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フリーランスガイドラインが策定。フリーランスが「公正な取引」を行うためには何が必要か

こんにちは。弁護士の堀田陽平です。

3月26日(金)、フリーランスガイドラインの完成版が公表されました。


案の段階から大きく変更はないので、ガイドラインの政策的な意義については、前に書いたこちらをご参照ください。


フリーランスガイドラインに対しては、上記の記事にあるとおり、評価が分かれるところであると思われますが、今回は、フリーランスガイドラインには、ざっとどういうことが書いてあるかを踏まえて、フリーランスが「公正な取引」を行うために必要なことは何かを考えてみたいと思います。

基本的には競争法を適用する

フリーランスガイドラインで大きく示されているのは、「フリーランスは競争法によって基本的に保護される」ということであろうかと思います。
競争法というのは、独占禁止法、下請法といった法律のことで、ざっくりいうと、適正な取引を図り、自由な競争を守るという法律です。
したがって、厳密にいうと、「フリーランス」という法的地位を守っているのではなく、「取引」引いては「自由な競争」を守っていえます。とはいえ、結果的にフリーランスの働き方の改善に寄与するので、観念的な違いといえるでしょう。

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(出典:フリーランスガイドラインより)

ガイドラインで示された競争法の適用の在り方

① 書面交付

まず、目を引くのは、取引条件を記載した書面の交付についてです。
下請法の適用がある場合には、取引条件を記載した書面を交付することが義務付けられていますが、問題は下請法の適用がなく、独占禁止法が適用される場合です。
実は、独占禁止法には、取引条件を記載した書面の交付を義務付ける定めはありません。ですが、こうした行為は、取引内容を曖昧にさせ、独占禁止法が禁止している優越的地位の濫用を誘発するおそれがあることから、取引条件を記載した書面を交付しないことは「不適切」であるとしています。

② 独占禁止法、下請法上問題となる行為
次に、フリーランスガイドラインでは、独占禁止法上の優越的地位の濫用、下請法が問題となり得る行為として次の行為を挙げています。

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(出典:フリーランスガイドライン概要より)

こうした行為が独占禁止法、下請法上問題であることを明確にすることで、今までフリーランス対して積極的に適用されてこなかったこれらの法規制の適用を明確にしたといえるでしょう。

実態として「労働者」である場合には労働関係法令を適用

またフリーランスガイドラインでは、契約名称が「業務委託契約」等、雇用契約以外であっても、実態としては、労働者に当たる場合には、労働関係法令の適用があることを明確にし、その判断基準も明確にしています。

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(出典:フリーランスガイドラインより)

仲介事業者にも一定の責任

フリーランスの中には、発注者とフリーランスを仲介する仲介事業者を介して取引を獲得する人もいます。こうした仲介事業者との関係でも、「今後、多様な働き方の拡大やギグ・エコノミーの拡大により、フリーラン スと仲介事業者との取引が増加する中で、仲介事業者がフリーランスとの取引上優越した地位に立ち、フリーランスに対し、その地位を利用して、正常な商慣習に照らして不当 に不利益を与える場合があると考えられる」として、一定の場合には、独占禁止法上の優越的地位の濫用が問題となり得る旨を示しています。

フリーランスも契約リテラシーを持つ必要がある

ごく簡単ですが、フリーランスガイドラインの解説的なこと書きました。

フリーランス政策に関しては、労働市場の問題や景気の問題等もあり、私の総論的な問題意識は冒頭の私が書いた記事にまとめていますが、最後に、フリーランスガイドラインとの関係で、思うところをまとめてみます。

ガイドラインで示された上記のような法律の適用は、いわば発注者側のアクションに影響を与えることで、「不公正な取引」を是正するというものです。
私は、フリーランスから相談を受けることもありますが、競争法や労働関係法令が適用されるとしても、特にトラブルになることが多い金銭の支払や契約の打切り等は、フリーランスの生活状況に照らして、スピード感を持って対応する必要がある場合があり、やはり、直接の主張の根拠となる「契約」というものがフリーランスを救う鍵となっているとひしひしと感じています。
そういう意味では、フリーランスガイドラインによって発注者側が「不公正な取引しない」ということも大事であり、こうした行為が許与されるべきものではないことは当然ですが、「取引」(契約)は、双方当事者の合意によってなされるものであるため、より「公正な」取引をしていくには、フリーランスも契約リテラシーを備えて、戦える武器を持つことも重要といえるでしょう。

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石川県出身 弁護士 2020年9月まで、経済産業省産業人材政策室で任期付き職員として、兼業・副業、テレワーク等の柔軟な働き方の推進、フリーランス活躍、HRテクノロジーの普及、経営戦略と人材戦略の適合(人材版伊藤レポートの策定)等、生産性向上の観点からの政策立案に従事。