コロナ禍で生まれたオンラインイベント - 様々な取り組み vol.1
コロナ禍に入り間も無く1年半です。世の中のオンライン化は急速に進み、オンラインイベントも一気に増えました。その中でリアルイベントが再び開催できるようになってもオンラインイベントが減る気配はないとも言われ、「トキ消費」つまりは可処分時間の奪い合いが一段と激しさを増してきたと言われています。
下記のデータはPeatixのイベント開催数の推移ですが、2020年にオンラインイベントが一気に増えていることが分かります。
そして以前から「オンラインはオフラインの代替ではない」と言ってきておりますが、トキ消費の争奪戦が起きている中、数多くのイベントでオンラインならではの取り組みが実施されてきました。今回は、その中からいくつかのオンラインイベントのお取り組みの事例を属性ごとに分けてご紹介したいと思います。
体験 × 物販 × オンライン
オンラインを活用することで、今まで居住地などの物理的な制限でなかなか体験することが出来なかったイベントと、物販を組み合わせたライブコマース系のオンラインイベント が増えてきております。その中の一部をご紹介させていただきます。
"日本初!おうちで楽しむオンラインメロン狩り"
こちらは茨城のメロンの生産者の方がオンラインで参加者にメロンの栽培のポイントや選び方のレクチャーを受けた後に、ライブ配信しながらメロン畑を周りメロンの収穫をし、後日実際に収穫したメロンが自宅に届くというイベントです。なかなか実際に現地に行くことが難しいこの時代に、生産者と参加者をつなぐという意義もあります。また、これまで現地に行く機会はなかった家族も参加のハードルが下がることで体験の機会を得ることとなります。状況が落ち着いた時に実際に現地に行きたいと考えるファンづくりにもつながっているのです。
"料理王国 Experience #1 そかべさんと楽しむ音楽とカレーの時間"
こちらはアーティストの曽我部恵一さんが関わっているカレーを参加者が各自おうちで食べながら、オンラインで曽我部さんのライブを視聴するイベントです。参加申し込みすると事前にカレーが家に郵送されるので、ファンが同じカレーを同時に皆で食べるという共通体験を作り出すことで一体感を持ってライブを楽しむことできます。ファンとのこれまでにない新しいつながりを生み出すイベントです。
"【無料参加OKオンラインワイナリーツアー】日本のプレミアムワイン ソラリス 20周年記念!長野「マンズワイン 小諸ワイナリー」からLIVE中継(ワイン付/視聴のみ参加チケット)"
こちらは、ワインの生産者がライン作りについて語り、普段は体験できないブドウ畑やワイナリー施設の見学もおうちからゆったりすることが出来るイベントです。申し込むチケットによっては事前にワインが届くので、生産者の話を聞きながらテイスティングも出来ます。なかなか出来ない体験を提供するオンラインをうまく活用したイベントです。
演劇 × オンライン
演劇や落語などこれまでリアルの場で参加するものだったイベントもコロナ禍に入り、会場に人を集めての公演が出来なくなるとオンラインにその場を移していきました。オンラインになったことで、リアルの場ではなかったチャットによる主催者、演者と参加者のコミュニケーションなど新しい体験が生まれています。
"門外不出モラトリアム" 劇団ノーミーツ
今までにない演劇体験をオンラインで生み出したイベントも出てきました。演者同士はもちろんスタッフも含め全員一度も会わずに、オーディションから当日の配信までをリモートで実現した劇団ノーミーツによるZoom演劇は大きな話題を呼びました。現在ではテレビや大型施設とのタイアップなど活動の場は広がっています。
コロナ禍の閉塞感の中、与えられた制限を逆に最大限活かしてエンターテインメントに昇華させたイベントです。
学園祭 × オンライン
コロナの影響は学園祭にも及びました。多くの人が集まる学園祭もこれまでのような形で実施することは難しくなりました。そのような中、自分たちの活動を止めないという意志のもと、オンラインに場を移し、学園祭を開催する大学が出てきております。
2020年度、早稲田大学や慶應義塾大学など複数の大学でオンラインを活用し、アーティストを呼んでのライブを配信するなど、様々な工夫をしながら学園祭が実施されました。授業がオンラインに移行したり、サークル活動など集まることへの自粛が続く中、オンラインで学園祭を実施することで、学生同士のつながりもしっかりつくる動きにつながっています。
"早稲田祭2020 『今、新たに』 〜史上初オンライン開催〜"
"慶應義塾大学 三田祭 2020【オンライン 】 -若きチカラ、燃ゆる血から。-"
地域コミュニティ × オンライン
地域とのつながりをどのようにつくっていくかも大きな課題になっています。人と人が集まることが難しい中、人と地域とのつながりづくりにオンラインを活用するイベントも出てきました。
"京都オンライン帰省〜帰るのが難しい今だからこそ記憶の中の京都と出会う"
こちらは年末の帰省を自粛する流れが生まれている中、昨年末に実施されたオンライン帰省のイベントです。帰省を諦めざるを得なかった人がオンライン上で集うことによって、京都についての思いや関わりなどを語り合います。これまでだと実家や地元の友人と会うだけだったのが、こうして”京都"という共通の場に関わる人々が集まることで、今までであれば出会うことのなかった人との出会いも生まれ、新たな形での京都とのつながりを生むイベントとなっています。
オンラインならではの特性を活かす
このように、コロナ禍で多くのことが制限されてしまっている時代に、人と人のつながりを止めないようオンラインを活用した取り組みが生まれています。ポイントになっているのは、どの取り組みもオフラインの代替としてオンラインを利用しているのではなく、オンラインならではの特性を活かし新たな体験を生み出していることです。
この他にも様々なカタチのオンラインを活用したイベントが出てきております。また他の形式のオンラインイベントも次回以降ご紹介していきたいと思います。