夢を低温で長期熟成させることについて
私事が多くて恐縮ですが、古巣であるYahoo! JAPANの「平成の神々」という特集で、これまでの黒歴史を大公開するようなインタビューがリリースされました。
今でこそアーティストとして生きているのですが、そこに至るまでに何度も「夢からの脱走」がありました。
アートの世界に猜疑心を持ったり、美大に行くのを断念したり、真っ当な社会人として会社に骨を埋めようとしていたり、、と色々と紆余曲折を経たあとにようやくやりたいことを仕事に…という石橋を叩きまくる人生を送っております。
https://ex.yahoo.co.jp/buzzfeedjapan/heisei31/4.html
本当にやりたいことは、逃げても逃げても追いかけてくる
私が高校生の頃に恐れた将来像のひとつは、「売れない夢追いバンドマン」のように、「才能がないのに、かなわない夢にいつまでもしがみついてしまうピーターパンのような大人になること」でした。「俺には夢があるから」と言い訳をし、現実的な大人としての責務を疎かにするような人間には虫唾が走る…というなんとも嫌な女子高生でした。
そのためなるべく堅気の道を歩もうと心がけていたのですが、望み通り堅気の道に進んでみて気づいたのが、「結局それが本当に好きでやってる人に、生活のために仕方なくやってる人は絶対に勝てない」ということ。
会社組織の中でも「生活のためにやむなく働いている人」と、「本当にその仕事が好きで昔からやっている人」の出世・昇給スピードがえげつない程違うという現実を直視しました。
人間馬鹿じゃないので、その人が本当に思い入れがあって、熱意を持って取り組んでいるのかは多かれ少なかれ透けて見えてしまいます。
長期的に考えて、やっぱり好きなことをやった方が人生の勝算があるのだということに次第に気付いていきました。
なんだかんだ、その当人が憧れたり夢見ることには理由があり、ある程度の適性があるからこそ惹かれるのだと思います。
社会人生活が、一度断念した夢を叶える礎になった
とはいえ現在のアーティストとしての職能の多くは会社員として働いていた期間に培われた部分が多く、今も作家としてチームでものをつくったり大企業と共同プロジェクトをしたりできるのは会社員時代の経験のおかげです。
また、安定した収入があるおかげであまり功績を焦らなくてよく、まったりと実力や運が向いてくるのを虎視眈々と狙うことができました。時の流れや、時代の変化が味方になってくれることはあるのですが、その期というのはいつやってくるかわからないものです。
どうしても運や時代の流れに左右される側面はあるため、一時期にわーーっと没頭してやって挫折して諦めるより、長期に渡りコツコツ諦めず続けるほうが生存確率が高いのではないかと個人的に感じています。
以上、いきなりリスクテイクに全フリしなくとも、まったりと長期熟成するような夢の叶え方もあります、という変なサンプルの提示でした。