デジタル人民元の準備が進む中国。仮想通貨との違いや使い勝手についてわかってきました
テクノロジーや仮想通貨にも詳しいnoteユーザーの方々はデジタル人民元はご存知ですか?
最近中国で進展がありました、日本でも報道されている記事がいくつかあるようですね。
中国商務部は8月14日に「今まで一部地域で行っていたデジタル人民元の試験運用の地域を大幅に拡大していく」と発表しました。
これの意味するところは、これまでの5年間の研究と実験ステージを終え、デジタル人民元が正式に実装ステージに移行するということです。
いよいよ身近になってきましたので、本当の姿を知ろうと思いました。どうやって使うのか? 今後の生活にどのような影響を与えるのか? 現時点での資料を調べてみましたので、良かったらご覧になってください。
■デジタル人民元と仮想通貨や電子決済の違いは?
中国人民銀行は間もなくデジタル人民元を試験的に導入するのですが、これは一般的に仮想通貨やデジタル通貨として知られているものとは異なるといわれています。
デジタル人民元の最も顕著な特徴は「デュアルオフライン決済 」と 「限定的な匿名性 」。
ネットワークに依存した電子決済とは異なり「デュアルオフライン決済」が採用されていて、双方がオフラインの状態でも利用可能。 地震などの自然災害で通信が途絶えた場合や、地下のスーパーで買い物をするときにネットワークが無い、などの極端な状況でも取引を完結させることができるといいます。
また匿名性についても既存の仮想通貨とは異なります。デジタル人民元においては、限定的な匿名性の原則を採用。利用者(組織)では限定的な情報しかわからないが、一方で中央銀行のみが口座所有者の完全な実名と取引情報を要求することができ、マネーロンダリング防止やその他の金融規制のために使用することができるということ。
(つまり中央銀行を信頼するしかないのでそこが不安という懸念もありますがね。)
↑試験での画面、アリペイなどの決済に近い画面UI
ビットコインなどは国家の信用に裏打ちされておらず、通貨というよりも投資価値があるもの、と感じています。一方、デジタル人民元は中国人民銀行が発行し、流通する現金の代わりとなるもので、法的なポジションや機能は紙幣と変わらない。なのでそもそもの思想で大きく異なるかなと。
■今後どのように使われていくのでしょうか?
日本の報道のいくつかを読みましたが、中国で議論されてることと、日本のみなさんがイメージされてるものとは違うかもしれません。
現状、特に「支払い」に注力しているようです。 「周暁川」前中央銀行総裁は「デジタル通貨の研究は、本質的には小売決済システムの利便性、スピード、低コストを追求することにある」とコメント。
さらに一般な決済の利用に加えて、公共料金や税金の支払い、投資などにまずは積極利用されていくと想定されています。
↑ちなみにアリペイなんかの決済プラットフォームではもう何年も前からアプリ上で料金の支払いが可能なので、みんなそこまで違和感なく使える気がします。
すでに普及している決算プラットフォームとも連携してるようなので、みんなスムーズに使っていけるような期待があります。
中国の偉い人からのコメントからは、「現在の第三者電子決済のように高齢者やネット難民に優しくないものを改善し、真のキャッシュレス社会を実現する」と意気込みを感じます。
■中央銀行に全てを管理されることと未来のビジョン
利用者のプライバシーを保護しながら、正当なアクセス権を持つ機関にとって現金の流れが地図のように明確になることを想像すると...社会が大きく変わるかもしれません。
中央銀行にとっては通貨の発行、会計、フローに関するリアルタイムのデータ収集が可能になることで、金融政策の策定・実施、政策の効率化が期待されるし、通貨操作や監視の効率性を向上させることができるでしょう。
具体的にはデジタル通貨の反マネーロンダリング、反テロ発信、反商業賄賂、反脱税の取り組みを強化することや、限定的な匿名性の実現により利用者への安全性を担保することが期待されます。
そして将来は、人民元の国際化を推進していくことを期待しています。日本での報道でも多くがこの点を触れていましたね。ただ、中国にいる立場ですと、まずは身近なところがどうしても気になりますし、中国国内の報道も身近なものが中心です。
今後もいろいろな情報が出てくると思いますので、おもしろい内容があったらnoteで書きたいと思います。ぜひフォローと応援をお願いします!
(参考資料)
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