【イベントレポ】Nサロン 集中講座 「新規事業のリアル」
8月27日に日本経済新聞社2階 Space nio で開催された
Nサロンの集中講座**「新規事業のリアル」
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初回講義はNサロンメンバー以外の一般のかたにも公開されました。
会場は満席の状態で参加者の意気込みが感じられます。
講師の富岡大悟さん
いくつかの企業を経営されている富岡さん。
その中の一つM&A BANK株式会社ではM&Aの情報をわかりやすくYouTubeで動画配信したりしています。
さらに富岡さんは第一期のNサロンのメンバーでした。
「こういうイベントがあるときに半年前はオーディエンスだった自分が今、登壇している。これがNサロンの特徴です。」
メンバーが自発的にどんどん活動の幅を広げていくというのは日経新聞とnoteが共同で運営するNサロンならでは、の特徴です。
今日はゲストもお迎えして新規事業について色々と伺います。
それでは講義スタートです。
まずは新規事業についての全体像についてです。
富岡さんによるとざっくりこの5つのフェーズに分けられるといいます。
「①の意義・目的を飛ばして新規事業やっちゃう企業も意外と多い」のだそうですが、今日はこの5つのなかで、②の「どんな企業文化や制度で新規事業をするのだろうか?」をメーンテーマにお話がすすめられます。
そこで、会場への質問です。
Nサロンとは日経新聞とnoteのピースオブケイクが共同で運営するオンラインサロンです。
Nサロンは日経新聞にとって新規事業になるのでしょうか?
答えはYes。
当たり前に見えるかもしれませんが、新規事業というのはその会社にとって新しい事業のことです。
そもそも新規事業っていうのはどういうものをさすのでしょうか?そして最近本当によく耳にする「起業」や「スタートアップ」とどうちがうのでしょうか。
ちょっと勘違いしがちなのは・・・
「新規事業」は「スタートアップ」のように世の中にない新しい事業をやらなければいけないということではないのです。
では①の意義、目的について簡単に例をみていきます。
意義、目的は会社によって様々で、それぞれに違います。
さて、そこがおさえられたところで本日のメーンテーマ。
②新規事業における企業文化・制度とは
富岡さんによると企画アイデアなどを考えるところが重要視されがちですが、本当に大事なのは企業文化と制度だといいます。
そして出された「うまくいかなそうな新規事業の考え方」というスライド。
こうやって見ると「その通り」ですが意外とこんな思考に陥りがちです。
そこで富岡さんが考えるこんな考えに陥ったときの対応方法とも言える考え方。逆説的に考えてみます。
さて、ここで豪華ゲストの登場です!
2006年にサイバーエージェントに入社したきっかけは
「とりあえず同期がいいやつで、なんかこれからのびそうだからITかな〜」という完全にノリだったといいます。
入社当初は広告代理店部門に配属され、社会人3年目に子会社の代表に抜擢されます。7年間子会社の社長を経験されたあとゲーム事業のスタッフ部門に責任者として配属されます。そこでAmazonプライムでおなじみの「バチェラー」に出演。ここから人生が変わっていったといいます。
ご自身で志願して**Abema TV **へ移動しアナウンス室を立ち上げ。今年の2月に退職され独立されたそうです。
まず、小柳津さんがこれまで挑戦された新規事業について伺います。
IT業界って流れがどんどん変わっていくんです。
流れが変わるごとに自分のミッションも2年に一回くらいのスパンで変わってきました。
広告代理業、ガラケーのサイト制作事業、ゲーム事業・・・スマホのゲーム事業などなど
29歳から30歳の時、アメリカのNBAやNFLの高額なスポーツライセンスを支払い契約、日米での事業展開にチャレンジするもアメリカ事業をなんと大失敗したといいます。24億円ほど「溶かした」といいます。
約半年でアメリカ、小柳津さんNYでの生活を終了して帰国。
そこで小柳津さんはサイバーエージェントの企業風土・文化を語ります。
サイバーエージェントではたとえ事業の失敗が見えていたとしても、責任者に判断を一任し、上司は責任者が撤退判断を下すまでは強制的に撤退を宣告しなかったんです。
我慢の経営を知っている。失敗するなら次の成功につながるように我慢して見守る企業風土ができている。
ここからはお二人のトークを抜粋してみます。
富岡さん:スマホの登場など、社会の流れを読んで全社的に新しい事業に取り組むのでしょうか?それともだれかが「やりたいです!」と発案するのでしょうか?
小柳津さん:新規事業の生まれかたって両方あって、トップダウンで「コレはくるだろう!」と経営陣で事業をやると決めて誰を抜擢するかはりつけるパターンと後はボトムアップで若手が手を挙げてやるパターンとあります。
ただ、7割トップダウンで事業プラン考えて新規事業が生まれるパターンが多いかなと思います。
僕の場合は30まではわりとトップダウンでしたが、30歳を過ぎた頃からは自分で発案して承認を得られてやっていましたね。
富岡さん:それはアメリカに行ったときの話でいうと、当初から何ヶ月で何十億かかります、のようなことが認めてもらえたってことですか?
