人工知能とは人間である

下記の記事のように人工知能の記事では、「人工知能 vs 人間」という対立の立場か、「人工知能 with 人間」という協調の立場で書かれているかどちらかである。

 実はどちらも間違っている。人工知能とは人間そのものだからだ。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54691

実は、人工知能とは、複雑な物事を簡潔に人間が記述したものである。

 その意味で、AIとは、科学の基本になっている「方程式」の仲間である(ニュートンの運動方程式、マクスウエルの電磁方程式など)。方程式は、リンゴと天体を含む、幅広い複雑な物体の動きをたった1行(あるいは数行)で記述する。もちろん記述したのは人間である。人間が、複雑な事象を一貫して簡潔に記述でき、簡潔に理解できるようになったのである。

 従来のプログラムで100万行使っても書けないような複雑な動作を、人工知能のプログラムでは、実は、1000行程度で簡潔に記述できている。このAIというコードの記述は一種の方程式である。複雑な動作を簡潔に記述し、理解できるようになったのである。今後人類は、この1000行をさらに短く簡潔に書けるようにしていくだろう。それが人類の進歩である。

 「方程式vs人間」という議論がないように「人工知能vs人間」という議論は原理的にない。あるのは「方程式を活用する人vs活用しない人」があるだけだ。

 ここからもう一つ重要な結論が導かれる。ニュートンの物体運動の方程式は人類の共有財産で、誰も独占的に所有できないのと同じように、方程式たる人工知能は誰にも所有できない。皆の共有財産である。物体の方程式が、建築にも飛行機にも発電機を設計するのにも欠かせないように、AIはあらゆる事物の予測や制御や判断に欠かせないものになる。

もう一つ大事なポイントがある。AI自体では差がつかないことだ。今後ますます差がつかなくなるだろう。差がつくのはAIの活用である。方程式の活用方法が無限の自由度と可能性を持っているように、AIの活用には大きな自由度がある。ここに無限のチャンスがある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?