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Z世代のキーワード「Manifesting」とは?

「Z世代・ミレニアルTikTok」でキーフレーズとなっている言葉がある。

「Manifestation」や「Manifest」、日本語訳をすると「引き寄せ」や「実現化」という言葉が近い。きっかけとなったのは、2006年に出版されたロンダ・バーン氏の自己啓発書「The Secret」にて「引き寄せの法則」を取り上げたことにある。思考を変えることで、人生を変えることができるというスピリチュアルな主張だ。2020年にTikTokをはじめとしたSNSで急速に広まり、「マニフェストの方法」を教える動画が数え切れないほど存在する。酷かった2020年を乗り越え、より良い人生や生活を実現させるために「夢を唱える」ことで自分の心の中にある夢を物理的な現実に引き寄せたいと考える若者が増えている。

例えば、アメリカでは今不動産バブルや不景気、そして世代間格差によって多くの若者が家を買うことが人生のうちでできないと諦めている。不動産ウェブサイトのZillowを見て、いわゆる「ウィンドウショッピング」をすることで、夢の家を妄想し、いつか住めることを「マニフェスティング」するのだ。

このトレンドについて詳しく書かれた記事を紹介したい。

TikTokでクリエイターたちが紹介するマニフェステーションの方法は様々だ。例えば頭の中で肯定文を繰り返したり、目標をノートに書いたり、「3・6・9法」と呼ばれる、自分がつながりたい人の名前を3回、その人に望むことを6回、そしてその人にとってほしい行動を9回書くというものもある。

”大切なのは、「こうなってほしい」と願うだけではなく、「こうなった」という視点で話すことだと、専門家は言う。ポジティブで肯定的なメッセージが書かれたテキストの背景には、穏やかな音楽が流れる。あるビデオでは、運河のきらめく映像に合わせて、「アムステルダム、いつか」と書かれています。「徒歩や自転車で街を探索し、気晴らしや計画を立てずに、二人だけで過ごそう」。コメント欄には、この現実を "マニフェスト "して、自分の存在をアピールする人たちがあふれている。

しかし、なぜ今、このような復活劇が起きているのだろうか。そして、なぜTikTokでこれほどまでに大量の人気を集めているのだろうか。全米4-H協会の調査によると、このストレスフルな時代に、10代の若者のうち7人が、何らかの形で精神的な健康に悩んでいると報告している。TikTok(米国のティーンの49%がダウンロードしているアプリ)が自己鎮静のツールの一部になったとしても、驚きではない。マニフェスト動画は、10代の若者が世界、少なくとも自分の人生への信頼を取り戻すための手段となる。恐怖を感じているのは自分だけではない、自分のことを心配してくれている人がいる、ということを伝えることで、お互いを思いやるコミュニティが生まれる。混乱した時代とスピリチュアル性への引き寄せの関連性は、検証されている。Refinery 29のアメリア・ハーニッシュによると、サイキックサービス業界は、2008年の金融危機の際に「最小限の減少」しか見られなかった分野の1つだそうだ。災害の多い世界では、答えはその先にあると信じる理由が増えている。また、TikTokのメインコンテンツである「For You Page」には、とんでもない、しばしば不安を煽るようなコンテンツが溢れている。マニフェスト動画は、必死のメッセージの海を打ち破り、スクロールの過程で一旦停止して安心感を与えるものだ。これらのビデオは、現代のティーンの2つのニーズに対応している。それは、破滅的な世界の中でポジティブさを見つけたいというニーズと、無限に続くオンラインコンテンツのパレードの中で安らぎを見つけたいというニーズだ。

しかし、TikTokで実践している人たちの多くは、このような考え方に完全にコミットしているわけではなく、より大きな枠組みを採用しているわけでもない。TikTokでのマニフェステーションのあり方は、複雑な道徳的信念の体系ではなく、むしろ自己啓発のためのシンプルでエレガントなツールであり、伝統的な宗教と一緒に働くこともできる。TikTokは生活の中に簡単に取り入れることができるし、2分ほどの時間と紙とペンが必要になるだけだ。自分を向上させるために必要な小さな作業だ。これほど人気があるのも不思議ではない。”

Yung Baby TateとFlo Milliの"I Am"という曲がTikTokで大ヒットしたのも、その歌詞の一部を唱えることがマニフェステーションのトレンドになったことがきっかけだった。

「I am healthy, I am wealthy
I am rich, I am that bitch (Yeah)
I am gonna go get that bag
And I am not gonna take your shit (Uh)
I am protected, well respected
I'm a queen, I'm a dream (Yeah)
I do what I wanna do
And I'm who I wanna be
'Cause I am me

私は健康、私は裕福
私は金持ち、私はイケてる
私は絶対大金を稼いでくる
お前のクソは受け入れない

私は守られているし、尊敬されている
私は女王であり、夢のよう
私はやりたいことをやる
そして、私は私がなりたい人になる」


混乱の時代に生きる若者たちがセルフケアやセルフラブの延長線上で「自己肯定感」を上げる方法や「マインドフルネス」に興味を持ち、それに加えてWitchtok(魔女TikTok)などのスピリチュアルなトレンドを取り入れることで、現実世界でのケアやモチベーションとある種のファンタジー的な世界観を融合させているのだ。

以下の記事ではマニフェステーションの方法について詳しく書かれているので、興味のある方はぜひ。






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竹田ダニエル
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