デジタルノマド争奪戦 日本の魅力は世界に通ずるか
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
コロナ禍を経て一番変化した働き方として、テレワークがあります。特に日本は出社して働く文化が強かったため、初めてテレビ会議を日常的に使いながら仕事をしたという方も多いようです。米国だとビジネスの拠点が西と東に分かれており、移動するにしても飛行機で4〜5時間かかるため昔から電話会議が浸透していました。欧州も陸続きであり、EUになってからは圏内であればどこでも住んで働ける環境ができたことも後押ししたのか、テレワークも併用しながら柔軟に働く方が多い印象です。
近年ではデジタル専門人材の不足もあり、フリーランスとなる方が増加。国内だけでなく国を跨いで働く「越境テレワーカー」も増加しています。
以前は本国外に事業を展開する前に、先行して現地人材を確保する意味合いが強かったEORですが、今では現地法人の代わりとして恒久的に利用する企業も出てきています。また、雇用だけでなく業務委託として採用困難な専門人材の確保するためのサービスとして利用するケースも。
また、越境テレワーカーの中にはいわゆる「デジタルノマド」と言われる人材もいます。数ヶ月から1年くらいのスパンで旅をしながら働くような人々です。1年間休暇をとるのは時間的にも金銭的にも厳しいが、旅先で平日は働き週末で観光をするようにすればこの問題は解決します。インターネットさえあればどこでも働けるデジタル人材を中心に、近年増加している働き方です。また、これらの方々は高所得者層も多く、各国政府も競って誘致を進めています。
日本でも政府は18年に策定した「未来投資戦略2018」で、ビジネスパーソンや専門職、デジタルノマドなどの高度外国人材の活動支援を掲げました。その甲斐もあり日本に滞在する高度外国人材は23年6月末時点で約40万人と、この10年間で3倍に拡大しました。
私の周りの海外にいるデジタル人材の方も、機会があれば日本で働きたいという声をよく聞きます。実際に日本での職探しについて相談を受けることも多いです。しかしながら、日本語がそれなりにできない場合はかなりポジションが限定されること、給与水準が国際基準からすると相当下がってしまうことなどから躊躇する人がほとんどです。ですので、海外の給与水準で日本で働くのが一番よいわけで、デジタルノマド的な働き方は非常にマッチすると思います。
少子高齢化まったなしの日本において、人材確保と外貨の確保は今後の大きな課題です。デジタルノマドの受け入れは、この両方に効く施策ですのでどんどん進めてほしいと思います。
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タイトル画像提供:Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)