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日経世界シェア:存在感を増す中国と落ち込む日本

昨年に引き続き、日本経済新聞が74品目に対して、世界シェアをまとめたビジュアルデータを公開した。

昨年の内容は1年前に投稿したCOMEMOで詳しく書いたが、新興国の勢いがあるものの、未だに日系企業の存在感が強く、米国に次ぐポジションにいたことがわかった。また、アジア勢の占めるシェアが大きく、産業界におけるアジア諸国の存在感が大きくなっていることも見て取れた。

それでは、昨年と比べた時の、今年の動向についても見ていきたい。


強い米国と中国に追い落とされる日本

下図は、国別の産業シェアの結果を昨年と今年で比較したグラフだ。シェア1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点で集計している。それにより、73産業(航空系アライアンスを除く)における各国の存在感を可視化している。

この結果を見ると、まず、産業別シェアにおける米国の影響力の強さがわかる。約3割の25産業でシェア1位をとっており、他の追従を許していない。第2位の中国に対してもダブルスコアに近い。経済の中心として、米国の強さが良くわかる。特に、金融産業と情報通信系産業(HDDなどのハード面、OSなどのソフト面双方)において圧倒的なシェアを誇ってる。

次に目に留まるのが、中国の成長だ。昨年までは、日本のスコアが第2位だったのに対し、中国が追い抜かして第2位に浮上している。シェア第1位をとっている産業の数では、日本が11、中国が10と、まだ日本が勝っているが楽観視できる状況にない。特に、日本がトップシェアを持っている「中小型液晶パネル」では中国からの追い上げが激しい。


伸びるアジア、専門特化する欧州

日本が楽観視できない現状にあることは、中国の成長だけを指すのではない。日本のスコアはアジア諸国の中で唯一減少しており、急成長するアジア経済の波に乗り切れていない現状が浮き彫りになっている。

韓国と台湾が、電気機器産業を中心に存在感を増している。また、インドやインドネシアといった新興国も堅調に成長している。人口ボーナスがあるとはいえ、日本からなかなか生まれてこないユニコーン企業が次々と生まれており、大企業だけではなく、ベンチャー企業も勢いがある。

一方、日本と同様に存在感が薄くなっているのが欧州諸国だ。ドイツは日本同様に、産業シェアを下げている。そのような中、スイスやオランダのように、専門特化することでシェアを確保している国も見て取れる。具体的には、お茶や腕時計などの嗜好性の高い産業、医療・医薬関連の高度な科学技術が必要な産業にて強い存在感を発揮している。


日本は、何が強い国になるのか?

「ものつくり」の国、日本という事実は、いつしか幻想となってしまった。10年前、世界市場をほぼ独占していた自動二輪の市場が、インド勢に塗り替えられるようになると誰が想像できていただろうか?同様に、中大型トラックの市場も、中国とインドメーカーにシェアを奪われてしまった。

「自動車や自動二輪はすり合わせ産業だから、日本の優位性が崩れることはない」と経営学部の学生時代に習ったが、そんなことはなかった。いまや、安泰と言えるような産業は無いと言える。

それでは、なぜこのような事態に陥ってしまったのか。それは、国としてのビジョンが定まっていなかったためではなかろうか。海外から日本に来たビジネス領域のプロフェッショナルと話していると、日本における「ものつくり」の地位の低さに驚かれることが多い。「若者が自動車や自動二輪に乗らない」「一般人のテクノロジーへの関心が薄い」「組織な業務にテクノロジーを活用することに慎重すぎる」「製造業の給与水準が低い」など、「ものつくり」が大事だと言いながら、やっていることは勢いを殺すようなことばかりしてきた。

東大の松尾教授が指摘するように、すでにロボティクスも日本は優位性が失われ、中進国になってしまっている。日本は何の産業が強い国家となるのか、掲げる旗を早々に決め、リソースの集中をしなくては産業が弱体化する一方だろう。そして、その兆候は出てきている。

次回は、日本経済新聞の同データを別角度から見ることで、日本が掲げる旗をどうすべきかについて考えてみたい。



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