「50人に1人」の衝撃。認める・認めない以前の問題に。
先般の外国人労働者受け入れについて、ビジネスインサイダーさんに寄稿させて頂きました。論点は以下の通りです:
・過去5年間で増加した外国人労働者は+59.6万人。この間、日本人の就業者数は+250.9万人増えているので、増加分の4人に1人が外国人だったことになる。
・2017年12月末時点の日本の就業者数は6531万人、現在入手できる最新の外国人労働者数が127万人だから、日本で就業する者の約2%が外国人ということになる。2%というと小さいように感じるが、「50人に1人」と言えば印象も変わる。
・業種別に見ると宿泊・飲食業の実情などが目につく。2017年、宿泊・飲食業に従事する就業者数は日本全体で391万人と前年比横ばいだった。しかし、外国人労働者は13.1万人から15.8万人へ+2.7万人増えている。つまり、外国人労働者がいなければ宿泊・飲食業の就業者は純減だった。「外国人を雇用できなければ商売が回らない」という事業者も多かったのでは。
・国人受け入れに関してはさまざまな意見があるべきだし、将来の人口構成にまで影響することに鑑みれば、軽々に結論を急ぐべき問題ではないと考えている。とはいえ、経済成長の観点だけから評価するならば、前向きに評価せざるを得ない政策でもある。
・外国人労働抜きでは商売が成り立たない業種が出てきているのだから、「認める・認めない以前に必要」という認識が適切だろう。
・教科書的に言えば、労働投入の増加は潜在成長率の底上げ要因なので、やはりそれ自体はポジティブである。長年、人口減少を理由に日本経済が悲観されてきたのだから、この点は議論を要しない。
・理想論を承知で言えば、「安価で単純な労働」は外国人に、「高価で複雑な労働」は日本人が担うようになれば、低付加価値の労働に従事してきた日本の若い労働力が高付加価値の労働に従事する余地が生まれる。そうなれば、今までと同じ労働投入で高い付加価値が得られるようになる。これは日本全体の生産性が上昇する話になる。定義上、生産性の上昇は*実質賃金の上昇をもたらす。
・何の対策も講じなければ労働力人口は減少を続け、日本経済への労働投入は減る。機械化だけで乗り切れるものではないだろう。「甘んじて低成長を受け入れる」という立場を支持する向きもあるのかもしれないが、筆者は支持できない。成長の無いところに前向きな消費・投資意欲など生まれるはずが無い。
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