小柳津さん:ライセンス契約するとはじめに何十億という額が動くので、それは承認をとりました。会社も「いけるんじゃないか」って。
ただ、アメリカの事業失敗して帰国したときにすごいなと思ったのは「やれるだけやったんだから、次頑張れって」
そこで24億溶かしてたんで、あと5年はやめられないな、って思ってサイバーエージェントで頑張らないと、と思いましたね。
富岡さん:そのあとどのポジションに行かれたんですか?
小柳津さん:自分がやってた会社(子会社)を自分の判断でつぶすことにしたんです。サイバーエージェントの全体像を見てそうすることにしました。
それから3年くらい10社くらいの子会社の下支えするゲーム作成以外のスタッフ部門の責任者をやってました。 広報、宣伝、人事,技術統括、カスタマーサポート、海外とのアライアンス、経営企画などをやりました。
10社が競争するけど、協調するような文化作りに従事しました。
そこからAmazonプライムに出ました。
富岡さん:ふつう、他の会社だと新規事業に撤退した人が帰国したら閑職というか左遷みたいなあつかいになることあるとおもうんですが・・・それでいうと本流っていうか活躍できるポジションを与えられたんですよね?
小柳津さん:そうですね、全力の失敗に対してはそうとう許容、むしろ応援してくれましたね。
みんな会社の金をつかうことにビビるんですよ。会社の金なんて使い倒しても死ぬわけじゃない。その分失敗経験値が身につくので、失敗しても次のチャレンジをし続けるヤツだったら投資をしてもいいんじゃないかっていう会社の考え方ですね。
上(経営側)からいうと数十億使える猛者を探してるって思うんですよね。
富岡さん:Abemaっていうと完璧なトップダウン事業ですよね?
小柳津さん:そうですね、これは完璧なトップダウンでスピード優先でしたね。
富岡さん:こういう場合はトップダウンがいい、こういう場合はボトムアップがいいっていうのはありますか?
小柳津さん:どっちも正解はないと思うんですが、トップダウンの方が基本的にスピードが速い。ただ、企業文化としてはボトムアップで成功する事業がぽんぽん生まれる会社がサイコーですね。
やれてるグループあまり見たことないですけど、若手が意気揚々とやってみたいというとやれる会社って最強ですよね。
ヒット確率でいうと3割打者くらいのグループあったら最強だと思いますね。
富岡さん:サイバーエージェントって世の中全体でいうとかなりボトムアップでうまくいっているイメージありますけど。
小柳津さん:かなりそうですね、眠れる宝が隠れてる可能性があって
若手の感覚で成功する事業ってぜったいあるはずなんで、それをむげにしないっていう環境は大事だと思います。
サイバーエージェントの企業文化とその中でもトップを走り続けてきた小柳津さんのトーク、さすがに聞き応えがあります。
そんな小柳津さんの現在の事業について話題は進みます。
小柳津さんが運営されているオンラインサロン。なんとすでに170人以上の会員が登録しています。営利目的というよりはムーブメントとしてやっている事業。
組織人としてやっていくことは大事だが、人生は一度なので二足、三足のわらじを履いてやりたいことをやっていこうよ。「パラレルキャリアを作って行くための選択肢の提示と後押しをするサロン」だそうです。
そしてこちらが小柳津さんのYouTubeチャンネル
また、スタートアップ、企業準備中なのだそうで・・・
Wellness/Wellbeingのサブスクリプションモデルを立ち上げ中だそうです。
小柳津さんご自身が欲しい!と思ってかつ世の中にもニーズあるよね、というものを事業化していくそうです。絶賛ブレスト中だとか。
目が離せませんね。
ここまで、小柳津さんが携わった新規事業、これから立ち上げ予定の新規事業でした。
ここで小柳津さんが所属していたサイバーエージェントの企業文化についてさらに詳しくお話を伺います。
制度も独特なものがあるサイバーエージェント実際にはどんな制度や文化があるのでしょうか。
まずは「ジギョつく」
「ジギョつく」はボトムアップな事業プラン提案制度で、現場の人達が半年に一度事業プランコンテストを開催し、優勝した人には100万円ぷらす事業化をするかも、というものです。
現場の子達が新規事業を提案してもいいんだっていう風土を作るためのプランです。
小柳津さん:
事業を考えるだけでも脳みその使っている部分って変わってると思うんで、こういうことって大事だなと思います。何度もプランを出している人でも、ココ経由で子会社の社長になったりする人います。
プランさえあればぶつけられる場所があるっていうことで、意思に対する風通しがいい会社なのかなと思います。
そして、ここでいろんな制度、抜擢人事、組織の統廃合ができる会議「あした会議」
大きく会社が半年に一度変わる場、なのだそうです。
参加するのは幹部陣、若手枠がいて40名〜50名が集まって合宿形式で行われるのだそうです。
「あした会議」に出席できる若手は一目置かれる存在になる、
いわゆる「誉れ」の生まれる場なのだそうです。
この場で人事さえ一瞬で決まってしまう、すごい場所です。
ここで小柳津さんの理想の企業文化について、あくまでもサイバーエージェントでの例と前提としながら・・・
理想としてはボトムアップで若手がアイデアを提案し、したからアイデアがでてきて、事業が生まれる。しかし現実は、成功確度的には上層部で決めて抜擢してという形がありますね。でも、コレが文化としては理想かなと思いますね。
ここで富岡さんが企業内の責任者へのインセンティブ設計について切り込みます。みんなが知りたいところ。
給与体系、ストックのインセンティブなんかあるのでしょうか?
