誰もが、未来に目を向け、思い描く未来の実現に可能性を感じて、そこに向かって生きていける世界をつくりたいです。

Why:あなたは、なぜ、その未来をつくりたいのですか?

僕自身が、未来に可能性を感じたからこそ生きてこれらたから。中学生のころにいじめを受け、すべてを終わりにしたいという思いがふと頭をよぎったときにも、そうせずに生きられたのは、広がる世界と未来を感じられたから。

好きは、価値基準なんだと思うのです。

好き=価値基準と考えてみる

好きを具体に置くと、自分の好きなことを追い求めている中で、実力や運が伴わず夢破れて挫折したとき、立ち上がるのが本当に大変です。僕は、小学生のころから漫画家になりたくてなりたくて、二十歳過ぎにビッグコミックスピリッツという雑誌で担当編集者さんと一緒にデビューを目指す中で、夢破れたことがあります。そのときに、自分なりに、好きの抽象度を無理やり上げて、納得して、転身するという機会を得ました。それが、現在のポートフォリオワークにもつながっています。

Whatは、全員がわかることです。まさに今やっていることだから。そこを手がかりに、Howを語る。これは、今やっていることが実装された世界なので、地続きで語ることができる未来像だと思います。その未来像から、Whyを見出す。どうして、その未来をつくりたいのだろう? と。

外出する機会が減っているこのタイミングをつかって、内省の旅に出てみるのも面白いと思います。

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