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「物流DX」は新たな価値を生み出すカギ

物流業界のDXと聞くと、意外に思う方も少なからずいるかもしれません。でも、私たちが携わる国際物流の領域でも「物流DX」というワードが注目されているのです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)が世界的に注目を集め始めたのは2010年代後半になってからです。この頃から、クラウド、AI、IoT、ビッグデータといった技術が急速に進化し、企業が競争力を維持するためにデジタル化の必要性が注目されるようになりました。

さらに遡ると、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉自体が広まったのは、2004年頃にスウェーデンのウメオ大学の教授であるエリック・ストルターマン(Erik Stolterman)が「Digital Transformation」という概念を提唱しました。彼の論文では、デジタル技術が人々の生活やビジネスの在り方を根本的に変える可能性について述べられています。

そんな背景があり、日本でも2018年に経済産業省が「DX推進ガイドライン」を発表し、企業の競争力強化のためにDXを推進すべきだと強調したことがキッカケで広く認識されるようになりました。

物流業界のDX

私たちが携わる国際物流の領域でも「物流DX」というワードが注目されています。

< DX化の3ステップ >
STEP1:社内インフラがクラウドサービスへ移行している
STEP2:社内管理ツールがSaaSへ移行している
STEP3:蓄積したデータを活用

STEP 1.社内インフラのクラウドサービスへの移行

物流DXの第一歩は、業務インフラのクラウド化です。例えば、クラウドベースの基幹業務システムを導入することで、各部門間のデータ連携がスムーズになり、データの一元管理やアクセスの容易化が可能。業務のスピードが向上します。

STEP 2.社内管理ツールのSaaSへの移行

次に、各種業務管理ツールをSaaS(Software as a Service)化することで、データの蓄積が可能となります。物流業界でいうと、運送管理や倉庫管理といったソリューションを導入すれば、輸送のスケジュール管理や在庫の最適化がこれまでに比べ格段に容易になります。特に、初期投資を抑えながらDX化を進めたいと考えている企業にとって、コストを抑えつつ最新のツールを利用できる点がメリットです。

STEP 3.蓄積したデータの活用

最終ステップでは、クラウドやSaaSで蓄積したデータをAIやビッグデータ解析で活用し、根本的な改善を目指します。AIによる需要予測や輸送ルートの最適化など、これまでの物流データを蓄積 → 次の物流に活かす。ここまでできて初めて「DX化ができた」と言えるのです。

物流業界ではまだまだこのDX化が遅れており、STEP 2のSaaSを導入するまではできていても、蓄積したデータを活用するまでに至っていないことが課題です。

日本の物流業界の総売上金額は、約25~30兆円規模とされており、(2020年代初頭の経済産業省や国土交通省が公表する統計データに基づく)EC市場や国際物流の拡大、DXの推進によりその規模は徐々に大きくなっていますが、DX化を業界全体で促進させることで更なる飛躍に繋がると予想しています。

物流DXの真なる価値

物流業界のDXは、単なる効率化ではなく、新たな価値を生み出すカギと言っても過言ではありません。

特に国際物流の領域では、属人化された技術や知識、複雑な情報の透明性を高め、既存の仕組みをただデジタル化するだけでなく、蓄積したデータを活用し、業務の質を根本的に向上させることが求められます。

日本の物流業界が抱える課題を克服し、約30兆円規模の市場をさらに成長させるためには、業界全体が一丸となってDXを推進していくことが重要です。

今後、私たちがどのようにDXを活用し、新たな物流の未来を築いていけるか。それは、企業ごとの取り組みだけでなく、業界全体の協力と持続的な努力にかかっていると言えるでしょう。


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