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リーダーは、メンバーの観察に加えて、組織のデザイン力が重要


 日経COMEMOの企画で、リーダーの心得について、議論している。私も良い機会なので、考えていることを整理してみることにした。

自分のリーダー経験を振り返ろう

 私は、現在フリーランスで働いているので、とても柔らかな組織で、働いている。例えると、クラッシック・コンサートのオーケストラのような組織ではなく、Jazzの楽団のような組織である。

 ある時は、Aさんがリーダー役になるし、別な日はBさんがリーダーになることもある。リーダーだったAさんが、書類仕事をすることもあれば、会議の進行役になる。そんな働き方が、現在の私の働き方である。

 しかし、社会人を始めた会社は、大企業であり、組織は明確である。自分は、きちんと部署に所属し、その部署では、きちんと階層があり、仕事の報告方法も明確であった。この部署では、既存事業、既存の課題について、仕事を行う。

 最初に所属した私の企業は、とても面白く、この所属部署とは別に、プロジェクトの発令も多い。全社的に知恵を絞らないといけないこと、また未知の仕事に関しては、プロジェクトが発令される。プロジェクト・メンバーは、所属部署に配属されたままであるので、まさに「既存事業」「新規事業」の両方を考えることになる。

「両利きの経営」、良い言葉です

 これが、まさにここで定義されている「両利きの経営」の実践だったのかもしれない。当時は、そのような洗練された言葉はなく、私の所属した会社では、「健全なる危機意識」という言葉が使われていた。たとえ、今業績が良かったとしても、実際には課題もあるはずである。会社が成長しているときこそ、次世代の企業の経営のためにも、課題を見つけて、改善を進めるべきとの考えである。そして、会社の中で、気づいた些細な課題でもOpenに討議する姿勢である。

 今の時代の方が、時間の流れは速く、まさに「両利きの経営」を行わないといけないのである。

人には個性がある。だから、適した仕事、適さない仕事がある

 さて、この両利きの経営、一人でできるわけではない。企業という組織では、チームを構成しないといけない。

既存と新規のそれぞれの事業特性に応じて仕事のやり方も含めた組織カルチャーを創造できるかどうかが、成熟した組織における最重要経営課題であり、経営者やリーダーが遂行すべき役割とのこと。

とあるように、組織の組成は大きな問題だろう。私も30代半ばから、人数は少ないながら、チーム・マネージャーをさせてもらった。その時に痛感したことがある。

 人には個性があり、「既存の事業」をそのまま遂行することが得意な人もいれば、「新規の事業」をとても創造的に考えられる人がひるということである。マーケティング的に言えば、顧客観察が、企業の組織作りでも重要なのである。

 もう少し、具体的に述べてみよう。私のチーム・メンバーでも、毎日コツコツと同じ業務を行ってくれるメンバーがいれば、日常業務を安定的には行えないメンバーもいた。しかし、この日常業務を安定的に行うメンバーは、あまり自分の仕事の改革を行うことは得意ではない。むしろ、自分の仕事の流れを変えることに怖さを感じることもあるのだ。一方、日常業務を安定的に行えないメンバーは、その業務をバッサリと改良するのである。

 組織というのは、多様な人から成り立っている。リーダーは、まず人の個性を理解して、両利きの経営を行う時も、既存業務の維持に得意なメンバーか、未知の新規の事業を検討するのか、得意なのか理解しないといけない。

 つまり、リーダーは、メンバーを観察し、「適材適所」のメンバー配置、組織組成ができないといけないのだ。

そして、化学反応

 最近、この歳になってわかり始めたことは、「適材適所」では十分ではないということだ。とくに、「新しい事業の柱を探索する」という、未知・未踏の領域の検討には、多くの意見を出し、集約することが必要だ。多くの議論を行うには、同じ価値観のメンバーがあつまると、失敗に終わる。会議は早く終わり、資料も早くできるのであるが、議論は尽くされないことが多いのだ。

 あえて、意見対立や、異なる視座を持つメンバーを一緒のチームにするほうが、議論は尽くされる。化学反応が起きる組織。これが、必要なのだと、最近思うようになった。

 メンバーの資質を理解し、「適材適所」+「化学反応」を考慮した組織を組成すること。それが、最近の私のリーダーとしての役割だと考えている。皆さんは、リーダーの資質は、どうお考えだろうか?

#COMEMO #リーダーの心得

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本間 充 マーケティングサイエンスラボ所長/アビームコンサルティング顧問
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