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共働きが『なぜ男女の賃金に格差があるのか』を読んだ。

先月このニュースが出たとき、友人から速攻でLINEがきた。

「なんで外国のひとなのに日本のことが分かるの?賢いから?何なの?何者?」と2人でざわついた。
突然現れた超人のように見えたが、存じ上げなかったのは単なる私の無知でございました。
今回私の投稿を読まずとも(長文なんで)、以下に集約されてます。それだけでもいいから読んでほしい。

が、私はこの切れ味鋭い人の本を読まずに今月越せないと、入荷切れで高値になっている密林サイトの動向を見ながら手に入れた。(今は在庫ありそう)

冒頭から早々に断言されて気絶しそうになる。

家族ケアと仕事の間の引っ張り合いは、1世紀以上にわたって進行中なのだ。

なぜ男女の賃金に格差があるのか *中略あり
以下の引用はすべて同著より
 

子どもの昼食を用意し、スイミングの迎えに行き、学校の保健室からの電話に応答してあたふたする役割は、誰がするのか?
女性は、相変わらず貧乏くじを引かされ続けている気分である。

私のこと、柱の陰から見てました?

キャリアが花開くチャンスがある女性が子どもを持とうとすると、徹底的にスケジュールが重複する。
子どもには時間がかかるし、キャリアには時間がかかる。どんなに裕福なカップルでさえ、すべての家族ケアを外注することはできない。
それに、自分で子どもを愛して育てないのなら、この世に子どもを連れてきた意味はあるのだろうか。

私の引用した箇所こそ情緒的ではあるが、語り口は冷静だ。
(訳書であるのも関係してるかも。翻訳は『母親になって後悔してる』の鹿田昌美さん)
私みたいに感情の塊をぶつけ「女の人の味方です」という鼓舞を、この本に期待すると肩透かしを食らうだろう。男性が怒られる本ではないです。
淡々と語られていくが、言葉一つひとつがアメリカの労働者たちを100年分見つめてきた圧倒的なデータと歴史の分析から繰り出されるファクトだから、強い。
読むとしみじみキャリアと子育ての相性の悪さを痛感する。またコロナ禍で浮き上がった両立の難しさも言及している。

女性は同時に二ヵ所で主な働き手になることはできない。何かを手放す必要がある。

あー。言ったね。言われちゃったよ。私も部分を切り取ってるので誤解を生むかもしれない。時代に逆行しているとか、自分は違うと異論がある方、沢山いらっしゃると思う。
だけど私ははっきり言ってもらって肩の荷がおりた。仕事も家庭もどちらも真剣に向き合うほどに、この壁にぶち当たるのを日々痛感しているからだ。

たとえ男女同じ仕事に就いたって

ところで。パートナーから「自分と同じぐらい稼げるようになったら、家のこと平等にやる」という発言をされたという話を結構見聞きする。
が、著書を読むと「子どもがいる限り」そんな日は来ないと悟る。文中で弁護士夫婦の例を挙げているが、稼げる力が同等にあったとしても、子どもの対応が柔軟にできるように、女性がキャリアダウンをしている事実が多く存在するからだ。
本文では「平等な結婚」と「収入の多い結婚」のどちらかの選択に直面すると書いてある。(そんなのどっちも大事…泣)
主体的な選択なようであっても、子どもを育てるために収入は必須であり、選ばざるを得ない悪循環。が、すなわち夫婦の公平は世帯年収のために切り捨てられる。(結論が出ず、せめぎ合いで悩む家も多いはず)

今もなお評価されるのは「どん欲な仕事」

今回私が一番途方にくれたのが「どん欲な仕事」呼ばれるものの存在だ。
それは長時間・夜間・緊急・休日いつでも顧客に対応することで、高収入を得られる仕事だ。医師、コンサルティング、経営層、金融、前述の弁護士などの専門職や、それ以外でも管理職は多かれ少なかれそういう側面があるだろう。
急な依頼でも、いつでも顧客に対応できる体制を整えるのが、自由競争で勝てる企業。また代役が立てられず、存在が唯一無二であるほどフィーは高くなる。(でも私も専門職?の端くれとして悩む。差別化ポイントだし)
が、この仕組みが変わらない限り、子どもがいる夫婦はどちらかがキャリアから降りざるを得ない。男性も両立で悩む人は増えている。
 
書くほどに救いがなく、そりゃあ誰も子ども産まなくなるわと思うけど、
著書では仕事の構造改革で見えてきた明るい兆しや提言もあるので…安心してください。(とにかく明るさを借りてみる)

ケア労働に皆で向き合わないと時代は越せない

私が改めて思うのは、今まで主に女性が家族ケアを無償で担うことで、経済は回せていた事実に社会全体が向き合うべきだなということ。
(過去の投稿でも吠えてますけど)

確かに女性たちに家計を支える責任はなかった。
でも一方で仕事に集中できたのは、子育て、介護(実親/義理親)、家庭の諸々を、妻を始めとした他の家族や親せき、福祉など誰かが代わりにやってくれたからとも言えるよと声を大にして言いたい。(自戒もある)

ケア労働の負担を見える化し、どう皆で分かち合っていくのか。男性も女性も、国家も企業も社会もマインドチェンジが必要だし、ばらまきでなく、誰にどんな支援が適正なのか。

今私がちょっとチャンスかなと思うのは、働き盛りが介護の担い手になる時代がいよいよ迫っているという事実があるからだ。(私も当事者です)

ゴールディン氏も改革の余地ありと目をつけている(笑)日本の管理職世代が当事者になることでケア労働へ気づきが広がり、格差がなくなる動きが少しでも早まるきっかけになればいいなと思う。
「男性がここからの旅に同行しない限り、夢は実現しない」と本は締めくくられている。

先月「今後短く書きます!」って宣言してこのざまですが、来月はサクッと読めるサイズでお届けする所存です!!


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近森 未来(資生堂クリエイティブ コピーライター)
ここまで読んでいただきありがとうございます。 読んで、少し心がゆるんだり、逆にドキッとしたり、くすっとしたり。 おやつ休憩をとって、リフレッシュする感じの場所に ここがなれたらうれしいです。