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北京での新型コロナ集団感染に対する対応が凄まじい

僕が滞在している北京では、ここ数日で新たなコロナウイルス感染者が確認されました。日本のメディアでも報道されてますね。

50日間くらい感染者が全くいなかったので、いきなり大人数の感染者が出たことは衝撃でした。まわりでも「これは武漢の最初のころに似てませんか?」と心配な声もあります。

ただ北京での連日の対応は本当に頼もしい。歌舞伎町でクラスターが発生したことへの東京都の対応をネットで見てましたが、今回の北京の対応とはかなり違いがあるように感じます。

このnoteで「北京の現状」「発生源について」「北京の対応」 の3つを順に紹介していきましょう。

■現状

現在(6月15日現在)ではハイリスクエリアが1つで中リスクエリアが22個に。6月11日から6月14日の24時まで、北京で感染が確認された79人中、一人が危篤で二人が重症、ほかは全部普通型と軽症となります。

市民へのインパクトは大きかったです。なかでも、小学校低学年が今週から新学期初めての登校になるところで、いきなり中止になってしまいました。以前に紹介した防疫対策のリスクエリア判断と対応レベルも上げられました。

■クラスター源

最初に、今回クラスターの場所となってしまった「新発地」市場について簡単に紹介しましょう。

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武漢も市場から感染が拡大しましたが、「新発地」は武漢の市場とは規模が全然違います。武漢の「華南海鮮市場」の面積が5万平米、一方「新発地」は107.89万平米あります。

「新発地」は北京市内の野菜消費量の70%と果物消費量の80%を占めます。肉や海鮮ものの供給量も多い。華北の重要な食料品の取引市場として東北地方への農産品運送もあります。影響範囲が広いのです。

■北京の対応をタイムラインで

続いて、今回の感染の確認や対策の状況を、僕の知っている範囲でタイムラインにまとめてみました。

6月8日
北京地壇病院(コロナウイルス指定対応病院)の最後の感染者が退院
6月11日(わずか3日後)
北京での「55日間本土感染者0」の記録が破られ、北京市政府が午後の記者会見で52歳の男性感染者の確認を公表。奇跡的にこの人が5月30日から市内での移動を詳しく覚えていて、素早く感染リスクの高い場所と濃厚接触者を特定
6月12日
6人の感染者を確認。関係者のPRC検査及び抗体検査急いで実施。
「新発地」周辺の11個の住宅コミュニティーが出入り制限となり、「新発地」感染者の密接者139人を強制隔離
検査が急ピッチで行われる。「新発地」市場従業員517人及び市場内の肉や作業台、ゴミ箱などから環境サンプル1901件を採集し検査が行われる。(うち45人と40の環境サンプルが陽性だと13日に発表された)
サーモンを捌く作業台での陽性反応。ウイルスに汚染されたリスクがあって全市のサーモン販売を中止に。また、サーモンの仕入れ先である北京の最大の海鮮取引市場・京深海鮮市場も調査対象に
市場周辺の3つの小学校と6つの幼稚園が臨時休学休園。他の大型市場やスーパーなどにも1423人の従業員と3523の環境サンプルが検査される
6月13日
36人の感染者が確認される。感染状況の公表と感染経路が確認される
「新発地」市場が午前3時から一時休止、個人消費者の購買を中止。大口取引は分散された指定エリアで行われるようになり、全員の体温検査や車ごとの防疫消毒などが行われる
「新発地」市場とその周辺で8186人のサンプルを採取、5803人の検査を終え、全て陰性だと発表された
PCR検査の対応方針を「应检尽检,愿检尽检」(すべき検査をする。検査の申し出があればする)に変更。新発地周辺の住宅街に4.6万人へのPCR検査をする予定で、当日すでに10881人を検査

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↑グラウンドに臨時の検査場が設置されました。真夏日の防護服はキツイでしょうね。。

確診された感染者と密接歴のある人を隔離するために11軒のホテル(1000部屋)を確保
全市98ヶ所のPCR検査機構リストを公表。1日最大9万人対応で企業や個人の予約も可能
6月14日
36人の感染者を確認。うち2人の感染経路を究明中、他の34人はすでに感染経路および密接者の確認と検査が済む
全市76499人のPCR検査を行われて、陽性結果が59人、うちにすでに入院された人が27人、新たな感染確認21人、専門家の感染確認待ちが11人だと発表される
政府は各企業に対して「新発地」市場と接触した社員の14日内の出社をさせないよう要求
早期発見や早期隔離、早期治療のため、過去14日以内に「新発地」に訪ねたことのある人は救急車と連絡すれば専用車による検査や治療が対応できると発表
6月15日
対策:新たな高・中リスクエリア指定、全市レベルの公共衛生対応水準アップ、体温検査の強化、野菜などの農産物の調達など
感染者の出た他の市場及び周辺エリアの出入り制限

上記の対策以外に、新たな感染者が確認されてから、北京市政府が午前午後毎日2回の記者会見を中継しています。そして感染経路調査を済んだ感染者情報も公表しています。

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↑記者会見以外にも、weiboなどのSNSでも公表。

他にも、様々なルートから「新発地」関係者の有無確認が行われています。

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↑例えば、グループチャットで濃厚接触者がいるかどうかの確認

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↑デジタル対応できない人たちのための訪問確認(インターフォン越しでの確認、非接触)

久しぶりにこんな大規模なクラスターが発生したことに正直不安がありますが、この効率的な仕事ぶりを見て、大丈夫でしょうと思うところもあります。そして中国はみんなの意識がとても高い。自然と外出自粛が進み、観光地とかから人が消えたことがSNSで話題になってました。

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(そもそも暑いから夏の昼間に行かないけど)

真夏日のマスク着用は本当にきつい(昨日の最高気温が38度)ですし、出入りの温度チェックは面倒臭いです。早く収束して欲しいです。


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