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被災した亘理町に文化を生み出す試み、「WATARI TRIPLE C PROJECT」で体感した「文化の火起こし」の面白さ

今年の夏から「WATARI TRIPLE [C] PROJECT」という企画に参加が決定し、東京拠点だけでなく宮城県亘理町でも生活を始めました。
こちらは東日本大震災で甚大な津波被害を受けた海沿いの町、亘理町に新たな文化をつくり、「防災都市」として世界展開できるモデルにすることを目指したプロジェクトです。

まだプロジェクトが始まったばかりでカオスな状況ですが、少しずつ色んなものが整備されてきました。海沿いに巨大コンテナが並び、こちらが我々のアトリエやギャラリーになったり、カフェやスイーツ工場、音楽スタジオなどに大改造されます。スケボーパークやサーフィンのための施設などもできる模様。

亘理での生活ですが、コロナ禍の精神衛生にすこぶる良い効果を発揮している気がします。
東京の自宅に閉じこもってオンラインをベースに仕事をする生活も、1年もやるとなかなか停滞感が出てきていたのが正直なところ。

コロナ禍になってから、仕事がオンラインに置き換わって便利な反面で人生がどんどんバーチャルになるような虚しさもあったので、亘理の生活がめちゃくちゃフィジカルな楽しさが多くて清々しいです(特に海沿いのサイクリングが最高、潮の匂いと草の匂い)

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あと新鮮な海鮮も最高(上の画像は、亘理名物のはらこ飯。ホクホクの鮭とプチプチのいくらのハーモニーがたまらない季節限定メニュー)

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参加メンバーにワイルドな人が多く、みんなでザリガニを釣って泥抜きし、麻辣炒めにして食ったりしました(シェアハウスでは栄養バランスのとれた食事が支給されますし自給自足の生活をしているわけではありません、運営の皆様の名誉のために念のため……😂)

楽しさが伝わりましたでしょうか、、、

異分野・異領域の若いプロたちとの共同生活

TRIPLE C PROJECTではスポーツ、アート、クリエイティブのプロチーム「C SQUAD」が結成され、オーディションで選出された若いプロのサーファー、スケートボーダー、アーティスト、ミュージシャン、クリエイター、クラフトマンが関東を中心に日本全国から亘理に集まっています。

現地では基本的にシェアハウスの男子寮・女子寮それぞれの共同生活で、はじめてのシェアハウス暮らし。自分の内向的な性格からして「共同生活は厳しいのでは、、」と思っていましたが、みんな人柄の良い人だからか案外楽しめております。

地元の気になる神社の宮司さんにお話を伺いにいく時にスケボー選手の西村 詞音さん(オリンピックに出場した西村碧莉選手のお姉さん)も同行してくれたのですが、なんと宮司さんのお子さんがスケボーを始めたいらしく宮司さんがスケボーに興味しんしんだった……という面白いセレンディピティも発生。

亘理において目玉スポーツとなりそうなサーフィン文化の盛り上げのために編成されたサーファー選手チーム(村上舜さん・松田詩野さん・脇田紗良さん)は現在、世界大会で大健闘している模様。彼らの活躍に励まされます。

お互いの専門分野のことは異分野すぎてわからない部分も多い、でも一緒に生活したり共同作業をするなかで、その人がいい人なのはわかる、、、という不思議な関係の構築のされ方で面白いです。
みんな若くしてプロ意識が高い&人として筋が通っており、尊敬します。

そしてアスリートチームがいる恩恵で、我々アーティストまでトレーナーさんに身体メンテをたまにやっていただけることになり感謝🙏 運動音痴ですがリモートワークでなまった身体を叩き直します。

その他にも、週次でオンラインでの英会話レッスンがあったりと、サポート体制が万全でありがたい。「亘理を拠点に世界で活躍する」ために、身体・メンタル・語学のトレーニングメニューを組んでいただいています。

