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スタートアップで働くことは、やりがいと経済合理性を両立するためのキャリア選択

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

スタートアップで働く、ということをどう思いますか?本記事の読者には、いままさに働いているという方もいれば、大企業に長らく勤めている方もおられるでしょう。

わたしは大学の教員としてインターネットビジネス基礎という講座を担当していますが、学生の起業志向はかなり高く、会社に勤めるよりも起業したいという人がほとんどです。もっとも、大学ではアントレプレナーシップ学部の中の科目であるため、多分にバイアスがかかっていることは認めます(笑)。ただ、他大学の学生を会話をする中でも、今の日本企業に対する諦観というか働きにくさは強く感じているようで、自分らしさを重視する若者とのギャップはこれまでになく開いていると実感しています。

起業志向が薄いにしても、次に候補にあがるのは伸び盛りのスタートアップへの就職です。従業員の平均年齢が若い、自由闊達、短期間で自身の成長につながる等々、従来型の日本企業にはない魅力を感じているといいます。

奇しくも政府は「新しい資本主義」の重要施策の中に、スタートアップ育成強化を掲げています。日本経済を再び成長軌道に乗せるためのドライバーとして、他国のように「ユニコーンを創出すべきだ」という野心的な政策です。

政府は24日、スタートアップ育成強化に関する5カ年計画をまとめた。日本では6社にとどまるユニコーン(企業価値が10億ドル以上の未上場企業)を将来的に100社に増やすとの目標を掲げ、基金を通じて事業を支援する。スタートアップへの投資額を現在の年間8000億円規模から2027年度に10兆円規模に引き上げることも盛り込んだ。

日経電子版

スタートアップ育成においてなんらかの数値目標(KPI)が掲げられるのは概ね良いことだとは思いますが、それがユニコーンの数でいいのかには議論が残ります。なぜかというと、ユニコーンの数を増やすということは、2つの大きな戦略をとるということだからです。第一に、未上場のまま巨額の投資を受けて成長を続ける必要性を明確にする必要があること。第二に、ユニコーンに資する巨大市場に挑むということは国内市場だけでは難しく、自然とグローバルスタートアップを日本を拠点にして創出・成長させるということ。

このような企業を成長させるためには資金が必要なのはもちろんのこと、一番肝心なのは「人」。どのスタートアップも経営者が毎日悩んでいるのは、資金と採用。CEOの重要な仕事はほぼこの2つに尽きると言っても過言ではないでしょう。会社のステージにあった人材を採用し、事業を伸ばす。それを短期間に実現することは容易ではありません。政府に方針にもここを意識した実行計画が盛り込まれています。

政府は6日、「新しい資本主義」の実行計画改定案を公表した。転職しやすい労働市場改革やスタートアップ支援に重点を置いた。賃上げを持続しつつ、成長産業への移動を促して成長力を底上げする狙いだ。転職時に同じ年金制度を使い続けられる改善策などは手つかずで、規制の緩和には踏み込んでいない。

日経電子版

実際にスタートアップで働いてみたい、気になるけど。。。という声はとてもよく聞きます。私自身も学生時代に個人事業主からスタートアップへの創業時からの参画(当時は学生ベンチャーなどと呼ばれていましたが)、上場したばかりの勢いのある社員300人ほどの新興スタートアップなどのキャリアを築いてきました。ただ、意外と外に実態が出ていることは少なく、今でも「なんとなく不安」「安定した企業のほうがよいのでは」などの懸念を聞くことが多いです(驚くことに、若者からのほうが多い)。

そのような悩みにズバッと答える最高の書籍が発売されました。スタートアップ黎明期から市場を見てきたトップヘッドハンターで、現在はスタートアップの成長に伴走する会社を経営している志水さんが、市場の現状から具体的な悩み相談、そして事例までを総合的にまとめたものです(ご恵投ありがとうございました!)。

<目次>
第1章 なぜ、今、スタートアップなのか
第2章 スタートアップへ転職する「前」に知っておくべきこと
第3章 どのスタートアップに転職すべきか
第4章 スタートアップ転職の成功事例

本書で最も刺さったのは、この一言。

「人間が選択できる最も美しい行動は挑戦だ」

そして、スタートアップで働くということは「やりがいと経済合理性を両立できるキャリア」をつくるということだと筆者は説きます。読み終わった後に、私自身も挑戦が足りないなと自省し背筋を伸ばしました。

キャリアのもやもやが溜まっている人はもちろんのこと、なんとなくスタートアップで働くってどんな感じなんだろ?と思っている方にも広く読んでほしいなと思います。

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※ タイトル画像は筆者撮影

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