
退職後の生き方を考える
あなたは定年退職後の生き方を考えたことがありますか。
2024年1月1日に亡くなった経済コラムニストの大江英樹さんは「定年楽園」という本を書かれ、定年後の方々を幸せにしたいと説かれていた方でした。
1)大江さんの言葉
大江さんはこのようなことを述べられています。
楽園、とは人それぞれ。でも何をするにしても「自分が主体的に動く」「変化を恐れず、変化を楽しむ」ことが大事なのです。定年楽園はそのかなたに見えてくるものなのだと思います。
「サラリーマン脳」との決別が大切。長年組織の中で過ごすうち、仕事だけでなく私生活まで、すべての活動が受動的になるのがサラリーマン。その脳のまま定年を境に急に「これからは自分のやりたいことをやりましょう」と言われても、何をやっていいかわからない。居場所探しに惑うのです。
人生の目的はお金持ちになることではなく、幸せに生きること。そのためにはある程度のお金は必要だし、健康維持の努力も大切。お金など、何に使うかは人それぞれでいい。旅行、趣味、手弁当での奉仕活動、美食等々、要は自分と家族や友達との思い出づくりができればいいのだ。
自分が病気になり、一時は死を意識したこともあったが、その時に考えたことは「結局、人生の最後に残るのはお金ではなく、思い出しかないんだな」ということだった。
2)僕が感銘を受けた理由
定年退職後の話に、なぜ僕がここまで感銘を受けるのか。
それは、若くしてFIREした人たちにもまったく同じことが言えるからなのです。
FIREの文脈では、お金を貯めることに9割くらいのフォーカスがなされます。どの本を読んでも株式投資や不動産投資など、お金を貯めるための手法ばかりが語られるのです。
しかし僕自身FIREして3年経って心底思うのは、「お金を貯めることは必要なことではあるが、それだけでは十分ではない」ということ。
むしろ、ある程度のラインを超えるとお金なんかどうでもよくて、その後どう生きるのかの方が圧倒的に重要なのです。
この観点から、大江さんの
・自分が主体的に動く
・変化を楽しむ
・受動的なサラリーマン思考からの決別
・お金は思い出作りに使うもの
・人生の最後に残るのはお金ではなく思い出
という話に深く共感したのです。
3)幸せに大切なこと
僕は人の幸せには次の4つの項目が必要だと思っています。
・お金
・時間
・健康
・友達
1.お金と時間
僕は高年収である一方で、仕事に追われてまったく自由のない人生を送ってきました。
一方、FIRE後にお金はそこそこで人生のすべての時間が自分の物である人生を送っています。
この数年でどちらの人生も経験して、圧倒的に後者に幸福感を覚えています。
2.友達
FIRE後に会社員に戻ったという方のお話を聞くことがあります。
こうしたときに内情を良く知らない方は「やっぱりお金が続かなかったんだろ」と思われる方も多いと思いますが、僕はそうは思いません。
若くしてFIREできるほどお金を貯められる人が、FIRE後すぐにお金が無くなるわけがありません。
実際にFIRE生活を途中で辞める人の多くは一人の時間に堪えかねた、人恋しくなったなど、この「友達」という要素を求めていたのだろうと思います。
そうならぬよう、FIRE後にどんな友達と生きていくのかということを思い描き、準備していくことが大切なのです。
3.健康
いくら自由な時間があったって、病気で動けなくなってしまったり、認知症になってしまうとその時間を活かしきることができません。
40代、50代であっても、自分の健康が損なわれて自由に動けなくなってしまうことなど現実味をもってとらえられないと思いますが、
人間の健康寿命は男性で72歳、女性で75歳程度なんです。
会社で定年まで働いて、再雇用で5年働いたあと、残された健康寿命はあとわずかなのです。
よく知っている芸能人の60代、70代での病気での訃報を聞くたび、今年48歳を迎える僕は、「自分の人生があと20年程度なのだな」と心に刻み、後悔の無いように楽しみ続けようと誓うのです。
4)最後に
改めて、僕たちは自分が幸せになるために、今を生きています。
ですから、お金を貯めることだけにとどまらず、
・自分がどう生きたいのか
・何に幸せを感じるのか
・どんな仲間と過ごすのか
を考えてみていただきたいと思います。
また、そうした深掘りの一助になるため、FIREに踏み切った20人にインタビューし、それぞれの人生観、今の人生などについて語っていただいたお話を次の書籍『君たちはFIRE後どう生きるか』にまとめました。
ぜひ、「自分の幸せが何か」に思いを馳せ、素晴らしい人生を!
そして大江さん、素晴らしい考えをありがとうございました。
改めて、ご冥福をお祈りいたします。
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