少しずつ広がる土地との縁

亘理町においては完全なよそものからのスタートなのですが、ジワジワと土地に根をはっている感覚があります。

同じくアーティストチームの相澤さんの企画+アーティストやクラフトチームの改装作業により、亘理駅からほど近い場所にアーティストの仮アトリエが完成。

もともとはお肉屋さんだった場所なのですが、オーナーさんのご厚意により場所を提供してくださりました。オーナーの九万原さん、私たちの広報記事をスクラップ保管までしてくださっていた熱の入りぶりで熱く応援してくださりありがたい限りです。

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私の活動はまだ検討中な部分も多いですが、誰でも参加できるテックラボのような拠点をつくろうと画策しています。地域の方々とのコラボレーションをもっと増やしていきたいので、どんどん営業活動していかねば……

意外とR&D活動もしやすい……?

ちょっとこれは不思議な現象なのですが、亘理にいる間は謎に思いつきをプロトタイピングするフットワークが軽くなる傾向があります。

土地が広い&文化財が多いので、3DスキャンやAR系の実験もやりやすいことが発覚。楽しくてハマってます。誰の所有物かわからない謎の史跡や遺跡が多かったり、娯楽は少ないけれども何より美しい空と海、自然がある(ついでに言うと、一緒に共同生活している方々が多芸すぎて、気軽にコラボレーションもできるのもメリット)

LiDAR実験も、亘理にいる間はあれだけハマったのに、東京に戻るとなぜか全然触ってないです😂
亘理でのテクノロジー実験が楽しくなってきたので、自宅の積みガジェットたち(VRゴーグルとかパノラマカメラとか、、)を亘理に持っていって色々遊ぼうと思いました。
亘理からほど近くの仙台にはFabLab仙台もあるので、宮城〜東北のテックコミュニティにも色々と関わっていきたいです。

情報・コンテンツがありすぎる環境で生活することで得るものと失うもの

「文化をゼロからつくる」がスローガンのこのプロジェクト。実際、地域によっては芸術祭クラスの大型イベントがない限りはなかなか文化的なものに触れる機会が少ないことも実感しました。
ただ、逆に何もないからこそ、そこに新しいものを生み出す喜びや興奮もあるなと。一度何もなくなった土地に、キャンプファイヤーの火種をおこしているようで、不思議な開拓感と楽しさがあります。

その一方で、別の土地に身をおいて長いスパンで生活することで、長らく居住することで慣れて見えなくなっていた東京で生活することの良さも改めて新鮮な目で実感できるようになりました。ダラダラ10数年、特に自分で選んだ意識もなく東京で暮らして仕事をしていたので、特にコロナ禍になってからは「なんでわざわざこんなところに住んでるんだろ」と感じることが多かったのですが、
文化資本がめちゃくちゃ多く(腐るほどある)、交通網が発達していてどこでも歩いていけて、食文化が発達しまくっててどこでも多種多少なうまいものが食える環境はかなり特殊なんだなと(最近は初台でみた加藤翼さんの個展がめちゃくちゃ良かったです)。

ただ、東京は情報&コンテンツ過多のため、「わざわざ自分がやらなくてもいいよな……」と何かをつくることの腰が重くなる現象がありました。
地方での生活は周りにあまり娯楽がないぶん、「もう何でもいいから作って出したれ」という気持ちになり、何かをサクッとつくって発表するフットワーク軽くなる気がしています。

都会にいれば娯楽も多いしビジネスの効率も良いしなんでもあるけど、それが自分にとって必ずしもプラスに働くとは限らないんだな、と亘理との二拠点生活で実感するようになりました。
しばし東京の拠点でも活動しつつ、亘理での「文化の火起こし」活動を楽しんでいこうと思います!

本プロジェクトについて、取材のご相談やお問い合わせのある方は、こちらのメールアドレス宛にご連絡ください(運営会社のメールアドレスとなります)。

triplec@onetable.jp

日経の、二拠点生活についての記事もあわせてどうぞ。



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