「カンバセーションズ」と1年併走してみて気付いた、共創プラットフォームとしてのインタビューの力
今年1年、「カンバセーションズ」という一風変わったインタビューメディアにて、「来訪神をリデザインする」といった趣旨の新作を形にするための識者へのインタビューを続けてきました。
編集長の原田優輝さんはもともと「PUBLIC-IMAGE.ORG」という私も大好きだったカルチャーメディアの編集長を担当されていた方で、以前メディア芸術祭関連の取材をしていただいたことからご対面。その記事も非常に素晴らしく(自分のとりとめのない話や言語化しにくいコンセプトを的確にまとめて頂き)、編集者・執筆者としての手腕に感動していました。
極めて輪郭の曖昧なアイデアに栄養を与えてくれるインタビュー
連載後は、「インタビュー」という口実があることにより、自分が個人的にも大好きでお話を伺いたい方にお話を伺えるというボーナスタイムがやってきました。
昔から大好きなアーティストの和田永さんにお話を伺い、「村」という概念に妄想が炸裂したり
気鋭の民俗学者の畑中章宏さんに「個人霊と集合霊」というググってもなかなか出てこないであろう概念を教えていただいたり、
東大生産研教授であり、日本を代表するプロダクトデザイナーの山中俊治さんに「生命というセンシティブなテーマ」をテクノロジーを交えて取り扱うにあたっての心構えを伺ったり
私は特に、なにかの作品をつくる際に、紆余曲折をすることが多く、始めは本当に曖昧な輪郭のプランしか持っていないのですが
そういった不定形のアイデアの土壌に対して、上質な栄養がドバドバと注がれるような感覚がありました。
「進行中の問い」は多くの人を引き寄せていく
こちらのnoteでも書いたのですが、今年の6月頃に関係者のみのクローズドなメディアのローンチパーティーが開催され、そこでも新作のプランを発表させていただいたのですが、これもまた良かった。
そもそもそこに集まっていた方々が非常に面白い方ばかりだったのに加え、「まだ完成していないアイデア」をあえて発表することで、初対面の方々との繋がりが、なにかコラボレーションや協業をしうるご縁として密なものになった感覚がありました。
「完成品」に対してコミットできることは多くないですが、進行中の、まだ形の曖昧なアイデアや問いは不定形で、今まさに様々な人の影響を受けて形を変えている状態。
だからこそ、多くの人と様々な可能性をもってつながっていくことができる不思議な力があると実感しました。
「問い」を持ち続ける同期(?)とのゆるい繋がり&尻が叩かれる作用
カンバセーションズでは、CINRA代表取締役社長の杉浦太一さん、エレダイ2代表取締役社長の熊野森人さんという素晴らしいおふたりと同時にそれぞれの連載をスタート。
私とは分野も立場もまったく違う方々なのですが、「ゆるい同期」のような存在で、たまにコラボレーションが生まれたり定期的な集会(飲み会)でお互いのアイデアに対して意見交換をすることができ、非常にありがたいです。
制作のプロセスというのは基本的に孤独な側面も多いうえ、私はフリーランスのアーティストという「野良」な存在なので、こういった形でのゆるやかな連帯感が生まれるのは稀有であります。
助成もいただいたので、来年は本気出す
今年度は海外での展示活動などに忙殺され、インタビューでの情報収集や根回しなどで終わってしまったのですが
「アーツカウンシル東京」の単年助成枠に採択いただいたというニュースが年の瀬にやってきたので、これは来年はマジで頑張れちゃんと結実させろよ、という天啓だと解釈し、次年度は具体的に色々動いていきたいと思います。