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Alibabaに迫る勢いの新興ECサービス拼多多。これが新しい時代のマーケティング戦略なのか

noteの読者さんなら「拼多多」は知ってますよね?

中国の新興ECサービスの一つ「拼多多」(ピンドゥオドゥオ)。去年くらいから猛烈な勢いでシェア拡大中ってことは知ってましたが、すでにJDを抜いて中国EC番付2位になりました(1位はアリババのTmall)。

今や中国人向けに商売する人には必須のサービスになってきてるようです。

上海のお兄さんが教えてくれました↓

発表されたデータによると、2018年6月時点でユーザー3億人でしたが、2019年末にはすでに5億人に達したそうです。1年半で2億人の利用ユーザーを増やした「拼多多」の成長は恐ろしいと言わざるを得ません。

そんな尋常じゃないペースで伸びるサービスとその戦略って興味ありますよね?調べてみると、彼らの戦略はとってもユニーク。日本でこんなやり方は聞いたことないし、多くの日本のメディアはここまで詳細を紹介してないと思います。ぜひ期待してお読みください。

■5億人ユーザーまで集めた拼多多の戦略とは

拼多多がアメリカで上場するまでのキャッチフレーズは「3亿人的拼多多」(三億人が使ってる拼多多)でした。その後わずか1年半で5億人ユーザー達成の急成長を実現したのだからビックリです。

成功した理由への回答には「彼らの優れたサービスが素晴らしいんですよ」との主張もありますが、多くの人から否定されてます。彼らの成長の理由は

・マーケティング戦略
・攻撃的な価格、魅力的な補助金
・地方ユーザーの獲得

と言われ、これの具体例がとっても面白いのです。

■SNS口コミ利用はここまで来た

多くのジャイアントたちが最初に登場したときと同様、最初は拼多多も低価格で注目を集めました。そして、最大のライバルにもなり得るWeChatを有効活用してバイラルマーケティングを実施、「ソーシャル+ eコマース」というモデルで一気に普及させたのです。

それは名前にも表現されてます。「拼」というのは「多くの人があつまって集団購買を実現することによって商品が安くなる」というソーシャル性をとっても強調している。WeChatの友達へ共同購入を募集することを可能にし、周りを巻き込みながら商品を買わせる仕組みを作りました。

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↑例えばこのグループチャットにシェアされた「拼多多」の品に誰かがアクセスしてくれたら、一定の割引が付きます。たくさん拡散すれば最大0元になることも可能

でもグループチャットでこういうことする人はだいたいみんなに嫌われます。これ、なんで安くなるかわかりますか?

なぜ安くなるかというと、アクセスすることによって自分のWechat情報(携帯番号と紐付くので実質実名です)や友達関係を拼多多に公開することになるのです。個人情報と友達情報を売って利を得る、もはやSNS版ネズミ講スタイル!?

これを気にしない人も多いですが、抵抗ある人も少なくない。

■地方都市を攻める、その結果。。

こういったやり方に、リテラシーの高い大都市の人々は反感を持ちました。そして反感はバイラルマーケティングに対してだけではありません。常識外れの安さと、あまりにも露骨な偽物販売に対してもです。

中国といえば偽物だらけって日本人イメージあると思いますが、それはどんどん解消されてきてます。でも拼多多の偽物はやばい、ストアで偽物をたくさん見かけます。

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例えばこちらは中国の有名な洗剤「超能」、それのJDでの販売価格です。2つで96元。

これが拼多多の場合は↓

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4つで16.8元です。でも「安っ!」と思いよく見たら「能」ではなく「能」です。

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他にも「䞦(he)能」、「趏(gua)能」、「趌(ji)能」、「趋(qu)能」、「趈(zhan)能」、「䞠(zhi)能」があってどれもめちゃ安い。。

(もっと半端なく出来の悪いものや思わず笑っちゃうものもたくさんあります、これはまた別の機会で共有します)

これに対し拼多多の管理層は「タオバオも初期は偽物が多かった。我々も偽物の排除には力入れてます。一日で改善できる問題ではないが、日々頑張ってます」と主張しました。でもここまで露骨なやり方は多くのユーザーに「バカにしてるの?」と悪いイメージを植え付けてしまいました。

そこで拼多多はビック都市ではなく、地方都市(3級、4級都市と言われる)を攻めます。なぜならば、田舎であればあるほど質よりコスパを重視する人、使えるならOKだと思う人が多いからです。そして地方都市もまとめるととんでもない市場規模になるのです。

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↑上がタオバオ、下が拼多多のユーザー分布。あきらかに違いが見えます。

結果、地方を中心に多くのユーザーを獲得したのですが、北京や上海などの人たちにとっては「妈妈级奶奶级电商app」(拼多多はおばちゃん用アプリ、安さを究極追及し情報リテラシが低い人用)イメージが定着しました。

でも地方ユーザーを獲得したら、彼らも当然北京や上海などの1、2級都市でもシェアを取りたくなります。そのために自らのイメージ「偽物」「劣等」「安価」「中年」「低」を払拭する必要がありました。

■イメージ払拭戦略とその結果

ダサいイメージを払拭するため、若者向けにキャンペーンを実施します。2019年の6月18日セール期間に、スマホにターゲットを絞って数百億元分の手当キャンペーンを実施。結果Apple製品は35万台売れ、合計11億元の売上、取引総額が300%増加しました。

でも一度のキャンペーンや風説の流布で簡単にブランドイメージは改善できません。例えばこのキャンペーン中に、高級スキンケアブランドのde lamer(LA MER)は拼多多が勝手に自社商品のキャンペーン参加を公表したことを批判、提携はしてないと公表しました(さすがに参加したら結構なイメージダウンですので)。

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これに続いたのはSKII。「拼多多とは提携してません、正式な提携先での購入を薦めます」とWeiboで発表しました。(要するに、こんな偽物サイトで買い物して偽物購入しちゃっても知らんからね、ということ)

こんな状況からどうやって盛り返せば良いのでしょうか。。

長くなってきたの後編へと続きます。(続編を書きました!2020年1月21日)

今年もちょっとマニアな中国情報を発信していきたいと思います、ぜひフォローしてご期待ください。

(参考資料)


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中国情報局@北京オフィス
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