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「神回」は偶発か必然か?「神回」を生み出すための5つの要素

皆さんは「神回」という言葉を聞いたことがありますか?あるイベントや番組などのコンテンツが参加者・視聴者に深く強い印象を与え、永く語り継がれるような瞬間を迎える時に「今回のイベント/番組は神回だった!」と人は感じます。

最近、オフラインのイベント開催が増えていっている中で、「神回」と感じるイベントに参加する機会が何度かありました。(素晴らしいことですね!)そうした経験の中で、神回というものは、一体どういうもので、なぜ起こるのかを考えてみようと思いました。

この「神回だったな!」という感情は数値化できるものでもなく、基本的には感覚によるものです。この感覚的なものである(イベントにおける)「神回」はどのように生まれるのかについて今回は考察していきます。


「神回」って何?

そもそも「神回」ってどのように定義されているのでしょうか。そのことについて調べてみました。

「神回」とは、イベントやシリーズの中で特に素晴らしかった、記憶に残る、卓越した回のことを指します。この言葉は、元々テレビ番組やウェブシリーズ、ポッドキャストなどのコンテンツで特に優れたエピソードを指すために使われてきましたが、現在ではライブイベントやフェスティバル、セミナーなどの様々なイベントにも応用されています。
「神回」は、そのイベントが他と比べて特別に優れていたり、非常に印象的だったり、観客に深い影響を与えたりした場合に使われます。例えば、特別なゲストが登場した回、何か驚きの事実が明らかになった回、あるいは特定のパフォーマンスが特に素晴らしかった回などが「神回」に該当します。
「神回」は一部の観客や参加者から非常に高い評価を受け、そのイベントが行われた際の特別なエネルギーと感動を象徴するものであり、そのイベントの歴史や伝説の一部となり得ます。そのため、イベント主催者にとって「神回」を作り出すことは、そのイベントが長期間にわたり観客の心に残り、話題を呼び続けるための重要な要素となります。

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"「神回」は、そのイベントが他と比べて特別に優れていたり、非常に印象的だったり、観客に深い影響を与えたりした場合に使われます。"
という説明はわかりやすいですね。

2023年に多くの人が印象に残っているイベントごとですと、3月のWBCの日本 対 アメリカによる決勝戦はある意味球史に残る一戦、つまり神回だったのではないでしょうか。

「神回」が生まれる法則はあるのか

テレビの番組など含めると多くの人は"神回"に出会ったことがあると思いますが、この神回は偶発的に起こるものなのか、それともある種の必然性のあるものなのか考えたいと思います。

私個人の意見としては、神回は誰しもが再現できるものではないが、神回が生まれるある種の条件はあるのではないかと考えています。では、この「神回」はどのような条件下で発生するのでしょうか。

先日、アフロマンスさんが2012年から主催している"泡パ"という泡にまみれて踊るという非日常な体験ができるイベントに参加したのですが、今回の泡パがまさに"神回"だったのです。 

イベント自体に"泡”にまみれるという特徴があり、新しい体験が出来るという点では、そもそもとても満足度の高いイベントではあるのですが、今回はそれに加えて独特の空気感がありました。その空気感がその場にいることの喜びを増長させ、「神回」であると感じさせたのです。で、実はアフロマンスさん主催のイベントにここ最近何度か参加させてもらっているのですが、「神回」だと感じることが何度かありました。それまでは「神回」は偶発的なものだと思っていたのですが、アフロマンスさん主催イベントで複数回「神回」に出会ったことで、もしかすると「神回」を生み出せるある種の法則があるのではないかと思ったのです。

神回が発生するメカニズム

「神回」はなぜ生まれるのか、そのメカニズムについて考察したいと思います。

1. 特別なゲストやパフォーマンス

「神回」の一つの要素は、特別なゲストやパフォーマンスです。有名なゲストが登場したり、特に心を打つパフォーマンスが行われたりすると、そのイベントは参加者にとって一生忘れられない特別なものになります。参加者はその瞬間を経験することで、一体感と高揚感を感じるのです。

