#就職は大手かスタートアップか?ランクか個性か?年上か年下か?豪華客船かボートか?メジャーかマイナーか?オーケストラかバンドか?
お疲れ様です。uni'que若宮です。
日経COMEMOから #就職は大手かスタートアップか というお題が出ておりますので今日はそのことについて書きたいと思います。
キャリア的に、僕は結構な紆余曲折を経ています。
建築学科を卒業後、建築設計事務所に就職しましたが、その後大学に行きなおしアート研究をした後、NTTドコモ、DeNAという上場企業を経て起業。自ら会社を経営しつつランサーズに未上場からタレント社員として所属していたり、福岡女子大や長野県立大で客員の教授・准教授として教鞭もとりつつ、ベンチャーキャピタルのDelight Venturesで起業家メンターとして関わっていたり、起業/アート思考を軸にしながらいろいろな働き方をしています。
そんなキャリア形成の経験を踏まえ「#就職は大手かスタートアップか」というお題に、「5つのたとえ」を使って僕なりに考えてみたいと思います。
①「ランク」か「個性」か?
就活でも試験や合否がありますから、学生にとっては「受験」が近いイメージかもしれません。就職先選びは志望校選びにある程度似ています。
「受験」とのアナロジーでいえば「就職は大手かスタートアップか」という問いは、「ランクか個性か」といえるかもしれません。
偏差値ランクが高い大学の方が一般に人気があり倍率も高いので、多くの人がなんとなくそちらを選びがちです。(実際、就活時期になると毎年のように「就職偏差値ランキング」が飛び交ってます)
しかし本来大学が入って終わりではなくそこからがスタートであるとの同じく、本当に重要なのはそこでどんな学びや研究ができるか、ということです。いわゆる「偏差値ランク」にかかわらず、大学によってはある研究分野において特化して先進的である、ということがありますし、自分が師事したい教授や研究の内容によっては偏差値よりは研究室をめがけて入った方がいいこともあります。
あなたは受験の時、どんな風に志望校を決めていましたか?
もしまだ何をやりたいか全くわからないのであればとりあえず偏差値ランクで選ぶのもいいかもしれません。「ランク」はまだある程度ステータスにはなりますから、後からやりたいことが見つかった時にも方向転換もできる一定の担保にはなるかもしれません。
でももしそこから一歩進んでやりたいことがあるなら、しっかり研究の内容や教授についても調べてみるとよいでしょう。個性のある志望校を選ぶ場合には(≒スタートアップにいく場合には)インターンやアルバイトなどで気になる場所に入ってみることがお勧めです。
②「年上」か「年下」か?
「受験」にたとえると「受かる」「落ちる」と受ける側が採点されるような感じがありますが、就職において重要なのは本当は相性なので、むしろ「恋愛」や「結婚」のようなもの、と言えるかもしれません。
「恋愛」として考えると「就職は大手かスタートアップか」という問いは、「年上か年下か」みたいな感じでしょうか。
恋愛において「年上か年下か」という問いはどちらがよいというのではなく「まあ、人によりますよね…」ということになろうかと思います。年上がいい人も年下が好きな人も好みはそれぞれですし、年齢が一緒でも合う人/合わない人がいます。
もちろん一般論レベルでの傾向はあります。
年上:「落ち着いている」「経済力がある」など。
年下:「元気がある」「伸びしろがある」など。
ここで注意したいのは、上のような外から思っている特徴には幻想が多分に含まれていて、そのイメージで期待しすぎると幻滅することが多いということです。
年上なら経済力があるからいいと思っていたけれども実はすごいケチだった、とか、落ち着いているっていうより価値観が古くてそれを押し付けてくる、とか、脂肪が多いとか動きが鈍いとか。
年下の夢のある感じが素敵と思っていたけどただの無謀だった、とかただのわがままだったからもうちょっと大人になってほしい、とか貧乏でどこもいけないのに束縛まできつかった、とか。
恋愛として考えると当たり前なのですが、大事なのは「年上」だから「年下だから」というイメージで決めつけすぎず、その人と自分との相性をしっかり見ることです。
「相性」をしっかりみるためのコツは、なんでもかんでも相手に合わせようとしないことです。付き合いたいからといって無理して相手に合わせすぎるとあとあと辛くなりますし、相手からしても当たり障りのない退屈な人になってしまいます。
そして恋愛は相手にだけ期待する姿勢ではいけません。「ないものねだり」するのではなく、自分が相手にとってどんなパートナーになれるか、という視点も重要です。
③「豪華客船」か「ボート」か?