小柳津さん:サイバーエージェントでは内在的な価値と外在的な価値で・・・内在的価値はやりがい、自己成長、経験値。外在的価値は金銭的報酬ですね。
サイバーエージェント内では金銭報酬はそれほど低くなかったと思うんです。
ベースの給与はそれなりのレンジがあるので、営業利益によって給与がべらぼうに変わるってことはないですね。
給与もモチベーションの一つですが、そこが利益をそのまま得る起業と企業内での新規事業の違いとも言えます。
事業コミットに対するモチベーションアップのために金銭報酬制度をつける会社がけっこうありますが、あまりポジティブではないといいます。
小柳津さん:企業内での新規事業とは、金銭報酬よりも、会社をいかに利用して自分の経験価値に変えていくかという、すごく尊いチャレンジだと思います。
ここまでサイバーエージェントの企業文化、そのトップを走ってきた小柳津さんのご経験を伺ってきましたが、ここで参加者同士でグループディスカッションをしました。テーマは・・・
会場からの意見の一部をご紹介すると・・・
・業界、企業文化、企業規模によって制度が違うと思う。自分の会社はボトムアップが強く常時なにかしらの新規事業が走っている状態だ。
・制度としてボトムアップの提案をする制度はあるが実際に手を挙げる若手は少ない。
・自分たちが主体ではない場所に配属されているときにどうすべきなのか。
・IT企業とメーカーは新規事業についての考え方が全然違う。
など熱い意見交換が行われました。
さて、話はさらに進み・・・
みんながききたい、「新規事業、成功の秘訣」
まずは事業を立ち上げるのにマーケットがそこにあるかないか。
そして担当者がただのお金儲けではなく、自分ごと化しているかどうか。
さらにビジネスはその事業が最速か、もしくは最高であることが重要だといいます。とにかく新しいマーケットはスピード優先だといいます。
さらに新規事業を説明するときに、
誰に対して何をというコピーのような一言化できることが必要だといいます。複雑な事業をやるときこそ、シンプルな一言化ができること、これが責任者の仕事だと小柳津さんはいいます。
ここで富岡さんが突如質問します。
Nサロンって一言で言うと何でしょうか??
小柳津さん:ハイエンドなビジネスパーソンのハイエンドな交流の場ではないでしょうか?
さて、話は元に戻ります。
小柳津さんの今。
今小柳津さんは「自分が欲しいもの」を事業化していきたいといいます。
それが一番自分ごと化しやすいといいます。さらに小柳津さんのお話は続きます。質問は、
自分ごと化という観点でいうと、美容周りでいうと美容針は行きますし、パーソナルジム行きますし、脱毛サロン、痩身サロン、ビタミン点滴などけっこうな投資をしています。自分が経営していないところに投資しているのでだったら自分でやってしまおうというのが一番の自分ごと化ですね。
あとは「なぜ、オンラインサロン?」ですけど、つまらなさそうなサラリーマンがたくさんいるなと感じていて、会社で働くことは尊いと思うんですが、課外活動などをとおして2足、3足のわらじを履くチャレンジを促すサロンをやりたいと思ってます。
ここで富岡さんからほんとの新規事業のリアルについて話が及びます。それは・・・そうNサロン。
3ヶ月程前、富岡さんがこの講座の開催を打診された時とこの日実際に開催された時とでは内容が変わってきているといいます。
講座回数、日時、料金、開催場所、人数などなどほとんどのことが変わっているのだそうです。これは「だから悪い」というわけではなくて
コレが新規事業の本当のリアルだと富岡さんは言います。なるほど!
こうやって最初のプランニングと全く変わってくるものだし、コレを乗り越えないと生まれないといいます。
サイバーエージェントの企業文化、そこでトップを突き進んでいた小柳津さんのリアルな体験、そして富岡さんの新規事業で体験されている実際の「リアル」など盛りだくさんの講座となりました。
個人的には「一言化」にズドーンと心を持ってかれました。
どんな良い事業を思いついても人に伝えることができなければ意味がないのです。
わかってもらえる、は甘いのです。
そして、実はこのレポートでも伝えきれなかったことがたくさんあったのです。
ぜひ、この充実の講座、リアルで体験していただきたいです。
この講座は次回も豪華ゲストをお迎えして開催されます。
なんとゲストは江藤美帆さん!
どんなお話に展開していくのか、こういうイベントは会話のすみっこに隠れたレポートに書けない裏話もとても楽しみなのです。
この講座はNサロンメンバー限定となります。
オンラインサロンメンバーになると動画配信が見られます。リアルタイムで見られないけどどうしても見たい!って方にもオススメです。
さらにクレジットカード決済で入会すると初月無料です。
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