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"韓国気候訴訟"報道の国内外の違いから感じること

気候変動関連のニュースを日々眺めていると国内と海外とでの報じられ方に違いがあると感じることがあります。国外では大きな話題になっているようなニュースが国内ではあまり報じられない、SNS上でもあまり話題になってないのでは、と感じることが折に触れてあります。

8月29日に報じられた「韓国の憲法裁判所が同国の気候変動法が将来世代の基本的な人権を保護していないとの判断」というニュースは、個人的にはとても注目したニュースでした。以前から気候訴訟は世界的に広がり、勝訴判決も欧米でもたらされていること、日本国内でも2024年8月6日に「明日を生きるための若者気候訴訟」が提起された背景もあったからです。

最初にニュースが報じられて1日が過ぎたところですが、どうやら国内大手報道機関として取り上げているのは毎日新聞 、TBS、NHKのみのようです(見落としがありましたらお詫びいたします)。

ニュースの主な内容は以下のとおりですが、アジア初の画期的な判決として、台湾や日本でも今後同様の機運が高まるのではないか、と言われている中、国内であまり報じられてないことは少し違和感を感じる程でした。

韓国の憲法裁判所は、同国の気候変動法が将来世代の基本的な人権を保護していないと判断しました。この画期的な判決は、アジアで初めての気候関連の訴訟における勝利とされ、韓国政府に対して2031年から2049年までの温室効果ガス削減の具体的な目標を設定するよう求めています。この裁判は、2020年に始まり、4つの訴訟が統合されて行われました。訴訟を起こしたのは、主に若者や子どもたちで、彼らは政府が気候変動に対する十分な対応をしていないことが憲法上の権利を侵害していると主張しました。裁判所は、2030年までの短期目標は十分であると判断しましたが、2031年以降の長期目標が欠如していることが問題であるとしました。この判決により、韓国政府は2026年2月28日までに法律を改正し、より強力な気候対策を策定することが求められています。この判決は、韓国国内だけでなく、アジア全体の気候政策や訴訟に影響を与える可能性があるとされています。

生成AI検索ツールPerplexityの検索結果より

参考までに英語圏のメディアで今回のニュースを取り上げているものをいくつか列挙してみます。もちろん全ての大手メディアがもれなく報じているわけではありません。とはいえ、ロイター、ガーディアン、ニューヨーク・タイムズ、ブルームバーグ、ウォール・ストリート・ジャーナル、AP通信など、いずれも詳しく報じている点に注目です。

第一報が伝えられてから1日後に感じた雑感です。思い過ごしかもしれません。ただ、こうした国内外の論調比較などは今後も意識しておきたい、と改めて感じる出来事でした。韓国の今回の判決がもたらされたのは最初の提訴から4年という月日を経てのことだそうです。日本国内の4年後にはどのような景色がもたらされているか、期待しつつ注視していきたいと思います。


スンシル大学法学部のコ・ムンヒョン教授は、ロイター通信に対し、この判決は他の国々にも変化をもたらす可能性があると語った。
「裁判所はヨーロッパの判決を見て、姿勢を変えたのでしょう。 韓国が気候変動の悪役というあだ名を捨てるきっかけを作ったのです。」
科学者によれば、世界の気温が産業革命前の平均より1.5度(華氏2.7度)以上上昇すれば、氷床の融解から海流の崩壊まで、地球に壊滅的かつ不可逆的な影響を引き起こすという。韓国は2050年までにカーボンニュートラルを達成しようとしているが、G20諸国の中ではオーストラリアに次いで2番目に石炭を多く使用しており、自然エネルギーの導入も遅れている。

ロイター
  • [Bloomberg Green :8/29]South Korea Needs More Long-Term Climate Targets, Court Rules(韓国の憲法裁判所、長期的な気候目標の強化を命じる)/ ▶2030年から2050年の間の目標欠如は将来世代に負担を強いると判断 ▶ 訴訟は主に若者を含む250人以上の原告団により起こされる

"韓国の気候訴訟は2020年3月に始まった。Youth 4 Climate Actionは、世界的な学校での気候ストライキ運動の韓国部門を率いる団体で、政府の不十分な温室効果ガス削減目標が市民の基本的権利、特に将来の世代の権利を侵害していると主張し、最初の訴訟を起こした。 その後、さらに3つの訴訟が統合され、原告数は255となった。これらの原告は、子供や赤ん坊、申請時には胎児まで含む幅広い年齢層を代表しており、気候政策が将来の世代に与える長期的な影響を強調している。"
"この歴史的な判決は、韓国にとどまらず、同様の裁判が進行中の日本や台湾など他のアジア諸国の気候変動訴訟や政策にも影響を与える可能性があると予想される。"
原告側は、韓国の緩い気候政策が、将来の環境悪化や気候関連の被害に対して脆弱なままにしておくことで、彼らの人権を侵害していると主張している。
裁判所の9人の判事の一人であるイ・ウンエ氏は、2031年以降の排出量削減の具体的な計画がないことは、基本的権利を十分に保護せず、原告の環境権を侵害し、将来の世代に「過度の負担を転嫁」するものであり、違憲であると述べた。

The Guardian
  • アルジャジーラ・イングリッシュ(Al Jazeera English):カタールに本拠を置くニュースネットワーク、アルジャジーラが運営する英語のニュースチャンネル

  • CNA(Channel News Asia)シンガポール国内で最も視聴されている英語ニュースチャンネル


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市川裕康 (メディアコンサルタント)
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