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アップルが発表した「未来の電卓」

先日WWDCと呼ばれる、アップルが9月以降にiPhoneなどに搭載する新しいOSについて発表するイベントが開催されました。
事前に様々なリークがありましたが、Apple Inteligenceと呼ばれる生成AIの導入やChat GPTとの連携などが発表され、その中でも今回個人的に(教員として)1番衝撃を受けたのが、iPadに新しく搭載される「計算機」のアプリです。

これまでiPhoneには計算機の標準アプリがあり、利用したことがある方も多いかと思います。実はiPadにはそもそもこうした計算機のアプリがなく、学校現場で使うにはWEB上のサービスを利用しなければなりませんでした。(三者面談等で成績の話をする際にとても不便でした。)
長年、iPadに計算機がないこの状況に「おかしいな、、、」と思っていたのですが恐らくApple Pencilと計算機を連動させた「計算メモ」の開発を秘密裏に進めていたんだろうなと今回の発表を見てはっきりしました。

計算機の概念を一変させる「計算メモ」

iPadの計算機はApple Pencilと組み合わせることで大きな力を発揮します。Apple Pencilと組み合わせて使う「計算メモ」は、iPad上で紙の上と同じように計算式を書き、イコール(=)を書くと同時に計算機が瞬時に計算の答えを出してくれます。
(しかも計算の結果を自分の文字に似た手書き文字で。恐らく画像認識などいくつかのAI技術が複合的に働いてるのでしょうか。)

「計算メモ」の画面(これが電卓という衝撃)

もちろん、数式に変更を加えると、計算の結果をすぐにアップデートしてくれます。基本的な計算だけでなく、関数電卓と同じようにlogの計算なども可能なのにも驚きました。
高校や大学で扱うような複雑な課題。例えば物理学の問題、ピンポン玉を異なるスピードや角度で打った時の最高地点における高さの計算について求めなさいという問題がWWDCでは例として挙げられており、変数を使った計算式から高さを算出したり、変数が変更されたことについても瞬時に計算の結果が変更され、卓球のショットの速度を変えると変数が関係する計算結果も変わります。

卓球のショットの高さを求めています。繰り返しますがこれ電卓です。

速度が高さに影響する様子をグラフで確認することもでき、y=の文字を計算式の前に書くとグラフを作成するオプションが表示されます。ショットの角度が高さにどう影響するか知りたい場合、角度の変数を調整すればグラフへリアルタイムに反映することもできます。

右下に映っているのがこのショットに関するグラフです。

世界中の「数学嫌い」が減るかも?!

今回のWWDCは、Chat GPT(OpenAI社)とアップルの連携が大きな話題になっていましたが、教育現場ではアップルが発表した、この「未来の電卓」がものすごい可能性を秘めていると感じています。

・2次関数など多くの中高生が苦手とする分野の学習が、より身近な話題になり、楽しく学ぶことができる。
・識字に困難を抱えている子どもたちの計算スピードが上がる。
・数学や物理だけではなくさまざまな教科、異年齢との学習活動など学習活動の幅が広がる。

など、たくさんの授業作りへのアイデアがこれから浮かんでくるはずです。はやくこの計算機に触ってみたい!

(基調講演の45分頃から計算メモのデモを見ることができます。)

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