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ドイツ:夏の大型イベントは「3Gルール」で再開したが。。。

ドイツでは今夏、様々なイベントが「3Gルール」を採用し開催されました。3Gとは、ドイツ語の「接種済み者(Geimpfte)」、「快復者(Genesene)」、「(抗原検査による)テスト済み者(Getestete)」の頭文字がそれぞれGから始まることによる入場制限に関するルールです。

(ドイツ語の音が好きな人のために読み方も示しておきましょう。「ゲインプフテ」、「ゲネーゼネ」、「ゲテステッテ」となります)

というわけで、今回はこの「3Gルール」についてちょっと考えてみたいと思います。

筆者はアニメやマンガといった日本のポップカルチャーを通じた日独交流について日々考えているわけですが、イベントの再開は筆者にとっても非常に大きな関心事となっています。

日本ではオリンピックや音楽フェスなど、大型イベントの開催は今夏、社会的な議論を呼び起こしました。

一方、ドイツではイベントの再開に向けて「3Gルール」が広く採用され、筆者の見る限りですが、それほど大きな混乱は無かったという印象です。

自分なりにその理由を考えてみました。

そもそも、「3Gルール」がどのように現れてきたのか、筆者もよく分かっていません。ひとつ思い出されるのは今年2月の筆者の投稿です。

サッカーや演劇関係の業界団体が、ロックダウン措置の緩和に向けて検討を重ねた結果、まずは接種者や検査済みの人たちに向けて興行を再開していこうという動きです。

この時はまだ「3Gルール」という名称ではなかったと思います。その後、この「3Gルール」はドイツの連邦・州会議のコロナ対策会議で、ドイツ全土で導入することに決まりました。すでに8月23日から運用が開始しています。(参考情報:ドイツ連邦政府HP

筆者の見立てでは、8月下旬の段階で「3Gルール」はすでに社会の様々な場面で導入されており、かつ、民間の団体が自分たちで作り上げてきたものを、政府が最終的に採用したに過ぎないのではと感じています。

もっと言えば、政府が一方的に決めて国民に押し付けるトップダウンではなく、ボトムアップで生まれたルールという見方もできるのかもしれません。

こういう風に考えると、こういったルールに反対する人が今までのマスク着用義務などに比べて、それほど大きな議論に発展していないのも腑に落ちるのではと筆者は考えています。

これはあくまで日常的にドイツのニュースを見たり、この夏にイベントに参加した筆者の印象に過ぎませんが、受け止め方はひとそれぞれでよいと思います。

行動制限が緩和されてイベントが再開できたのは「3Gルール」だけではありません。あくまで予防対策に追加されただけで、既存のルールは継続です。ワクチン接種が完了したからといって、マスク着用義務やソーシャルディスタンスの確保が無用になるわけではありません。

ちなみに筆者はこの夏、日本のポップカルチャーをテーマにした屋内イベント「ドコミ」(デュッセルドルフ)と日本文化全体を扱う屋外イベント「マイン祭り」(フランクフルト)に参加しましたが、両イベントとも「3Gルール」が採用されていました。

そんな「3Gルール」ですが、早くも変化の兆しが現れています。ドイツでは9月に入ってからこの「3Gルール」を強化するべく、「2Gルール」が議論されています。3Gのうち迅速検査による陰性証明を除外する考え方です。

すでにハンブルクで導入され、ヘッセン州などが追随する意向です。さらに、ラインラント=プファルツ州では「2Gプラス」という一定数の迅速検査の利用者も継続して許可しようという折衷案も出てきました。(ドイツ語ですが以下の記事が参考になります)

3Gが2Gになることにどういった問題があるのか。それはワクチン未接種者をイベント等から排除することになります。3Gルール下では未接種でも迅速検査による陰性証明で入場が可能でした。そういった代替手段がなくなってしまうのです。

ドイツではこの秋、この2Gルールの運用が試されることでしょう。その先にあるのはクリスマスマーケットです。ドイツの長く暗い冬を乗り切るための楽しいイベントですが、出店者にとっても大事な稼ぎ時となります。

この新型コロナウィルスに関する感染予防対策は、頻繁にアップデートが必要のようです。次々と発表される新たな調査結果などをもとに、柔軟に対応していく姿勢が私たちにも問われているのかもしれません。

今回はドイツの「3Gルール」について考えてみました。イベント等々の再開に向けて誰かの参考になればと願います。

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タイトル画像:8月上旬のマイン川沿いに設置された移動遊園地。祭りの分散型開催をテストするために、小規模なコーナーが市内数カ所で設けられた。

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