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デジタルノマド争奪戦 日本の魅力は世界に通ずるか

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

コロナ禍を経て一番変化した働き方として、テレワークがあります。特に日本は出社して働く文化が強かったため、初めてテレビ会議を日常的に使いながら仕事をしたという方も多いようです。米国だとビジネスの拠点が西と東に分かれており、移動するにしても飛行機で4〜5時間かかるため昔から電話会議が浸透していました。欧州も陸続きであり、EUになってからは圏内であればどこでも住んで働ける環境ができたことも後押ししたのか、テレワークも併用しながら柔軟に働く方が多い印象です。

近年ではデジタル専門人材の不足もあり、フリーランスとなる方が増加。国内だけでなく国を跨いで働く「越境テレワーカー」も増加しています。

国境をまたぐテレワークが広がってきた。世界中の企業が不足するデジタル人材確保の切り札として活用し始めた。越境テレワーカーの供給ビジネスも急成長し、市場規模は2027年までの6年間で2.3倍になるとの予測もある。国際的な人材争奪戦が過熱するとともに、企業の組織や人材管理に変革を迫っている。
(筆者略)
デジタルトランスフォーメーション(DX)に伴うグローバルなIT人材争奪戦は年々激しさを増す。これまで、企業は海外人材を雇うには移住させて本国で受け入れるか、各国拠点を通じ現地で採用するのが常道だった。

テレワークの定着がこの構図を変えた。EOR(エンプロイヤー・オブ・レコード)と呼ぶサービスが、新たな労働市場をけん引する。世界中に張り巡らした現地法人網を通じ、各国にいる人材の名義上の雇用主となる。給与の支払いや納税、労務管理を行う。本国に人材を連れてくる旅費や現地拠点の運営費用を削減できる。

日経電子版

以前は本国外に事業を展開する前に、先行して現地人材を確保する意味合いが強かったEORですが、今では現地法人の代わりとして恒久的に利用する企業も出てきています。また、雇用だけでなく業務委託として採用困難な専門人材の確保するためのサービスとして利用するケースも。

また、越境テレワーカーの中にはいわゆる「デジタルノマド」と言われる人材もいます。数ヶ月から1年くらいのスパンで旅をしながら働くような人々です。1年間休暇をとるのは時間的にも金銭的にも厳しいが、旅先で平日は働き週末で観光をするようにすればこの問題は解決します。インターネットさえあればどこでも働けるデジタル人材を中心に、近年増加している働き方です。また、これらの方々は高所得者層も多く、各国政府も競って誘致を進めています。

日本でも政府は18年に策定した「未来投資戦略2018」で、ビジネスパーソンや専門職、デジタルノマドなどの高度外国人材の活動支援を掲げました。その甲斐もあり日本に滞在する高度外国人材は23年6月末時点で約40万人と、この10年間で3倍に拡大しました。

三菱地所は日本に1カ月〜1年程度滞在する外国人向けの賃貸住宅を2030年までに1万戸供給する。IT(情報技術)を活用して国境にとらわれず働く「デジタルノマド」が世界的に増えている。政府も誘致を掲げるなど成長が見込める分野について、いち早く住居面から需要を取り込む。

このほど米不動産テックのブルーグラウンド・ホールディングスとライセンス契約を結んだ。同社は世界32都市で、駐在員などを対象とした賃貸住宅を転貸で1万5000戸運営し、年間1万人が利用する。日本展開は初となる。

日経電子版

私の周りの海外にいるデジタル人材の方も、機会があれば日本で働きたいという声をよく聞きます。実際に日本での職探しについて相談を受けることも多いです。しかしながら、日本語がそれなりにできない場合はかなりポジションが限定されること、給与水準が国際基準からすると相当下がってしまうことなどから躊躇する人がほとんどです。ですので、海外の給与水準で日本で働くのが一番よいわけで、デジタルノマド的な働き方は非常にマッチすると思います。

少子高齢化まったなしの日本において、人材確保と外貨の確保は今後の大きな課題です。デジタルノマドの受け入れは、この両方に効く施策ですのでどんどん進めてほしいと思います。


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タイトル画像提供:Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)

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