テクノロジー×シニア 変わる僕たちの働き方[つながりが切り拓くミライ#01]
シニアと聞いて「ずいぶん先のこと」と思っていたが、あっという間に親世代が「シニア」だ。
私もそう遠くもない「シニア」
きっとみんなが「できるなら触れたくない」と思ってるちょっと怖い問題。
日本経済新聞社が運営する「COMEMO by NIKKEI」が主催するイベント
テクノロジー×シニア 変わる僕たちの働き方[つながりが切り拓くミライ#01]
シニアの問題を解決するのはテクノロジーしかないだろうな、と思ってはいたものの、完全文系頭の私には想像もつかない。これにシェアリングエコノミーを切り口にして考えるトークイベント。かなり興味深い。
登壇者は
今回モデレーターも兼務された内閣官房シェアリングエコノミー伝道師
石山アンジュさん
東京大学 先端科学技術研究センター 講師
檜山敦さん
株式会社ランサーズ代表取締役
秋好陽介さん
Nサロンメンバーが記事をたくさんアップしているので、読み比べて欲しい。
シニアが働けないと何が問題なのか
少子高齢化と言われ続け立派な社会問題になった日本で、なぜシニアが働けないと問題なのか?
・労働人口の減少
たとえ現役バリバリで働ける力があっても65歳になったら定年を迎えてしまう。ということは、労働人口がどんどん減っていく。誰が考えてもわかりやすい。
・高齢者を支える社会構造の限界
労働人口がなぜ減るのか?日本の社会保障制度が設計された時点では人生100年時代ではなかったからだ。高齢者を支えるシステムが限界を迎えている。
・人生100年リタイア後の設計、技術不足
健康寿命が延びた現代で、リタイア後のライフプランモデルがまだまだ少ないのだ。誰もそんなに健康な状態で生き延びてなかったから。
リタイア後の安全な場所、居場所がないのが大きな問題なのだという。
シニアってどういう人?
「シニア」と言っても心身の状況でも多様な状況にある。健康でバリバリと現役で仕事がこなせるようなシニアも多い。
檜山氏は「学生の若手研究者よりシニアの方が声がでかい」という。
おっしゃる通り、彼らシニアの知識と行動力と経験は活かさないともったいない。
シニアは人生100年時代の個人が獲得した新しい時代だという。
ホワイトカラーはリタイアしたらどこへ行く??
「シニア」って言葉でひとくくりにすると私の発想ではシルバー人材センターのいわゆる「シルバーさん」。
でも確かにホワイトカラー層のシニア世代も多く存在する。
彼らはリタイアしたらどこへ行くのか?
シルバー人材センターではロースキルな短期で軽い仕事が多い。
秋好氏によると自転車を並べる、植木の剪定など軽い仕事に約72万人が従事しているがこれはシニア全体から見ると1%だという。では残りのシニアはどこにいるのか。
また、一方でハイスキルを持つシニアのジョブマッチングには企業側のニーズとシニア側のスキルを聞き出すことが必要でコストがかかるため、まだまだビジネスとして成立していないのだという。
テクノロジーは働き方を変えるか
長屋住まいだった日本では、みんなで子どもを育て支え合いが根付いていた。これがシェアの原風景だと石山氏はいう。
醤油の貸し借りがテクノロジーによって海を越えてできる、これがシェアリングエコノミーだ。
衣食住あらゆるものがシェアできるようになり、子どもの預かりあい、困りゴト助け合い、世界中でシェアが行われている。このテクノロジーを介したシェアリングエコノミーにシニア世代が参入することで働き方を変えることができるのではないか、というのが今回のイベントのテーマだ。
ストアカで定年後の生きがいを見つけた包丁研ぎの先生は今やメデイアに引っ張りだこだ。場所、時間、スキル、経験、すべてを持ち合わせているシニア世代はアイデア次第で結果的に生きがいや収入に繋がる。
テクノロジーだから変えられること
シニア世代にも弱点はある。テクノロジーに弱い。
オンラインでジョブマッチング、スキルシェアができると言っても
そもそも「それなに?」状態だろうし、シニアは書き込みをするのが苦手だ。
そこで、デジタルデバイドを解消するサービスも登場している。
ガラケーでもUVERを呼べるなど、あらゆるICTのアプリのサービスを代行するサービスも生まれている。
テクノロジーによって2055年には人口ピラミッドをバーチャルにひっくり返すことができるのではないか、と檜山氏はいう。
GBER(ジーバー)
熊本と柏で実験的に行われているシニア向け展開モデルGBER(ジーバー)
Gathering Brisk Elderly in Region
個人的にはすごいネーミングだとそっちに関心が行ったが、まじめな取り組みだ。
地域活動、社会参加のサポート、ボランティア活動、趣味のイベント、生涯学習、求人情報など シニアが今日何に参加しようかな、という軽い気持ちでフラットに参加できる型の取り組みだ。
リタイア後の安全な場所作り、コミュニティ作りができる仕組みだ。
これにも「機械音痴は参加できないのか」という問題がつきまとうが、これもGBERの使い方を伝授するアドバイザーを養成することによって解決できるという。
このようなテクノロジーの進歩で現役社員は自分の成長に専念できる仕事を増やし、あとはシニアに渡していくのだ。
オンラインマッチングの普及が働き方を変える
オンラインマッチングの普及は移動義務をなくす。
移動しなくても仕事ができる環境はシニアにも適した働き方だ。
さらに信頼の可視化ができ、マッチングアルゴリズムが容易になる。データ上にトラックレコードが残るので、年齢(=経験)が有利な時代がやってくる。
デジタルデバイド、シニアとICTの壁をいかに壊すかが働き方の壁を変えていく。メンバーシップ型ではなく、フリーランス型になることでお互いを支えられる仕組みが広がり始めている。
ミライのシニア=僕たちの働き方はどうなる
私たちはミライのシニアだ。
課題となることがわかればブレイクスルーになる。
すでにテクニカルにツール、機会はあるのに「まだなんとかなる」と思って動かない人が多いのだ。私もその一人だ「できればまだ触れたくない」と思っていた。
技術的な手段は増えている、あとは心理的な価値観を変えることだ。変えなければならないという状況だと認識し、危機的状況に陥ることでスピードは加速していく。
「問題に触れたくなかったが、触れてみたら意外に怖くなかった」と同時に「そんなにうまくいくかな」という気持ちが混在してなかなかまとまらなかったが、こうやって考えてくことが第一歩だ。
やってみないことには問題点すら発見できない。