「心の中の上司」を召喚すると、意思決定が捗る
意思決定って大変ですよね。
考えることもそうだし、誰かに相談する際に言語化したり整理したりするのもそう。あるいは不確実性が高く正解がわからないなかで、それでも何かを決めて実行していくのは不安がつきまといますが、やはりこれも大変で、疲れる。それでも避けては通れません。
「心の中の岡本さんが『GoGo』と囁いてる・・・」
2年前くらいだったでしょうか。
当時僕はSmartHRのユーザーコミュニティ「PARK」を運営するアドボカシーユニットのマネージャーを担っていました。同じく、当時同ユニットのチーフだったせっちん丸が、あるミーティングのなかで意思決定が必要なシーンで、
と発し、実際にそれを進行することになったことを覚えています。
(※岡本さん is 当時のマーケティンググループのVPで、現在は後身組織のブランディング統括本部のVPを担っている方で、私の上司です)
この意思決定に際しての考え方めっちゃ良いなと思ったんですよね。そして、その場に居なくても意思決定スタイルが現場(少なくともチーフレイヤー)にまで行き届いている岡本さんもスゲーなと。
これは自律駆動型組織として、SmartHRが一貫して大切にしてきたこととも通ずるなと感じました。
「心の中の上司」を召喚して、何を考えるか
たとえば自分の場合は、「心の中の上司」を召喚することで、こんなことを考えています。
(1)自身の意思決定や、相談事項に対する決裁シーン
上司だったら背中を押してくれそうかを想像する
具体的には総論賛成か否かを想像する
「総論賛成、各論反対」になりそうな場合、どのような論点がありそうかを想像する
意思決定を委ねられている範囲でありつつ、上司への共有・報告が必要そうなことであれば、後日1on1等の場で伝えます。リアクションやフィードバックをもらうことで、「心の中の上司」像がアップデートされます。
(2)上司への相談・上申などのシーン
考え方としては、(1)と大きく変わらないです。
相談・上申しようと思っている内容が「心の中の上司の考え」と大きくズレなさそうな場合、要点をまとめ非同期でやり取りする
相談・上申しようと思っている内容が「心の中の上司の考え」と乖離がありそうな場合、相談資料・上申資料でメリデメや懸念、対策を事前にサマライズ、ハイライトしておく
相談・上申時のアジェンダとしても、その議論に時間を割けるよう配分しておく
この事前準備だけで、最終的な意思決定に必要な情報・議論のうち体感7,8割が揃うかなと思います。実際の相談時に、残りの2,3割を埋めるための議論に集中でき、捗ります。もちろん、そもそも心の中の召喚によるシミュレーションがズレている場合、振り出しに戻らざるをえないわけですが、そこまでのズレがあったケースは自分の場合、記憶にはないです。(あったらごめんなさい岡本さん)
逆に、気をつけたいこととして、「『心の中の上司』とは考えが異なりそうだ・・・」ということから諦めなきゃいけないわけではない、ということがあります。もちろん「緊急度・重要度を見直した結果、優先度としては低いな」と自分のなかで判断に至ることもあるかと思いますが、自分として緊急度や重要度からみて必要だと判断するのであれば、少なくとも諦める必要はないかなと。
ちなみに「心の中の上司」を召喚するにあたって、完璧に成りすまさなければいけないわけではないと思います。当然、実際の上司本人の考えとは異なるケースもある。それでも、「上司ならどう捉え、どう考えるだろうか?」という問いが生まれること自体に価値があると考えます。
「心の中の上司」を召喚するメリット
科学的に証明されたものではないので、あくまで個人の感想ですが、次のようなメリットがあると感じます。
意思決定に勇気が持てる
自律駆動しやすくなる
必要以上にエスカレーションせずに済む
「大局観」が磨かれる
数多ある選択肢からプランA〜Cくらいに自ずと絞られる
事前のドキュメンテーションやアジェンダ設定の精度が高まる
何をツッコまれそうか、フィードバックされそうかなんとなく想像つくので、「ギョッ」となることがない
相談MTGの効率・生産性が高まる。
純粋なネクストアクションを除く「宿題」も極力減らせる。
それ以外にもあるかもですが、パッと思いつくのはこのあたりです。
おわりに
VUCAと呼ばれる時代にあって、いかに精度高く意思決定しつづけるかは重要ですが、意思決定って続けていると疲れるんですよね。「決断疲れ」なる言葉もあるようです。
なので意思決定と向き合ううえで「回復」というのも同時にすごく大切だなと思います。
ウェルネスや生産性向上の文脈で睡眠が注目を浴びているのも、なんだかすごくわかる気がしますね。