就職は人生の「船出」のようなものでもあります。
「受験」とのアナロジーでいえば「就職は大手かスタートアップか」というのは「豪華客船かボートか」というような問いともいえます。
豪華客船には何でもあって快適に過ごせます。大きな船なので多少海が荒れていようと予定通りに運航します。ただし、希望を出しても航路を変更することはほとんどできません。
一方「ボート」は自ら行き先を決められますし自分で進んでいる実感をもてますが、漕ぐのは大変ですし海が荒れれば沈没する危険もあります。
経験からいって、豪華客船で気を付けないといけないのはそのうちに客船の中ばかりに意識がいって海にいることを忘れてしまうことです。そうしているうちに潮目をみる力も漕ぐ力もなくなってしまい、万一タイタニックのように船が難破したら、一緒に沈むしかなくなってしまいます。
豪華客船に乗ったとしても、客室の快適さに安住するだけでなく甲板に出て時々波をみたり、船が停まっている時にボートを漕いでみたりするとよいと思います。
④「メジャースポーツ」か「マイナースポーツ」か?
就職先を選ぶのは、自分がプレイヤーとして活躍できる場を選ぶことでもあります。
選手として活躍する場として考えた時、「就職は大手かスタートアップか」というのは「メジャースポーツかマイナースポーツか」というような問いにも似ています。
野球やサッカーのようなメジャースポーツは多くの人に人気がある分、競技人口も多く、その中でスタープレイヤーになるにはものすごい倍率の競争でトップにならなければいけません。
一方、マイナースポーツは競技全体としての注目度が低いため啓蒙活動をしたり、仲間集めや資金集めなど、開拓していかなければならない大変さはあります。しかし競技人口が少ないのでたとえば日本代表になれる確率はメジャースポーツよりも遥かに高いですし、新しい文化をつくっていく面白さがあるでしょう。
⑤「オーケストラ」か「バンド」か?
「プレイヤー」はスポーツに限りません。
たとえば音楽にたとえてみると、「就職は大手かスタートアップか」というのは「オーケストラかバンドか」という比較もできるかもしれません。
音楽の目指すところは観客に感動を届けることです。就職も、自分にとってのメリットや報酬、活躍のしやすさだけでなく、本質的に大事なのは社会に感動を届けることです。
「オーケストラかバンドか」。どちらが観衆に与える感動が大きいということはありません。オーケストラの方が荘厳さにおいては勝るかもしれませんが、数人のバンドでも大きな感動を与えることはできます。ジョアン・ジルベルトのように、たった一人で数千人を魅了することもできるでしょう。
オーケストラの方が中央集権的で規定的、バンドの方がジャムセッション的でアドリブが多い、という組織のタイプのちがいもありますが、大事なのは、オーケストラとバンドどっちがすごいかというより、その一員としてどんな音楽を届けることができるか、ということです。そしてどちらに入ったとしても、せっかくその中に入った以上はソロのスタンドプレイではなく、全体としてよい音楽ができるために自分ができる最良の演奏をするのが大事です。
以上、「受験」や「恋愛」、「船」や「スポーツ」「音楽」にたとえながらいろいろな切り口で「大手かスタートアップか」のそれぞれのメリット/デメリットと注意したいポイントを考えてきました。
これから就職先を選ぶみなさんが、自分にあった企業と出会えること、そしてそこで活躍していけることを祈ります。
自分自身を振り返っても「偏差値ランク」に惑わされずに受験前にもっと足で調べてみた方がよかったな、とか相手に幻想を持ちすぎるといけないな、という反省もありますし、ボートを漕ぐ経験やマイナースポーツの面白みをもっと早くから知っていたら、もっと早くやりたいことがみつかっていたかも、と思わなくもありません。
ただ、恋愛でもそうなように「初めての人」がぴったりの相手ということは実は少ないですし、一生一人と添い遂げる時代でもありません。また相手だけで人生が決まるものではなく、より大事なのはそこで自分がどう過ごすか、ということな気もします。
「プロティアンキャリア」と言われるようにこれからは一企業の中だけではなく転職や複業も含めて「個のキャリア」を構築していく時代です。それに加え「人生100年時代」ですから何度かキャリアチェンジすることはもはや前提として考えておくべき時代だと思います。
ただし、「個のキャリア」といっても自分のやりたいことだけを考えて仕事をしましょうということではありません。せっかく「オーケストラ」や「バンド」のように、その一員になったなら周りを無視して独りよがりな演奏をするよりもそこで奏でる音楽が一番感動的になるように楽しむのがよいと思います。(それはただ楽譜通り演奏しろ、ということでもありません)
そして実は、演奏するだけではなく、自ら曲をつくって届けることだってできます。
「大手かスタートアップか」のどちらかという選択肢だけでなく、みずから新しい音楽を作曲する「起業」という選択肢も、これからもっと当たり前になってくるといいと思っています。
というわけで、最後に告知です!
学生向けというよりは社会人起業家向けのプログラムですが、Delight Venturesでは大きな事業を生み出して社会を変えたい起業家候補を募集しています。
【上場を目指して起業したい方におすすめ!】
Delight Venturesの起業プログラム、Vチャレ第3期の募集が開始されました。メンターの知見と開発資金を得つつ起業準備ができる上、ほとんどの株を自己保有しオーナーシップをもって起業できるプログラムです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?