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"女性への偏見"についての私の願い

東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森前会長による「女性蔑視発言」は、日本だけでなく海外でも大きく取り上げられることとなった。

橋本さんが後任に決まったことで今週になってようやくその話題が沈静化してきた。この件については多くの方が色んな意見を発信し、議論になったのでここで私から言及することは止めておく。それに代わり、この件が話題になった時に私がふっと頭に浮かんだ過去の「女性への偏見」についてここで述べたいと思う。

数年前のとある出来事

2年ほど前だろうか。地元の市議会女性議員連盟の方々が私達の会社に見学にいらしていただき、その後私と意見交換会を開いた時の話である。
地元を良くしようと日夜奮闘している議員の方々なので、それはそれは熱心に見学されて私達の説明もよく聞いていただき、よくメモも取られていた。そして、私達の会社のアットホームな雰囲気とイキイキと働いているスタッフの姿を見て、とても驚いていたようである。その驚きが、私との意見交換会の時に矢継ぎ早の質問となって返ってきたのである。

「女性がイキイキと働いているが、その秘訣は?」
「女性が活躍できるための制度はどんなものがある?」
「井手社長が女性社員と接する時に気を付けていることは?」
「女性も多いようだが、女性比率は?」

等など、本当に真剣にこれらの質問が次々に出て来た。それだけ私達の会社に興味を持っていただいたのは嬉しいのだが、私は素早く返答が出来ず、少し戸惑ってしまったのである。
正直、これらの質問に何らかの違和感を抱いていたのである。
それが何なのか・・・と少し考えて頭を整理してみた。すると違和感の原因が分かった。それは全ての質問が


【女性は~?】 

という切り口になっていたからであった。そしてそれが理解できたあと、議員の方々に私の基本的な考えをお伝えしたのであった。

私たちの考え方

「先ほどから返事に困っていた違和感は “女性は?” と聞かれていることに対してでした。私達は”女性だから”という理由で何か特別に意識していません。老若男女問わずスタッフの誰もがどうやったら働きやすいか、モチベーションが上がるか、幸せでいられるか、問題点があればどう解決していくか、という考え方なのです。その中で女性特有の問題もありますが、他の問題同様に考えて対応しているということになります。そのため、大変申し訳ないのですが、"女性が"活躍するための・・・と言われても答えに困ってしまいます。そんな視点で考えたことがないのです。ですから女性比率も分かりません。多分女性スタッフの方が多いんじゃないですかね?笑」

醸造所カウンターでの風景

議員の方々は予想外の私の返答に一瞬困惑したような表情をみせた後、とても感動されて拍手が鳴りやまなかったのを覚えている。聞けば議会では男女平等を高らかに訴えてはいるものの、実際は男性中心の慣習が至る所にあり、実は男女平等が一番遅れているのは議会だ!とのことであった。驚きはあったが、冷静に考えてみるとそれもそうかという感覚になった。

議会などの公的機関は、過去の慣例ややり方を踏襲する傾向にあり、しかもその組織を構成している方々もかなり高齢化している。昔の日本の男性優位的な考えで育った方達ばかりなのでそうなってしまうのだろう。その点は、先の森前会長も同じではないかと思う。本人達に悪気はなくとも、そういう考えで長い間育っていれば、今の社会、特にグローバルな感覚と少しずれていても仕方ないと思う部分もある。

これから先の社会への願い

改めて、男女平等を前提に論じるべき議題の時に「女性だから」「女性は」を枕詞にする時代を終わり、「社員は」「議員は」「国民は」と性別を意識せず議論できる社会になることを願わずにはいられない。そのためには少々きつい言い方かもしれないが、古い感覚から切り替えられない組織や人材、役職者が、新しい感覚をもった人材に入れ替わることが大事なのかなと思う。


身体に染み付いた習慣や固定概念はなかなか変えられない。
変えられないのであれば、世代を変えるのも一考。
知識や経験豊富な年配の方々を必要とする場は他に沢山あるので、そちらで力を貸していただくと双方活躍の場が広がるのではないか。


ちなみに、今回の件で改めて気になったのだが、うちの会社の男女比率を知らないので今度数えてみることにする。何となく印象では女性が多い気がする。いや、多分そうだろう。そんなことを気にできて実に幸せである。笑

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