モチベーションは上げなくてはいけないのか?
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
人生山あり谷ありと言いますが、仕事もしかり。やることなすこと上手くいくこともあれば、なにをやってもダメなときもあります。やってる本人としては同じようにがんばっているつもりなんですけどね。
私は去年の2月末からフルリモートで仕事をしています。通勤がなくなった等のメリットを強く感じると共に、同僚とのコミュニケーション量が減った気がする等のデメリットも同時に感じています。「テレワークをするとコミュニケーション量が2割減る」とも言われています。必ずしも対面での会話が減るというだけではなく、電話やメールの時間も減ることで全体として減少傾向になるとのことです。
短期的には生産性が高まっても、長期的には働くモチベーションに影響を与える可能性を示唆しています。
一般的にモチベーションは「高いほうがいい」とされているように感じますが、最近これに疑問を抱いています。つまり、企業が求めているのは「成果」です。モチベーションが高いと成果が出るという因果関係が成立していればたしかにその通りなのですが、これに疑問をいだいていると言ったほうが正確かもしれません。
関係する話として、東京2020に向けて厳しい練習を積み重ねてきたアスリートの心境を考えます。中止になるかもしれない(実際、延期されたわけですが)という不確実性の高い中で苦しい練習を積み重ねるのは、並大抵のことではありません。その秘訣は、自分への向き合いにあるようです。
まずはモチベーションの維持。楽しさよりも苦しさを感じる時間が長いであろう練習をどうやって継続するのか。青山学院大学を駅伝の強豪に育てた原晋監督は自分の位置を理解するのを大切にしていると聞く。精神科医で心理学者のアルフレッド・アドラーも、できない自分を責めるより、今の自分を認める勇気が重要と指摘している。できていないことだけでなく、できていることも把握する。これがモチベーションを保つうえで重要なのだろう。
ダニエル・ピンクは著書『モチベーション3.0』の中で、外部に影響されない内発的動機こそが大事であると説いています。例えば「アメとムチ」のようなものは、外発的動機のわかりやすい例でしょう。目まぐるしく変化する現代において、自分ではどうしようもない外部要因に自身のモチベーションを委ねてしまうことは、コントロールできなくなるリスクを伴います。
こうみるとやはりモチベーションは高いほうがいい!となりますが、本当にそうなのでしょうか。もう少し掘り下げるために、以下のチャートで考えてみます。
A: モチベーションが低く、成果は低い(問題児)
B: モチベーションが低く、成果は高い(頑固職人)
C: モチベーションが高く、成果は低い(宴会部長)
D: モチベーションが高く、成果は高い(スター)
会社に必要な人材として優先度をつけるとすると、どうなるでしょうか。おそらく大部分の方が、D>B>C>A と答えるでしょう。だとすると、モチベーションが低くても成果を出している人のほうが重要な人材ということになります。
すべての人が「D: スター」になれば最高ですよね。では、人材育成を考える上で、A: 問題児をスターに引き上げるためにはどうすればいいでしょうか?チャートでは青色と黄色の2つの道のりを示しました。モチベーションをあげるのが先か、成果をあげられるようにするのが先か?という問題です。
会社の仕組みというのは一般的に「成果に報いる制度」になっています。その力学を考えれば、成果をあげられるようにサポートして自立できるようにすることが先決であることがわかるでしょう。では、A→B→Dという道のりを進むことになる、、、と思いきや、実際には違う現実を目にすると思います。
どういうことでしょうか。実は、成果が出せるようになった人は、勝手にモチベーションが高くなります。Bを経由することなく、A→Dにひとっ飛びです。
では、長い間「B: 頑固職人」に留まっている人はなんでしょうか。別に今の仕事ができていれば満足であったり、先代にお世話になったし今の社長は気に食わないけどまぁゆるゆるやるよ、なのかもしれません。もしくはなにかを諦めてしまっている可能性もあります。このような方とはコミュニケーション量を増やし、対話を重ねることが重要です。割り切っていることでモチベーションが高く見えないだけかもしれません。注意点としては、これが同僚や取引先などに「愚痴」として出始めると、職場の空気や評判に影響が出てきます。そうなると周りと巻き込んで問題児化することがあるので、じっくりと向き合うことが大事でしょう。
C: 宴会部長に関しては比較的簡単です。要は、成果を出すための正しいやり方を知らないだけです。やる気はあるのですから、適切な教育やサポートによって成果の出るやり方を覚えてもらえば、一気にスターになる可能性があります。
当初の命題に戻りますが、モチベーションと成果については因果関係があるかというと、あったとしても逆、もしくは相関はあるというのが私の考えです。成果があがれば、モチベーションが湧く。なにより、モチベーションは内発的動機として出るほうが望ましい。そのためには自身と向き合って上手くやれていること・そうでないことを認識し、なんのために働いているのか?という大きな目的について思考するのが良いのではないかと思います。
---------
みなさまからいただく「スキ」がものすごく嬉しいので、記事を読んで「へー」と思ったらぜひポチっとしていただけると飛び上がって喜びます!
タイトル画像提供:nonpii / PIXTA(ピクスタ)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?