2. 予期せぬサプライズ

何か予想外のことが起こると、そのイベントは「神回」になる可能性があります。これは大胆なアイデアの実現、衝撃的なニュースの発表、または意外性のある発表など、さまざまな形で現れます。予想外の出来事は、参加者がそのイベントを記憶に残す一因となります。フェスなどで大雨が降り、その中で演奏したアーティストのステージが「神回」として語り継がれたりするのも、大雨というある種予期せぬサプライズが起きたことに要因があるのではないでしょうか。

3. 強烈な感情の喚起

「神回」は、参加者に強い感情を喚起することで生まれることもあります。感動、喜び、驚き、あるいは悲しみなど、イベントが参加者の心に強く響く感情を引き出すとき、そのイベントは参加者にとって特別なものとなり、「神回」になり得ます。例えば、音楽ライブでのアーティストが参加者と一緒に歌ったり、特定のエピソードを話したりすることで、感情の高まりが起きます。また、カンファレンスでのスピーカーが深い洞察や感動的なストーリーを共有するとき、それは聴衆の心に強く響き、感動や驚きを引き起こします。

4. 心理的安全性の高い場づくり

参加者の立場から見たときに、イベント会場に快適かつ安心していられることはとても重要です。例えば、イベントの主催者に知り合いがいたり、数人の友人が会場がいるだけで楽しさも増しますし、安心感も高まります。精神的にリラックスして過ごせる環境であることで参加者側の「神回」を迎える準備が整うのです。そして、イベントの参加者自身もただのお客さんではなく、一緒にそのイベントをつくりあげる"仲間"になった時に、「神回」が生まれる素地が出来るのではないでしょうか。

5. 運営チームの阿吽の呼吸

イベントを主催する運営チームのメンバーが、それぞれの役割はもちろん、役割を超えた部分でも阿吽の呼吸で動けるようになると、「神回」が生まれる確率がグッと上がるのではないかと考えています。阿吽の呼吸で運営されているイベントは、細部にサプライズが生まれたり、スムーズに運営されることで、参加者側もイベントそのものに集中しやすくなるので、その結果、「神回」になり得るのです。

以上のように、「神回」は多くの要素が組み合わさって生まれます。ですのでなかなか計画して生み出せるものではありません。ただ、5つ目の「運営チームの阿吽の呼吸」に関しては、主催者側の動き方によってつくり出せるものだと考えています。

「阿吽の呼吸」のつくり方

では、運営チームの阿吽の呼吸はどのように生み出せるのでしょうか。
もちろん、数多くのイベント現場を経験することで呼吸が合ってくることはあると思います。
経験を重ねるということに加え「阿吽の呼吸」には拙著「コミュニティづくりの教科書」の中で書かせていただいているコミュニティ思考が大切な要素なのではないかと考えています。

「コミュニティ」づくりの教科書 (ダイヤモンド社)

「コミュニティ思考」の3つの要素

  1. ビジョンを行動基準にする 活動の目的を明確にして、それを軸に行動すること。

  2. 仲間と対等に接する 心理的安全性をベースにフラットな人間関係を構築すること。

  3. 仲間のために動く 仲間の目的のためにできることを考え、能動的に行動すること。

上述のとおり「コミュニティ思考」は組織、チームが活動する上で必要な大切な3つの考え方のことなのですが、イベント運営チームが、そのイベントをどのようにしたいかという思いを共有し、お互いにフラットな関係で接し、思いを実現するために能動的に動く「コミュニティ思考」をもとに活動していくことで、阿吽の呼吸は生まれると思います。

そして、この阿吽の呼吸こそが「神回」を生み出すことができるベースになるのではないか。アフロマンスさんのイベント運営チームの動きを見ていてそう確信したのです。

まとめ

「神回」は再現性がなく、予測しにくく、それが生まれる瞬間はある種の魔法がかかったようなものです。そしてイベント主催者は、最高の体験を参加者に提供することを目指し、阿吽の呼吸でイベントを運営していくことが「神回」を生み出す上で大切です。そして、フラットな関係が運営側だけでなく、参加者にも広がり、参加者自身もそのイベントを能動的に良い場にしていこうと動き始めた時に、「神回」が誕生するのではないでしょうか。
そして、「神回」が生まれたときには、主催者もその瞬間を楽しみ、参加者と共有することで、その特別な体験をさらに深めることが大切だと考えています。

参加者としても主催者としても「神回」に出会えることを願い、これからも活動していきたいと思います。

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