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「何しにきた!?おまえがここで死んでひまわりの花が咲くように」〜機関銃を持ったロシア兵士にウクライナのおばあさんがひまわりの種を渡そうとした理由〜

機関銃持ったロシア兵に1人ひまわりのタネを持って喧嘩をしに行くおばあさんの動画。

ロシア軍の侵攻が本格化した3日前から世界中に拡散しています。

ロシア語がわかる人によると若いロシア兵は、このおばあさんの激しい罵りに対してすごく丁寧な敬語で答えているようです。
「何しに来た!?」と聞かれて彼にも「これ以上事態を悪化させないために」としか答えられず困惑する兵士。彼も演習だと聞いてきたらどうも違うようだと戸惑っている様にも見えます。

おばあさんは言います。

「ひまわりの種持って行きなさいよ。」

ひまわりの種はロシア人(そしてウクライナ人も) 良く食べるオヤツです。油の使用が宗教によって禁止されていた時代に貴重な油分として日常的に食べる習慣ができたとの事。孫の様な年の若い兵士に「ひまわりの種、持って行きなさいよ」とおばあさんが言うのは、大阪のおばちゃんの「飴ちゃん食べる?」のノリに近い本来は優しい言葉です。

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ただ、次に怖い言葉が続きます。

あんたが死んでここにひまわり🌻が咲くように!」

お前がここが死んでもプーチンは助けにない、お前はここウクライナで犬死にし野垂れ死ぬ、と呪っています。

この言葉は、ただの気の強いおばあさんの気の利いた言い回しなどではありません。

おばあさんは世代的に、マルチェロ•マストロヤンニとソフィアローレンの1970年の映画「ひまわり」という映画を観ていると思います。

映画のシーンは美しい一面のひまわり🌻のシーンから始まります。
映画音楽も素晴らしいので是非、一度1分で良いので観てシーンを焼き付けてください。

年配の人は1982年オフコースの解散コンサートOver で使われた一面のひまわりのシーンとして記憶しているかもしれません。

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映画「ひまわり」では後半、ロシア戦線が舞台になっています。人類史上全ての戦争・紛争の中で最大の死者数を計上したいわゆる独ソ戦です。

死者はソ連兵が1470万人、ドイツ兵が390万人、民間人の死者を入れるとソ連は2000〜3000万人が死亡し、ドイツは約600〜1000万人とされています。

おばあさんは、「お前達とお前達の指導者はあれをここでまたやろうとしているのか?!」と激しく怒っているのです。それもお互いに親戚がたくさんいる兄弟の様な国に対して、多くの血が流れたその同じ場所で。

年代的に、おばあさんの家族、親戚にも身近に独ソ戦の犠牲者がいて、その話をたくさん聞いて育ってきた事でしょう。2000〜3000万人の人が犠牲になっているのです。

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©「ひまわり」

先程の映画「ひまわり」のひまわりのシーンは独ソ戦で激しい戦闘があったとされるウクライナで実際に撮影されています。

再び、先程の一面の美しいひまわりのシーンを思い返してください。

その種がどこから来たかも含めて。

ソビエト兵の中には酷寒の行軍の中、非常食としてひまわりの種をポケットに入れていた兵士も多くいたでしょう。

映画のマストロヤンニの演じた兵士が(彼はナチスドイツ側のイタリアから派兵された兵士ですが)酷寒の吹雪の原野で力尽き戦線を離脱し、死を覚悟して横たわって空を見ている印象的なシーンがあります。

ポケットのひまわりの種と共に見捨てられウクライナの土のなったソビエト兵士も実際に多くいた事でしょう。

おばあさんは本当に、80年前に起きた事に言及して激しく非難しているのです。お前はここで死んで、その時と同じく「本当に」一輪の「ひまわり」になると。ひまわりはロシアの国花です。国の犠牲になって戦争をしにきた国の土となり母国の国花を咲かせる事になるのだ、と。

但し、

ここで実はひまわりはウクライナの国花でもあるのです。

おばあさんは自分の台所のひまわりの種を持ってきたのです。

本来、この2つの国は隣国の兄弟の様な国なのです。

戦争は今、現在も進行中です。

この動画に有る様に、大義のない戦争の前線に送り込まれたロシア兵の士気は高くありません。
一方でプーチンは核使用をちらつかせて脅していますが、このおばあさん同様、祖国を武器で侵攻されたウクライナ市民は脅しに屈せず戦い抜く決意です。

私達が、戦争反対の声を世界中で上げ続ける事でウクライナでの不幸な事態が一刻も早く収束する事を祈っています。

PS 既にウクライナ兵より多いロシア兵数千人が戦死し、その映像がメッセンジャーアプリのテレグラムにアップされ、ロシア市民の目に触れているようです。 

40年振りに開催しれた国連の臨時特別総会では、ウクライナ大使が亡くなったロシア兵士が母親に戦場の恐怖を訴えるメッセンジャーでの最後のやりとりを紹介していました。

ロシア兵士もまた犠牲者です。


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