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ミレニアル世代へ:旧いやり方で苦労するより、アプローチを変えてみたら?

先日、世界経済フォーラムによる「ジェンダー・ギャップ指数」が発表された。120位の日本は、先進国中最低水準という不名誉だ。毎回ながら、ため息の出る結果である。

特に政治のジェンダー・ギャップは大きく、147位だという。女性の政治参画が進まない大きな原因に、固定化した議員高齢化がありそうだ。40歳未満の衆院議員はわずか8%。一方、同じく人口高齢化が進み、被選挙権も25歳以上と日本と同じく高いイタリアでは40歳未満が33%と、議員年齢構成は若々しい。

ひと昔前は、今以上に女性の政界進出が稀だったため、議員がシニア層に偏れば、当然女性が少なくなる。日本でも世代が若くなるにつれ、男女平等の意識が急速に浸透していることは間違いない。しかし、日常に感じるポジティブな肌感覚を他所に、政治の世界では時計の針が戻っている。若い世代が政治に発言権を持つまで、長い時間がかかるのが現実だ。

政治は地盤がものを言い、世襲が有効なため、ビジネス以上に年功序列が幅を利かせると想像する。旧来のルールに従うとどうしても、外から飛び込む若手や女性は不利な戦いを強いられる。戦っているうちに、既に若手ではなくなっているかも知れない。

では、発想を変えて、硬直したルールに自分を無理に合わせるよりも、ひらりとやり方を変えるほうが、ミレニアル世代の活躍を促すのではないか?見えない掟を破り、新しいやり方で成功する事例に勇気づけられる。

例えば、去年10月、つくば市議会議員に立候補した川久保皆実さんは、選挙カーも後援会もなく、街頭演説の代わりにSNSで政策を訴え、ごみ拾いで知名度を高めて41人中3位で当選した。

市議会議員の年齢構成は半分以上が60代以上。女性議員は15%と国政よりはましだが、マイノリティだ。これに臆することなく、若干35歳の川久保さんは、選挙とはこうやるもの―という(男性シニアが作ってきた)常識を覆して、有権者の共感を得ることに成功した。

彼女のような柔軟なアプローチは、ビジネスでも十分使えると思う。特にコロナ禍で世の中の変化は加速している。新しいやり方を試す余地は増えている。

政治でもビジネスでも、ジェンダー・ギャップを象徴する言葉に「ガラスの天井」がある。公にはないけれど、見えない形で存在する、上のポジションへの障害のことだ。ガラスの天井を壊すことには、大いに賛成だ。

しかし、上向きの障壁にばかりとらわれていると、実は自分の中にも過去を踏襲するようなバイアスがあることに、うっかり気が付かない危険がある。ガラスの「天井」ではなく、みずからの行動を律するガラスの「壁」で自分を覆っているようなものだ。

市議会選挙に例えれば、選挙戦は後援会を立てることから始まり、演説は選挙カーに乗らないと・・・と、思い込むことにあたる。その面倒や経済的負荷を考えただけで、やる気があっても出馬をためらうこともあるだろう。川久保さんの軽やかな成功例から分かるように、これはもったいない。

政治にせよ、ビジネスにせよ、発言権がシニア(男性)層に偏っていることは事実だ。しかし、やり方によって、風穴を開けることは十分可能。旧来のやり方をうのみにして苦労することは避けてほしい。

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