世界旅行をしているかのような気にさせてくれるニューヨークタイムズのポッドキャスト〜The Daily
ニューヨークタイムズが2017年2月から提供しているポッドキャスト番組、「The Daily(ザ・デイリー)」。今では毎日200万人が視聴し、アップルのポッドキャストの人気ランキングでトップ10に入るほどです。
先週目にした以下の記事に触発され、欧州議会選挙に至る欧州各国におけるナショナリズム、ポピュリズムのムーブメントをカバーする番組を先週毎日聴いてみました。
月曜日から金曜日まで、ドイツで始まった反移民政策を唱える市民の声、フランスのイエローベスト運動の状況、イタリアの小さな都市で反移民政策を唱える女性市長のキャンペーンの様子、ポーランドでリベラル寄りの地域新聞で働く記者と実の兄弟が運営するナショナリスト政権寄りの国営放送の関係などが紹介され、最終日の金曜日にはドイツに戻り選挙結果を見守る様子を描きながら全体を振り返るという構成でした。
街の様子や記者やインタビューに答える人たちの息遣いが伝わってきて臨場感溢れる音響効果、そしてドラマを観ているかのようなストーリーの構成も工夫されていて飽きさせない内容です。30分程度の番組の中でニュースの背景となっている歴史、そしてその事象をより引き立たせるような人物の具体的なエピソードを紡ぐ形でより一つのニュースの物語が鮮明に描かれています。
つい先程、米国東部時間の6時に配信された本日月曜日の番組では、香港のデモがそもそもなぜ、どのように始まり、今何が起きているかを、現地の記者が詳細にレポートする形で伝えてくれています。
ニューヨークタイムズはポッドキャストの成功を更に拡大する形で6月上旬から「The Weekly」という毎週日曜日の東海岸時刻の10時から始まる30分間のケーブルTV番組のドキュメンタリーシリーズもスタートさせました。世界中の160カ国で活躍する1,600人の記者が取材の舞台裏を交えながらストーリーを伝える試みはこうして国境を超え有料読者を獲得していくのでは、と改めて世界的なブランドであるニューヨークタイムズの巧みな戦略性を感じるところです。
まだまだ国内では認知が少ない印象があるポッドキャスト。いずれ国内でも拡がりうる新しいメディアの形として、そして更には英語学習の教材・素材としても、もっともっと利用者が拡がるのではないか、と個人的には期待しています:)