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中国へ投資資金が集まる2020年テクノロジー動向

 これまで、世界のハイテク産業は米国を中心に形成されていたが、2018年頃か らは、中国が米国を追い越す動きとなっている。中国・台湾・香港を含めた中華圏企業へのVC出資額(年間)は、米国企業への出資額を超すようになっており、特に人工知能については、中国が世界の開発拠点になりつつある。

中国が2017年に発表した「新世代人工知能(AI)開発計画」では、2020年までに以下の8項目を重点的な柱として、各種のAI製品を大量生産するプロジェクトが進められている。それに伴い、AI開発における世界の投資マネーも、中国に集まっている形だ。

《中国AI製品開発の重点項目(2020年内)》
○コネクテッドカー
 (信頼性、安全性、実時性の高い自動運転車)
○スマートサービスロボット
 (環境感知、自己学習などのコア技術を進展)
○スマート無人機(ドローン)
 (360度の障害物感知と回避を実現)
○医療用画像診断システム
 (主要疾患の診断精度が95%以上)
○ビデオ、画像による身分識別システム
 (複雑な動作中の顔検出率が97%、識別率90%))
○スマート音声通信システム
 (中国語音声識別率96%以上)
○スマート翻訳システム
 (中国語-英語の翻訳精度が85%以上)
○スマートホーム製品
 (スマートテレビの普及率90%以上)

これらの中国AI製品は、世界にも安価で普及していくことが予測されている。 たとえば、中国で普及しはじめているスマートテレビは、ネットと常時接続されているのが基本で、AI音声アシスタントによるチャンネル操作や番組の検索などを行える。他のIoT家電とも連携することを前提に設計されており、照明、空調、ロボット掃除機、ホームセキュリティなどの操作も行うことができる。

中国内で2019年9月に発売された「Xiaomi Mi TV Pro(小米電視)」は、アルミニウム素材による5,9mmの超薄型で、8Kの解像度がある55インチのモデルが2999元(約4.8万円)、65インチのモデルが3999元(約6.4万円)の激安価格で販売されている。

このテレビを開発した小米科技(シャオミ)は2010年の設立、スマートフォンの製造販売で急成長している中国メーカーで、ネット直販を主力の販路とすることで、高性能な部品を使いながらも安価な価格を実現させている。2020年には日本市場への上陸も発表しており、次世代移動通信「5G」の開始を契機として、スマートフォンのシェア獲得を狙っている。

日本国内では、2019年9月から携帯会社の端末購入補助制度が廃止されて、現在はスマートフォンの各機種が定価で販売されている。最新型のiPhoneと比較しても、シャミオのスマートフォン上級モデルは、およそ半額で購入できるため、日本の消費者にも中国製品が浸透していく可能性は高い。

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